脱兎「IN DA HOUSE」全曲解説
岡山のラッパー、脱兎がリリースしたEP「IN DA HOUSE」のプレスリリース文章を担当しました。各種配信サイトで聴ける・ダウンロードできます。
岡山を拠点に活動するラッパーの脱兎は5月30日(火)、新作EP「DAT IN DA HOUSE」を配信リリースする。
脱兎は地に足の着いたリリックと力強いフロウを、サンプリングベースのオーガニックな質感のものが中心のビートで聴かせるラッパー。地元レーベルのTHE WEST CLASSIC RECORDSに所属しており、これまでに2021年の1stアルバム「DAT TRIP」、同郷のラッパーの照との2022年のタッグ作「GOOD NIGHT モーニング」などをリリースしている。MCバトルにもたびたび出場しており、2021年には大型バトルイベント「UMB」の岡山代表に選出。また、岡山の人気ヒップホップイベント「BACK YARD」の主催のほか、2018年からはコーヒーショップ「empire coffee stand」の店長を務めるなど場所作りも積極的に行っている。
今回リリースするEPは、「自分の考えの提示」をコンセプトに据えた6曲入りの作品。身の周りの出来事から書かれた飾らないリリックを、ジャズやソウルのエッセンスを取り入れたブーンバップ系のサウンドに乗せた作品となっている。プロデュースにはこれまでにも共作してきた同郷のKAZ-SHITとMorrisに加え、長野から岡山に移住したkakasi(Road Leef/RAWLITTLENSS)、Instagramライブで海外ビートメイカーとセッションをしたことをきっかけに繋がったというニュージャージーのSir Nicolasが参加。また、「ゆれてたいだけ」では岡山のラップグループ、サイコロのZALARによるスクラッチをフィーチャーしている。ミックス・マスタリングは沖縄のHOODONが担当した。
アートワークはTHE WEST CLASSIC RECORDSのNOXが制作。茶色部分はコーヒーをインクに使用したほか、逆さにすると天空に浮かぶ街が山のように見える仕掛けの効いたものになっている。
1. IN DA HOUSE (Prod. by kakasi)
2. Back to the basic (Prod. by KAZ-SHIT)
3. ゆれてたいだけ (Prod. by KAZ-SHIT)
4. INGを歌う (Prod. by Morris)
5. Be all right (Prod. by Sir Nicolas)
6. What's ever (Prod. by kakasi)
全曲解説します。
1. IN DA HOUSE
サックスやフルートが目立つブーンバップ。
硬質なドラムやウッドベースも印象的なビートで、力強いラップを聴かせるアグレッシヴな曲です。仕掛けの多いビートとストレートなラップの組み合わせがちょうどいいバランス。
落ち着いたジャジーな曲。
タイトなドラムにクールなピアノを合わせたビートに、脱兎の抑え目なフロウが絡む曲です。入れすぎないサックスが良いアクセントになっています。
3. ゆれてたいだけ
どこかノスタルジックな曲。
美しいピアノのループとタイトなドラムが効いた穏やかな曲です。鋭いスクラッチも強力。
4. INGを歌う
1980年代R&Bっぽい甘酸っぱさのある曲。
メロウなウワモノや湿った柔らかいドラムを使ったビートで、力強いラップが楽しめる暖かい曲です。歌声のサンプリングも印象的。
5. Be all right
ゆったりとしたメロウ路線。
穏やかなエレピと主張しすぎないドラムが心地良いビートと、落ち着いたラップで浸れる曲です。フックで入ってくる控えめなシンセもばっちり。
6. What's ever
ピアノやサックスを切り取ったジャジーな曲。
骨太なドラムがガツンとしたニュアンスを加えており、穏やかなビートですが同時に力強さも出ています。脱兎のラップとも好相性。
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