2023年上半期国内シングルまとめ
愛知のラッパー、HekAがリリースしたシングル「霖」のプレスリリース文章を担当しました。各種配信サイトで聴ける・ダウンロードできます。
名古屋を拠点に活動するラッパーのHekAは6月7日(木)、シングル「霖」をリリースする。プロデュースは新潟のビートメイカー、PUbeatsが担当。現在制作中のアルバムからの先行シングルとなる。
HekAは三人組クリエイティヴチームのTripRoomの一員として活動するラッパー。メロディアスなアプローチも織り交ぜた粘っこいラップスタイルをトレードマークに、これまでに2020年のアルバム「Twisted」や2021年のEP「S.M.O.G.」などをリリースしてきた。今年に入ってからは、TripRoomでバックアップする名古屋のラッパーのagulによるシングル「echo!」に客演で参加。また、6月17日(土)に名古屋で開催される音楽フェス「XROSS CULTURE 2023」のオーディションにエントリーし、二回の審査を経て出場枠を勝ち取った。
今回リリースするシングル「霖」は、音源を公開して一般投票を行った「XROSS CULTURE 2023」の二次審査にてプレビューされていたもの。繊細でエモーショナルなトラップビートに乗せ、歌うようなフロウでロマンティックに情景を描写した曲となっている。
ミックスとマスタリングはHekA自身が担当。アートワークはTripRoomのRyo Tokiyoshiが手掛けた。
これまで当ブログでは「霖」のような国内のシングルはあまり取り上げてきませんでした。しかし、レビューを書いていないだけで聴いてはいます。そこで今回は、今年上半期に聴いた国内のシングルをいくつか紹介します。なお、時期が時期ですがいわゆる「上半期ベスト」の類ではありません。
ATSUKI, IKUSTA「GOAT SOAP」
ビートメイカーのATSUKIとその別名義のIKUSTAが連名で発表した曲。ATSUKIについては以前プレスリリースも書きました。
おどろおどろしいフォンクをベースに、歪んだギターを大胆に導入した攻撃的な曲です。声ネタやカウベルの使い方でフォンクのツボを押さえつつも、直球ではないアプローチが見事。
BACARDI RECORDS「No One Is (blended by tofubeats) (feat. aimi)」
ラムブランドのBACARDÍによる音楽プロジェクト。
メロウなエレピにスパニッシュギターやレゲトンっぽいドラムパターンを合わせたラテン風味の曲です。aimiのR&Bマナーの情熱的な歌声とも好相性。
Dirty R.A.Y「Change the world (feat. Dice Soho, Gifted & Moss.Key」
東京のラッパー。
テキサスG流儀のイナタいビートで、Moss.Keyによる歌フックを挟んでマイクリレーを聴かせるメロウ曲です。Dice Sohoのラップも自然と馴染んでいます。
DURDN「Drink! (feat. YonYon)」
韓国にルーツを持つシンガーのBAKUと、プロデュースデュオのtee teaによるプロジェクト。客演のYonYonとは以前一緒にPodcastをやっていました。
スペイシーなシンセやファンキーなベースが効いたハウス系の曲です。YonYonはフックで登場。
EMI MARIA「Let's Chill」
兵庫出身のシンガー。
穏やかなエレピやタイトなドラムが印象的な、AmerieあたりがやりそうなR&Bです。プロデュースはMONBEE。
Initial Talk & Kenny Pahina「Too Busy」
東京のビートメイカーとミシシッピのシンガー。
メロウなエレピと躍動感のある適度に太いドラムが効いたR&Bです。Kenny Pahinaのスウィートな歌に悶絶必至。
JIROW WONDA & DJ KENTAROU「NEVER 2 LATE」
石川を拠点に活動するラッパーとビートメイカー。DJ KENTAROU作品は以前プレスリリースも書きました。
ソウルフルなネタ使いに手数の多いドラムを合わせた、トラップ系の曲です。オートチューンを使ったメロディアスなラップが映えています。
KAISHI「Always be my self」
福岡出身のラッパー。以前プレスリリースも書きました。
美しいピアノを使ったエモーショナルなアフロビーツです。歌い上げるフロウで力のあるリリックを運んでくるラップが強力。
Kick a Show「こんな夜だから」
新潟出身のシンガー。4週連続シングルリリース企画の初回です。
クールなハウス路線のビートで、セクシーな歌をスムースに聴かせる曲です。一連の企画のベストトラック。
Kick a Show「アイ」
第2弾シングル。
暖かいギターを使ったトラップビートで歌う、現行マナーのR&Bです。悩ましいフックの歌いっぷりに悶絶必至。
Kick a Show「Déstresser (feat. Charlie Faron)」
第3弾シングル。
客演のCharlie Faronはフランスのラッパーです。浮遊感のあるシンセや重厚なギターを用いたビートで、クールにラップや歌を聴かせます。
Kick a Show「One More Time」
第4弾シングル。
弾力のあるベースやシンセが効いたブギー路線です。スウィートな歌だけではなくラップも披露しています。
M!KEE「KETSUMAKUEN (feat. Timpo da flippa)」
大分出身で東京を拠点に活動するラッパー兼ビートメイカー。
カウベルや蠢くようなベースを使ったフォンク系の曲です。ダークすぎず煌びやかな印象。ユーモラスな味もあるラップもばっちり。
package_emoji「silver」
東京のビートメイカー。
アグレッシヴなドラムに透明感のあるエレピ、美しい声ネタを絡めたエモーショナルなジャングルです。ダーティな低音の鳴りも絶妙。
poivre & VOLOJZA「HARURANMAN」
長崎のビートメイカーと千葉のラッパー。VOLOJZAについても以前プレスリリースを書きました。
タイトル通り春っぽいムードが漂う、穏やかなジャージークラブラップです。歌うようなアプローチも交えたゆるいラップとビートの絡みが絶妙。
RAITAMEN「JUICE (feat. Jinmenusagi)」
愛知のラッパー。プロデュースを担当したpoivreについては以前プレスリリースも書きました。
繊細なシンセや軽いドラムを使ったメロウなビートで、二人で歌うようなラップを聴かせる曲です。ソフトに振り切らないバランスが見事。
Sam is Ohm「Hearth (feat. Sagiri Sól & YonYon)」
新潟出身のビートメイカー。
ファンキーなギターや透明感のあるシンセを用いたビートに、シンガー二人を迎えた軽快な曲です。ラップっぽいニュアンスもあるYonYonのヴァースがハイライト。
UNI-Qreatives「Do It Over (feat. EMI MARIA)」
東京を拠点に活動するプロデュースチーム。
ふうわりとしたシンセが目立つ、ねっとりとしたオルタナティヴR&Bです。EMI MARIAの歌とも好相性。
SPARTA「いつも」
東京を拠点に活動するラッパー兼ビートメイカー。
Cashmere Catあたりを思わせる、セルフプロデュースのメロウなジャージークラブラップです。メロディアスなラップが沁みます。
YonYon「Memories (with 80KIDZ)」
韓国生まれ東京育ち、現在は福岡を拠点に活動するシンガー。
80KIDZ制作のメロウで甘酸っぱいビートで、韓国語も織り交ぜて歌ったブギー系の曲です。エレクトロニカっぽい味のあるリラックスした展開も印象的。
yutaka hirasaka「Midnight」
東京を拠点に活動するギタリスト兼ビートメイカー。以前インタビューも行いました。
壁を一枚挟んだみたいな遠い鳴りのブーンバップ系ドラムに、暖かいトーンのギターが絡むインスト曲です。インストヒップホップ好きの方も是非。
yutaka hirasaka「kaikou (with Yusuke Kurahara)」
ベーシストのYusuke Kuraharaとの曲。
淡々としたドラムを入れつつも、ミュージシャン二人の優しい演奏の魅力が光る曲です。現行ジャズ好きの方にもおすすめできます。
Vinny Blackberry「Willy Nilly (feat. audiot909)」
東京出身のラッパー。audiot909については以前プレスリリースも書きました。
ログドラムを鳴らしながらダイナミックに展開していく、エッジーなアマピアノです。連呼フックも頭に残ります。
ZIN, ANPYO & NARISK「Two Of Us」
東京を拠点に活動するシンガーと愛知出身のラッパー、福岡出身のビートメイカー。
フューチャーベースを経由したようなメロウなR&B路線です。ZINのスウィートな歌とANPYOのシャープなラップも好相性。
あっこゴリラ「その1万で」
東京のラッパー。プロデュースはGimgigam。
ジャージークラブなど多彩なリズムを使いつつ、ノイジーなシンセでハードに仕上げた強烈な曲です。癖のあるビートを巧みに乗りこなすスキルの高さにも唸らされます。
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