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poivre「So Far So Good」全曲解説

長崎のビートメイカー、poivreがリリースしたアルバム「So Far So Good」のプレスリリース文章を担当しました。各種配信サイトで聴ける・ダウンロードできます。

ヒップホップユニットのDie,No Ties,Flyの一員としても活動するビートメイカーのpoivreは11月2日(水)、新作ソロアルバム「So Far So Good」をリリースした。

長崎を拠点に活動するpoivreは、2010年代前半からジュークやヒップホップなど多彩なジャンルを横断したエッジーなビートメイクを行ってきたビートメイカー。近年はラッパーのVOLOJZALEXUZ YENとDie,No Ties,Flyを組み、2020年の「Die,No Ties,Fly」、2021年の「THE FLY」とEPのリリースを重ねてきた。近年はそのほか2021年のソロ作品「Diversity」の発表や、VOLOJZA率いるVLUTENT RECORDS所属のKAICHOOや同郷のPower DNAといったラッパーへのビート提供やリミックス制作などを行っている。

今回のアルバムはインストを中心にしつつも、先行シングル「開く」など3曲でラッパーの客演も迎えた作品。穏やかでリラックスしたものやハッピーなムードのパーティチューン、ピースフルなレゲエ風味など多彩なスタイルを披露している。当初はレゲエとチルアウトを中心にした作品となる予定だったが、ラッパーの参加者が増えたことでさらに路線を拡大したという。

客演には「開く」のVOLOJZAとKAICHOO、W.Oのほか、「Party Gang」に東京のラッパーのMOUNTAIN BとKAICHOO、「季節性」に福岡や佐賀、長崎で活動するラッパーのGOiTOが参加。ラッパー参加曲のミックスとマスタリングはLEXUZ YENが、それ以外の曲のミックスとマスタリング、アートワークはpoivreが担当した。なお、「開く」のシングルのアートワークとMVはVOLOJZAが制作。随所でDie,No Ties,Flyメンバーがサポートした作品となっている。


1. Sunrise
2. 開く Feat. VOLOJZA, KAICHOO, W.O
3. Water Fall
4. No War
5. Party Gang Feat. MOUNTAIN B, KAICHOO
6. 2123Raggae
7. 季節性 Feat. GOiTO
8. So Far So Good
9. 半透明


また、MikikiにてQ&Aも掲載されています。あわせて是非。

全曲解説します。


1. Sunrise

アコースティックギターが印象的なリラックスした曲。

DAWのみで制作したとのことですが、ヒップホップやエレクトロニック・ミュージックとは違う空気が通っています。ニューエイジっぽい響きのシンセや軽いドラムも絶妙。


2. 開く Feat. VOLOJZA, KAICHOO, W.O

先行シングルにもなった奇怪でハッピーな曲。

四つ打ちのドラムに爽やかなコーラスやテクノっぽいシンセを絡めたビートで、ラッパーが次々と登場するパーティチューンです。連呼フックもキャッチー。


3. Water Fall

神秘的なシンセが効いたインスト。

レゲエの影響を感じさせるドラムを使った優しい曲です。随所で入る声ネタが美しさを引き出しています。


4. No War

ドリーミーなシンセが効いたチル路線。

この曲もベースやスネアの質感など、所々でレゲエの影響が感じられます。とはいえストレートなレゲエという感じでもないバランス。


5. Party Gang Feat. MOUNTAIN B, KAICHOO

四つ打ちのビートにラッパー二人を迎えた曲。

子どもと思しき声ネタやミニマルなシンセ(?)を使い、どこかの国の民族音楽のようなムードに仕上げたユニークな曲です。ワイルドなラップも好相性。


6. 2123Raggae

タイトル通りのレゲエ。

逆再生のシンセやサックスなどのウワモノに、軽いドラムを合わせた哀愁曲です。この曲もDAWのみで作ったとは思えないほど楽器の動きがあります。


7. 季節性 Feat. GOiTO

エモーショナルかつダンサブルなラップ曲。

例の高音シンセも用いて優しい空気を作りつつ、フックでのエッジーなシンセなどで捻りを加えた曲です。四つ打ちのドラムに乗る真摯なラップが沁みます。


8. So Far So Good

幻想的な雰囲気の哀愁曲。

生音を加工したような質感のエレピやトランペット、ベースが印象的なインストです。ファンキーなギターもお気に入り。


9. 半透明

Die,No Ties,Fly「透明」のインスト。

シュワーっと弾けるような透明感のあるシンセがアクセントになった、ピースフルなレゲエ路線です。ラップなしですが、「透明」に親しんだ方も自然に楽しめると思います。

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