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DJ KENTAROU「Back Mirror Ⅰ」全曲解説

石川のビートメイカー、DJ KENTAROUがリリースしたアルバム「Back Mirror Ⅰ」のプレスリリース文章を担当しました。各種配信サイトで聴ける・ダウンロードできます。

石川県金沢市を拠点に活動するDJ/ビートメイカー、DJ KENTAROUは8月8日(月)、ビートテープ二部作の一作目となる「Back Mirror をリリースする。

DJ KENTAROUは、ラッパーのJony the sonatamilkyheadoneと共に組んだコレクティヴのaddginjahzzでも活動するアーティスト。2014年に結成した同グループではこれまでにミックステープやEPを精力的にリリースし、昨年にもアルバムdept.を発表している。DJ KENTAROU個人としては、昨年からラッパーを客演に迎えたシングルを数曲リリース。グループのDJではない、ビートメイカーとしての顔を見せてきた。

今回のビートテープは、先に発表したシングル「Mirrors」「Naturally」を含む12曲入りの作品。ソウルフルな質感やシリアスな空気をサンプリングで切り取り、ブーンバップを軸としつつもトラップも踏まえて組み立てられたビートが楽しめる。インスト中心の作品だが、先述したシングル「Mirrors」にはaddginjahzz、「Naturally」には翔恵が参加。今作が初出の「Day by Day」ではDirty Decibelがラップを乗せ、そのビートを彩っている。

アートワークには石川県在住の現代美術家、新谷哲也の作品を使用。なお、8月下旬にはビートテープ二作目「Back Mirror II」のリリースも予定されている。


1. Kush Report
2. Russian Roulette
3. Day by Day Feat. Dirty Decibel
4. Loner
5. fixer
6. Mirrors Feat. addginjahzz
7. Yofuke
8. Earl Gray
9. Sorry_not_Sorry
10. Reunion
11. Bitter cruise
12. Naturally Feat. 翔恵


また、リリースページ用の紹介文も担当しました。

石川県金沢市を拠点に活動するDJ/ビートメイカー、DJ KENTAROUによるビートテー プ二部作「Back Mirror」の一作目。
本作はソウルフルな質感やシリアスな空気をサンプリングで切り取り、ブーンバップを軸としつつもトラップも踏まえて組み立てられたビートが楽しめる作品だ。インスト中心の作りだが、DJ KENTAROUもメンバーに名を連ねるコレクティヴのaddginjahzzと翔恵、Dirty Decibelのラップもフィーチャー。先にシングルとして発表されていた楽曲も巧みに流れに組み込んでおり、一枚の作品として聴くことができる。アートワークには石川県在住の現代美術家、新谷哲矢の作品を使用している。


全曲解説します。


1. Kush Report

美しいピアノやファンキーなギターが印象的なインスト。

トラップ的な高速ハイハットやダーティな低音の鳴りを取り入れつつも、よれたブーンバップ系譜のグルーヴで仕上げたユニークな曲です。女声ヴォーカルのサラっとした使い方も絶妙。


2. Russian Roulette

シリアスな空気のインスト。

早回しされた歌声と圧の強いキック、手数の多いハイハットが効いた好曲です。少しクラウドラップっぽい味わいも。


3. Day by Day Feat. Dirty Decibel

The Alchemistあたりの作品に通じるハードな曲。

妖しいピアノとモコモコとしたベースを巧みに使ったビートで、Dirty Decibelが力強いラップを聴かせるラップ曲です。ドラムの抜き差しやエフェクトのかけ方もばっちり。


4. Loner

ダークなインスト路線。

ギターループが醸し出すダウナーな空気と、スネアの連打やかすれるようなハイハットの処理といった凝ったドラムが素晴らしい良曲です。SE的な音使いも巧み。


5. fixer

攻撃的な808を用いたトラップ寄りの曲。

「Savage Mode」期のMetro Boominに通じる、無機質なウワモノが印象的なインスト曲です。後半の展開も見事。


6. Mirrors Feat. addginjahzz

シングルとしてリリース済みの曲。

シリアスなピアノループに淡々としたドラムを合わせたMobb Deep系の曲です。アルバムの中の流れで自然に聴けます。


7. Yofuke

感傷的なピアノが目立つインスト路線。

よれ気味のグルーヴもありローファイヒップホップっぽくも聴けますが、極太のベースがそれを許さないアクの強さを放っています。ウワモノが抜けた瞬間は特にハードさが際立ちます。


8. Earl Gray

「Yofuke」からビートスイッチするように繋がる曲。

この曲はハードさは控えめで、美しさが際立つ哀愁路線です。グラスを揺らす音(?)がクール。


9. Sorry_not_Sorry

早回しサンプリングを用いた2000年代っぽいノリの曲。

ドラムも骨太でブーンバップ要素が強い路線ですが、低音の鳴りにトラップ的な圧力がある好曲です。煌びやかですが攻撃的な魅力があります。


10. Reunion

よれたグルーヴのインストヒップホップ。

幻想的に響くピアノやギター、乾いたスネアを用いたブーンバップ寄りの曲です。ブレス音のサンプリングも印象的。


11. Bitter cruise

哀愁漂うメロウなインスト。

シュワシュワとしたシンセやハイハットが作るドリーミーな空気で、エレピのループを寂しげに聴かせる良曲です。途中で入るギターにもクールダウンさせられます。


12. Naturally Feat. 翔恵

哀愁系のラップ曲。

ピアノループにタイトなドラム、早回しサンプリングを用いた癖の少ない好曲です。この曲も先行リリース済みですが自然と流れに組み込まれています。

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