2021年おすすめ新譜アルバムVol. 86: addginjahzz「dept.」
新譜アルバム紹介Vol. 86です。
今回紹介するのは、石川のラップグループのaddginjahzzがリリースした「dept.」です。
addginjahzzは石川を拠点に活動するラップグループで、Jony the sonataとMilkyheadoneの2MCとDJのDJ Kentarouによる3人組です。
14年に結成し、ミックステープ「addfiles vol. 1」を発表。以降ミックステープを精力的に発表し、16年にはストリートアルバム「better than today」をリリースします。その後17年のSNDFとのタッグ作「better than 2nite」やミックステープの発表を経て、19年には1stアルバム「SALADBOWL」、20年にはEP「aftermeals」をリリースしています。
ザラついた低めの声質でタイトなラップを聴かせるJony the sonataと、高音でフリーキーなラップを聴かせるMilkyheadoneのコンビネーションが魅力です。サウンド的にはブーンバップ系譜のものが中心ですが、それにこだわりすぎずLAビート系やトラップなども柔軟に取り入れています。
今作はLA系の怪ビートからGファンク、ローファイハウスなど多彩なサウンドを揃えた作品です。しかし混沌というよりもどこか芯の通った印象。二人のラップ力の高さにも唸らされる快作に仕上がっています。
2. addtime pt.2
$szZaaaプロデュース。
ソウルフルなネタを用いたJ Dilla系譜の暖かいビートで、二人の対照的なラップが絡む良曲です。スクラッチもばっちり。
3. 365days of funk Feat. Kzyboost
grooveman Spot制作のGファンク。
例の高音シンセやブリブリのベースを骨太なドラムが引き締めたビートで、Kzyboostのトークボックスもフィーチャー。G好きの方は悶絶必至です。
6-SenSが手掛けた怪曲。
奇妙な響きのフルートに、手数の多い808を合わせた癖の強いトラップです。JIROW WONDAもぶっきらぼうなラップで好演。
5. 電波天国
6-SenSのビートが続きます。
ビリビリと痺れるようなシンセベースや電話のような音をループしたLAビート系の曲です。強烈なビートをねじ伏せる二人のラップも強力。
6. Woah
BALLHEAD「woah」のビートを使用。
早回しサンプリングを巧みに用いたJ Dilla系譜のエモーショナルなビートに、しっかりとラップを乗せていく佳曲です。今作のハイライトの一つ。
7. Dept.
elampプロデュース。
クールなエレピと歌のサンプリングが効いたローファイハウスです。二人の息の合ったヴァース交換はグループならではの味。
ソウルフルなネタ使いと控えめなドラムのGriselda以降のブーンバップ。
ビートは6-SenSが担当。主役二人の堂々としたラップも見事ですが、客演のEftraのドスの効いた低音ラップが強烈な存在感を示しています。
13. KFC & BEER
Berryniceプロデュース。
この曲もドラムレスです。ソウルフルなストリングスや歌をループした美しいビートで、エモーショナルにラップする好曲。
トークボックスをJ Dilla系譜のスタイルでループした曲。
プロデュースはBALLHEADで、繊細さと豪快さを併せ持ったBALLHEADらしいビートです。JUMANJIの面々のラップもaddginjahzzの作る空気に自然と溶け込んでいます。
16. LOOPS
grooveman Spot制作のブーンバップ。
ウニョウニョとしたウワモノを上品にループし、太いドラムを合わせた沁みる曲です。エモーショナルすぎないバランスが絶妙。
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