¥OUNG ARM¥ & Plain Jay「Slime 4 Life 2」全曲解説
福島のラッパーの¥OUNG ARM¥と、仙台のラッパーのPlain Jayがリリースしたミックステープ「Slime 4 Life 2」のプレスリリース文章を担当しました。各種配信サイトで聴ける・ダウンロードできます。
ラッパーの¥OUNG ARM¥とPlain Jayは8月10日(木)、コラボレーションミックステープ「Slime 4 Life 2」をリリースする。
¥OUNG ARM¥は福島のラッパー。しなやかなフロウでユーモラスな側面も備えたラップを聴かせるスタイルだ。これまでにEP「ROUTE 4」やミックステープ「TENJIN」といった多くの作品をリリースしている。仙台を拠点に活動するPlain Jayは、シリアスなリリックを多彩なフロウでラップするラッパー。これまでにミックステープ「Too Cold: The Collection」やEP「Frozen」などをソロでリリースしているほか、オーディション番組「ラップスタア誕生」への出場でも話題を集めた。共通の知人を介して知り合ったという二人は以前からたびたび共作しており、2022年にはコラボレーションミックステープ「Slime 4 Life」とそのデラックス・エディションをリリース。現行のアメリカのトラップを消化したスタイルを提示した。
今回リリースするミックステープでは、福島のプロデューサーのKaworuMFが前作から引き続きエグゼクティヴ・プロデュースを担当。ハードな路線を中心にしつつ、エモーショナルなものも揃えたトラップ作品に仕上がっている。Plain Jayは「『日本人には受け入れられないかもしれない』という不安を掻き消すほどのトラップミュージックを作り出す」ことを目指し、¥OUNG ARM¥は「これまでにリリースしたことのないラップをする」ことを意識しながら制作したという。ゲストにはPlain Jayの実弟でもあるラッパーのHuncho Fox、福岡のラッパーのDNEとYeyaSが参加。プロデュースにはKaworuMFのほか、新潟のWooRockと福島のDJ EZEL、福岡のLoner Babyを迎えている。
レコーディングはほぼ全曲をKaworuMFと共にスタジオ入りして敢行。ミックスもKaworuMFが担当し、マスタリングは福島のレコーディングスタジオ「Switch」の安部仁隆が手掛けた。アートワークはワイズグラフィックスのMuneyとRenimiuが制作している。
1. Slime 4 Life 2 (Prod.by KaworuMF & WooRock)
2. No Brake (Prod. by KaworuMF)
3. Sorry Mom Pt.2 (Prod. by KaworuMF)
4. Slime (feat. Huncho Fox) (Prod. by KaworuMF & WooRock)
5. No Cap (Prod. by KaworuMF & DJ EZEL)
6. KUMENAI (Prod. by KaworuMF & WooRock)
7. Check (feat. Huncho Fox) (Prod. by KaworuMF)
8. YAKEDO (Prod. by KaworuMF)
9. Take (Prod. by KaworuMF)
10. 4 My Squad (feat. DNE & YeyaS) (Prod. by Loner Baby)
また、Mikikiにてアーティスト二人のコメントと私の推薦コメントも掲載されています。あわせて是非。
全曲解説します。
現行のメンフィスものを思わせるトラップ。
ミニマルなシンセやスロウなストリングスが効いたビートに、二人が異なる乗せ方で挑んだハードな曲です。曲が進むにつれて上に登っていくような良さ。
2. No Brake
シリアスなピアノをループした曲。
ボコボコとした低音と細かく刻む808、声ネタが印象的なアトランタ~テキサス(TSF周辺)的な路線です。サラっと濃厚なフックが強力。
前作収録曲の続編。
哀愁漂うピアノループに現行トラップマナーの808を合わせたビートで、生々しいリリックを聴かせる曲です。エモーショナルになりすぎないバランスが絶妙。
Huncho Foxはフックでの参加。
不穏なギターループと圧の強い808、フルート(?)の音を用いた現行メンフィス的な曲です。WooRockのカラーが出ています。
5. No Cap
808が目立つバウンシー路線。
声ネタのサンプリングやシンセも用いたミニマルな曲です。最後のフック明けからのビートの展開も印象的。
6. KUMENAI
ピアノとストリングスで聴かせるメンフィス系の曲。
ダーティな低音やシャープなスネアは現行マナーの旨味です。余裕を感じさせるPlain Jayと、ユーモラスでいてハードな¥OUNG ARM¥のラップも強力。
哀愁漂うエモーショナルなトラップ。
¥OUNG ARM¥の力強く歌心のあるフック、高音で歯切れ良くラップするHuncho Fox、オフビート気味のフロウで攻めるPlain Jay、とそれぞれ異なるアプローチが楽しめる曲です。哀愁系でも808のハードさは健在。
8. YAKEDO
メンフィスものを思わせるピアノループを使った曲。
複雑でダーティな808も効いたビートで、ユーモラスなアドリブも楽しい¥OUNG ARM¥とフリーキーなフロウで攻めるPlain Jayのラップが絡むバンガーです。二人(とKaworuMF)の相性の良さが強く出ています。
9. Take
Plain Jayのソロ曲。
シンプルなピアノと808が目立つビートに、漂うようなスロウなラップを乗せた曲です。淡々としつつもシリアス。
10. 4 My Squad (feat. DNE & YeyaS)
¥OUNG ARM¥のソロ(と客演の)曲。
鍵盤が光るリラックスしたビートで、しなやかな¥OUNG ARM¥と歌心のある客演二人のラップが楽しめる曲です。ラストにふさわしい沁みる路線。
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