西蔦屋 和浩 (ニシツタヤ カズヒロ)

”平成童貞男” 文章をたくさん書きたい。いつかは池田エライザと対談するんだ。

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最近の記事

『おめでたいヤツらとチョコレート』

「なぁ、仁藤。俺、あさって、のえる先輩に告白しようと思う」  バイトの帰り道に肉まんを食べながら、ふと悠二が言い出した。白い吐息は肉まんの熱とともに、怪獣の火炎放射みたいに勢いよく現れた。俺は啜っていたコーヒーで舌を火傷した。 「お前、どうしたよ。明後日ってバレンタインじゃん」  俺は冷気で火傷した舌を冷やす。 「バレンタインだからこそだよ」  悠二は淡々として答えた。明後日は日本中の男子たちがざわめく日。その日に肉まんを食べているこいつは、サークル内でも三指に入る美人の、

    • 『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』を観た僕が手紙を書きたくなった話

       手紙、書かなきゃ。    潤んだ目をこすりながら、僕はすぐに思った。手紙を書こうと。  年末年始に『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』を観た。巷では話題になっていて、いつかは観ようと思っていたが、ほんとに忙しい日々を過ごしていたので、なかなか観れず、この機会にイッキに観た。完全に沼にハマった。本当に素晴らしい作品で、なんでリアルタイムで観なかったんだと過去の僕にビンタしたい。それくらいとても素晴らしい作品だ。  知らない方のために、概要を説明させて頂く。『ヴァイオレット

      • 先週からカクヨムで、小説『人事部の閻魔さん』を連載開始しました。毎週水曜日更新してます! よろしくお願いします! https://kakuyomu.jp/works/1177354054918649438/episodes/1177354054918650532

        • 月夜の蟹

           最近怒ってばっかりだ。環境が変わったせいで、つもりに積もったストレスが少しずつ溢れ出し始めてきた。テレビでは毎日のようにコロナのニュース。PCR検査がどーたらこーたら、給付金がどーたらこーたらでキリがない。都知事は特に対策もせずに、毎日のように会見を開いている。うんざりするのでここ最近はテレビを観るのをやめた。youtubeを開くと文化人たちが「WITHコロナ」というテーマをひっさげて、これからの日本のあり方、世界のあり方を語っている。なんだろう、この現実を受け止めなければ

        『おめでたいヤツらとチョコレート』

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        • ショートショート
          2本
        • 平成童貞男
          4本
        • 京都弾丸旅行記
          8本
        • 大人の読書感想文
          1本

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          感情日記

          皐月独特の新緑の香りが、カーテンからふわりと入ってくる。 この青臭さがもうすぐ夏がきてしまう暗示。季節の匂いってやつだ。 外には出てはいけないという、区長からの街頭アナウンス。もう聞き飽きた。 みんなみんな、このコロナ禍に辟易している。政治は相変わらずお粗末。 一方で意識が高い、某実業家、某編集者、某専門家たちは煽り文句を謳いながらyoutubeでの再生回数を稼ぎまくってる。 はあ、ウザイ。 この状況下で時代は変わるとか言っているけど、いまいちピンとこないし、 こっ

          ただ、ただ書く。

          何を書けばいいのだろう。ぜんぜん、思いつかない。 年末年始はできるだけ、ダラダラせずに能動的になろうと思った。だけど書けない。 オンラインサロンの課題が大晦日に書き納めることが嬉しすぎたのだろうか。昨年の恋愛ことを書き上げるのがすごく苦しくて、完成した時は達成感が溢れていた。そのせいだろうか、新年になってから書かなければならないという強迫観念が僕の中で生まれていた。 昨年からずっと書いている小説も書きあがらないし、ある人に贈りたい小説もまだ完成していない。仕事中にその構

          サカナクションと夜の散歩

           学生時代から付き合っていた大学の同期が結婚した。先日、その結婚式に行ってきた。同じサークルの内でのカップルだったので、同期や先輩が招待されていた。軽い同窓会みたいで学生の頃に戻った気がした。  式が終わった19時過ぎ、二次会はなかったので、サークルのメンバーで二次会に行く事になった。お酒が進み、みんな互いの状況報告をし始める。結婚して子供を産んだ先輩、起業して仕事に追われている同期、彼氏ができた後輩。大学を卒業して各々、変化をしていた。 「で、お前は最近どうなの?彼女で

          「既読」なんか無くなってしまえ。

          「既読」なんか無くなってしまえ。  SNSを利用しているうえで、この「既読」という機能がとても厄介であることだと気づいた。  今のSNSに既読を無くす設定はない。それは、東日本大震災の影響があったからだ。安否確認の為に、この「既読」機能が大いに役に立つのだ。  だけど、僕は根本からこの「既読」を消してしまいたい。たしかに、災害時は「既読」があるかどうかで、心の持ちようが全然違う。  この「既読」というものが、コミュニケーションを大きく変えてしまったと思う。  2か月前の

          「既読」なんか無くなってしまえ。

          島本理生さんの「ファーストラヴ」を読了。その中で主人公の旦那さんが、カメラマンという設定だった。しかも二人の出会いがギャラリーであること。なんの変哲もないことなんだけど、以前オンラインで出した課題に出した登場人物が全く同じだったのでびっくりした。

          島本理生さんの「ファーストラヴ」を読了。その中で主人公の旦那さんが、カメラマンという設定だった。しかも二人の出会いがギャラリーであること。なんの変哲もないことなんだけど、以前オンラインで出した課題に出した登場人物が全く同じだったのでびっくりした。

          平成童貞男③:ダサい自分を認める

           この平成において、一度たりとも彼女ができなった。誰のせいでも、タイミングのせいでもないし、明らかに僕自身のせいである。 「平成のうちに童貞卒業出来なかったのはダセぇな」とモテる男子からは言われると思う。確かに僕は「ダサい」。では「ダサい」というのは何だろうか。簡単に言ってしまえば、カッコ悪いだろう。この1か月余り、僕のダサさについて考えてみた。そして、ある答えに辿り着いたのだ。  それは、僕が「ナルシスト」であることだった。  結局は自分自身が大好きなのだ。可愛い彼女

          平成童貞男③:ダサい自分を認める

          平成童貞男:②チョコレートを高確率でもらえる方法

          「チョコレートが欲しい!!!」 ついにこの季節がやって来てしまった。世の中の男性が一年で一番ソワソワする日、”バレンタインデー”。そして、今年は”平成最後のバレンタインデー”でもある。 平成童貞男の僕にとっても、この日はソワソワしてしまう。2月に入ってからPerfumeの『チョコレート・ディスコ』しか聴いていない。それくらいにバレンタインデーに期待を寄せている。  チョコレートを貰えることは男としての勲章みたいなものである。女性からプレゼントを貰えることは、この上ない喜び

          平成童貞男:②チョコレートを高確率でもらえる方法

          "平成童貞男”『僕が彼女ができない理由』

           カミングアウトをするが、僕は童貞だ。正確にいえば、素人童貞だ。 27歳になって一度も女性とお付き合いをしていないのは、恥ずかしいことでもあるし、「人それぞれでしょ」と開き直る僕もいる。  さらに、開き直るが30歳を目前にして童貞である男性なんてごまんといる。彼らを卑下するつもりもないけれど、僕は全く女性に免疫がないわけではない。もちろん、デートだってしているのだ。デートはしているけど、それ以上に発展しないのだ。  僕は童貞であることをコンプレックスだとは思ってはいないし

          "平成童貞男”『僕が彼女ができない理由』

          『絶望してる暇があったら美味いもの食べて寝る』

           満月を見ていると、決まって片想いのあの子を思い出してしまう。  それは、どうしてだろうか。たぶん、夏目漱石が”I Love You”を『月が綺麗ですね』と口説き文句へ和訳した話が有名だからだろう。好きな子に想いを馳せてしまうのも、仕方ないかもしれない。    だけど、今日の満月は嫌いだった。  渋谷で用事を済ませ、お腹が空いてくる頃。時刻は18時を過ぎていた。家に帰って夕飯の支度をするのも面倒くさいし、今日は日曜日の夜だ、どこかで美味しいものを食べて帰ろう、とスマートフォ

          『絶望してる暇があったら美味いもの食べて寝る』

          『田舎の長男』の生きる道とは?

           年末年始は、僕は実家で過ごしている。都会の喧騒から離れて、星が見える実家はやはり落ち着く。しかしながら、毎回実家に帰ってくると色々考えることがあるのだ。それは、”親類の圧”である。  僕は、田舎の本家の長男だ。生まれながらにしてにして、”跡取り”の宿命を背負わされている。小さいころから親戚から可愛がれ、あれよあれよと育っていた。そして「将来はこの家を守っていくんだよ」という洗脳をされていった。  就職をする時には僕は普通に東京を選んだ。なぜならば地元が嫌いだからだ。自分

          『田舎の長男』の生きる道とは?

          『24時間で本は何冊読めるのか」ということをやってみた。

           「24時間で本は何冊読めるのか」ということをやってみた。いかにもYouTubeでありそうな動画タイトルであるが、恐らく動画であると絶対つまんないだろう(笑)  なぜこんな企画を始めたのかというと、単なる僕の嫉妬から始まったものである。月曜日の会社の帰りInstagramのストーリー機能を眺めていると、友人の一人が『今週のおすすめノートの紹介』で紹介されていたスクリーンショットを挙げていた。それを見た瞬間、頭の中でパチッと、なにか弾けるような音がした。それが嫉妬という火種だ

          『24時間で本は何冊読めるのか」ということをやってみた。

          ショートショート『夏、蜉蝣』

          夏になると、必ず会っている女の子がいた。 神社の夏祭りに必ずいる。白と薄紅色の花びらが描かれている浴衣を着ている女の子だった。色白で、鼻筋が通り、瓜実顔。誰もが認める美人だった。 今年で16回目の夏を迎える、僕にとってはささやかな楽しみでだった。 初めて出会ったのが3年前の夏祭りだった。 その日はいつも以上に、祭りが盛況していた。どうやら、30年ぶりに神社で花火大会が復活するらしい。 僕は、部活の友達と来ていたのだが、人の波に巻き込まれてはぐれてしまった。ひとりぼっちで、行

          ショートショート『夏、蜉蝣』