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平成童貞男:②チョコレートを高確率でもらえる方法

「チョコレートが欲しい!!!」

ついにこの季節がやって来てしまった。世の中の男性が一年で一番ソワソワする日、”バレンタインデー”。そして、今年は”平成最後のバレンタインデー”でもある。
平成童貞男の僕にとっても、この日はソワソワしてしまう。2月に入ってからPerfumeの『チョコレート・ディスコ』しか聴いていない。それくらいにバレンタインデーに期待を寄せている。

 チョコレートを貰えることは男としての勲章みたいなものである。女性からプレゼントを貰えることは、この上ない喜びだ。そして貰ったチョコレートの数を必ず競う。貰った数が多いほど、男の価値が決まる残酷な日でもあるのだ。

 こんな僕でも、昨年のバレンタインはチョコレートを貰えたのだ。入社して、初めて社内の女性から、チョコレートを貰えた。義理だけど、1個だけど、飛び上がるほど嬉しかった。今年1月に新しい部署に異動したが、貰えるかどうかドキドキしている。

 しかし、昨今のバレンタインはある変化が起こっている。

 それは、「友チョコ」と「自分用のチョコ」が増えているのだ。チョコレートが欲しい僕にとっては、由々しき事態だ。そのきっかけとなったのが、ある広告だった。

 昨年、チョコレートの老舗GODIVAが『日本は義理チョコをやめよう。』という広告を打ち出したことは覚えているだろうか。天下のGODIVAが、世の女性を気遣い、バレンタインに義理チョコを渡す必要性がないことをコピーで訴えていた。これには、賛否が巻き起こり話題を呼んだ。(ちなみにこのコピーを書いたのは男性だそうです)

 ”これはほんとそう思う”
 ”社内調整に気を遣わなくて済む”
 ”休みの日にチョコレートを買うのも気が重かった”

世の女性たちがこの広告に多いに賛同していた。”義理チョコ”という日本特有の文化に苦しめられた女性たちにとっては、まさに救いの一言であっただろう。しかし、男性たちにとっては死活問題だ。

 ”チョコが欲しい!!!なんてことだ!!!”
 ”義理チョコがなくなると本当に何も貰えなくなるから寂しい”
 ”マジかよ…友達に3個は確実に貰えると言っちゃたよ……”

男性たちからは悲哀が混じる声でいっぱいだった。僕も彼らと同じ気持ちだった。僕もこの広告を見て「なんてことをしてくれたんだ、GODIVA……」と意気消沈したことを覚えている。それを含めて当日は義理チョコを貰えたので喜びがかなり大きかった。

 GODIVAの広告がきっかけとなって、昨今のバレンタインは「友チョコ」と「自分用のチョコ」というトレンドになってきた。

 まずは「友チョコ」、いわゆる”友達にあげるチョコレート”だ。この「友チョコ」には今革命が起こっている。それは、「手作りで大量生産すること」が主流になっている。
 しかもその手づくりが異常なまでにこだわるのだ。可愛いキャラクターのチョコレートや、なかには本格的なチョコレートブラウニーまで作る猛者もいる。なぜ、ここまでこだわるのか? その答えは”映え”である。
 SNSの台頭によって、貰ったチョコレートをアップすることが増えてきている、つまり”映え”な手づくりチョコレートを大量生産して配り、写真を取りつつ、美味しく食べるという二重の楽しみが今の「友チョコ」の実態なのだ。

 「自分用のチョコ」は自分のご褒美の為のチョコレートを買う人が増えてきているのだ。
バレンタインを機に、高級チョコレートを買って帰る人もいる。現に僕の知り合いも、自分用のチョコレートを買っていた。値段も、会社に配るチョコレートよりも3倍くらい価格が違う。有名パティスリーも、女性向けのチョコレートを開発をすすめていて、新たなビジネスの一つとなってきているのだ。

 もはや、バレンタインデーは「男性たちのイベント」ではなく、「女性たちのイベント」にシフトしている。彼女がいる男性は確実に貰えるわけだから、さほど問題がないのだが、彼女がいない僕含めの独身男性、そして童貞たちにとっては非常事態なのだ。貰えるか貰えるないかでその日のモチベーションに関わってくると言っても過言じゃない。ならば、どうすればいいのか?そんな悩みに、ある一人の俳優がアドバイスしてくれた。俳優の竹内涼真である。

 竹内涼真がGhanaのプロモーションで「チョコが欲しい方にアドバイスをお願いします」という質問に対して、こんな回答をしていた。

「待っているんじゃなくて、自分からあげに行くんです!自分から行きましょう!」
 
 つまりは「逆チョコ」である。貰うじゃなくて、逆にあげれば、もらった側は少なからずともお返しをするということになる。さっすが、天下の竹内涼真だ!これで逆チョコをすれば、お返しが貰える……と、そう思ったが、僕はあることに気づいた。

 待て!それは”竹内涼真”だからこそ、通じることではないのか⁉ イケメンだから出来ることだろう⁉

 危うく、騙されるところだった。このアドバイスは竹内涼真含め、イケメンのみが許される技だ。顔に自信がない男性たちが逆にチョコレートをあげるとどうなる?恐らく、「ちょっと待って⁉」と気持ち悪がられるだろう。竹内涼真レベル、吉沢亮レベルといったイケメンからチョコレートを貰えば、お返しどころか、世の女性はたち身を捧げてしまう。        ダメだ、話にならない!イケメンではない僕にとっては無意味な話だ!

 さて、竹内涼真のありがたいアドバイスも意味を為さないなので、僕は再び露頭に迷うことになってしまった。ここは、もう色々調べるしかない。出来る限り、ネットやYouTubeから情報集め、3つの方法がチョコレートをもらう確率が高くなると結論が出た。バレンタインデーまで残り少ない日数だが、実践してみる価値はあるので紹介していく。

1「女性に優しくする」
 もうこれは、鉄板中の鉄板だ。女性に優しくすることは何よりも大事だ。しかしこれにはデメリットがある。バレンタインデー直近に優しくするのは、さすがに女性の方も感じ取る。これじゃ、ちょっとダサいし惨めだ。僕はワンピースのサンジの教え『すべてのレディーに優しく』を徹底している。常日頃からレディーに優しくしているから、この点に関しては僕は有利である。

2「女性に”チョコ”を刷り込ませる」
 料理の話をしているわけではない。これは一種のサブリミナル効果のひとつだ。いや、もはや洗脳に近い。何かしら会話に”チョコ”というワードを含ませる。もしくは、常日頃からチョコレートを食べるところを見せる。こうすれば相手の潜在意識に”チョコ”が刷り込まれるので、チョコレートが貰える確率は高くなる。

3「ストレートにお願いする」
 1、2がどうしてもできない場合は、最後の手段としてストレートにお願いしよう。ここはプライドが非常にネックになってしまうので、プライドを捨てたとしてもチョコレートが欲しいなら、真摯にお願いしよう。大丈夫、きっと想いは伝わる。

この3つの方法をバレンタインデーまでに実行すれば、確実とは言えないが、チョコレートを貰える確率は高くなる。そして忘れてはいけない、もらったら必ずお礼をしよう。

 僕もこの方法を見つけられてほっとしている。これで、もう恐れるものは何もない、新しい部署でもきっと貰えるだろう……、あれ?何かが引っかかった。そして僕はとんでもないことに気が付いてしまった。


『うちの部署、おっさんしかいないじゃん‼』


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