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『24時間で本は何冊読めるのか」ということをやってみた。

 「24時間で本は何冊読めるのか」ということをやってみた。いかにもYouTubeでありそうな動画タイトルであるが、恐らく動画であると絶対つまんないだろう(笑)

 なぜこんな企画を始めたのかというと、単なる僕の嫉妬から始まったものである。月曜日の会社の帰りInstagramのストーリー機能を眺めていると、友人の一人が『今週のおすすめノートの紹介』で紹介されていたスクリーンショットを挙げていた。それを見た瞬間、頭の中でパチッと、なにか弾けるような音がした。それが嫉妬という火種だった。その嫉妬という火種が劣等感という業火に広がった。羨ましくて、悔しくて、むかついた。「僕も何か書かかければ」という焦燥感に駆り立てられた。しかし、そういう感情では絶対に面白いものは書けないことを僕は知っていた。そこで、僕は冷静になった。「今、僕に足りないと感じてるのは語彙力や表現力、そして教養だ、より多くの文章に触れなければ…!」と思い、今回の企画に至った。

 木曜日に有給休暇をとっていたことを忘れていた僕は、神保町の三省堂書店に足を運んでいた。一万円以内で本を買いにきていた。選ぶ本は僕が読みたい本であり、知らなければならない本を買うことを決めていた。一万円以内で選んだのが以下の11冊である。

1.中島敦『李陵・山月記』

2.安部公房『壁』

3.松本清張『点と線』

4.太宰治『走れメロス』

5.志賀直哉『暗夜行路』

6.谷崎潤一郎『痴人の愛』

7.寺山修司『あゝ、荒野』

8.宮沢賢治『風の又三郎』

9.向田邦子『阿修羅のごとく』

10.小松左京『復活の日』

11.原田マハ『暗幕のゲルニカ』

 以上が悩みに悩んだ11冊である。なぜ、この11冊にしたかひとつずつ理由を述べていく。中島敦『李陵・山月記』は山月記という話がどういう話か知りたかったのと、林修さんがタモリさんに紹介していたことを思い出して読みたいと思った。安部公房『壁」は今を時めくアイドル乃木坂46の齋藤飛鳥さんが、安部公房を読んでいたのが理由だ。(彼女のファンではないが弱冠20歳の今どきの女の子が安部公房を読むセンスに珍しく感じたからもある)松本清張『点と線』は社会派ミステリーの金字塔で、ミステリー好きの僕にも読んでみたい作品だった。太宰治『走れメロス』は一般教養として購入。志賀直哉『暗夜行路』は松浦弥太郎さんの『センス入門』という本の中で、「志賀直哉の文章はセンスがいい」と大変絶賛していたので、どれほどセンスのある文章なのか知りたくて購入した。谷崎潤一郎『痴人の愛』は、今度の会社の忘年会で行う店が谷崎潤一郎にゆかりのある店だったから、興味本位で購入した。寺山修司『あゝ、荒野』はこれも映像化されている作品である。これは、僕が愛してやまない女優、池田エライザさんが好きな作家であるとWikipediaで知ったからだ。いずれは対談するので、彼女の嗜好には触れるべきだと思った。いや、必読だった。宮沢賢治『風の又三郎』は一般教養として。向田邦子『阿修羅のごとく』はこれも映像化作品でもある2003年ごろに映画化された時は僕は小学生だった。そして”阿修羅”という言葉が僕にとってはなにか強烈な印象を受けたのをうっすら覚えている。小松左京はずっと読みたかった作品だった。10年前、高校時代の先生がこの本を紹介したの覚えている。あらすじを聞いた時はすごくワクワクして、どうしても読みたかった。しかし本屋に行っても巡り逢えなかった(Amazonで探せば一発じゃん、と思う方もいると思いますが、本は巡り合わせなのです!)だが、その日、やっと巡り合うことが出来た。原田マハ『暗幕のゲルニカ』は僕がミステリーを書く時にこのテーマで考えていた。しかし、それに先駆けて原田マハさんがすでに書いていた。しかも本職のキュレーター。勝てるはずがないと絶望した思いがある。その作品がどんなものが知りたかった。

 以上が11冊を選んだ理由である。そして、早速家に帰り、読むことを始めた。「24時間で全部読めれば、天才かもしれない」というあり得ない妄想を抱きながら、ひとつずつ本を読み進めた。そして結果3冊しか読めなかった。よほどの速読の技術がない限り、24時間で11冊を読むことはほぼ不可能に近い。もし、読めたとしたら、もう作家としてデビューしてるのではないかと思う。別に全てを読破してたとしても、いきなり文章力が劇的に変わるわけでもないし、アイディアが急に降ってくるわけでもない。ただ、僕の嫉妬から始まった企画なので、結果は3冊で終わったとしても、24時間中本に触れる経験ができたことは大きいと思う。僕はこの嫉妬に駆り立てくれた友人に感謝をしたい。ここまで本に向き合うことができたことを。買った本は全て読破する。そして、今度は『一ヵ月で何冊読めるのか?』という企画に挑戦していこうと思う。
#日記 #エッセイ #読書 #嫉妬

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