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『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』を観た僕が手紙を書きたくなった話


 手紙、書かなきゃ。
 
 潤んだ目をこすりながら、僕はすぐに思った。手紙を書こうと。

 年末年始に『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』を観た。巷では話題になっていて、いつかは観ようと思っていたが、ほんとに忙しい日々を過ごしていたので、なかなか観れず、この機会にイッキに観た。完全に沼にハマった。本当に素晴らしい作品で、なんでリアルタイムで観なかったんだと過去の僕にビンタしたい。それくらいとても素晴らしい作品だ。

 知らない方のために、概要を説明させて頂く。『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』は2018年に放送されたアニメで、制作は京都アニメーションである。痛ましい事件を乗り越えて、翌年には「外伝」という形の劇場版が公開され、その翌年は「完全新作」の劇場版が公開され、1月15日時点で観客動員数145万人、興行収入21億円を突破している。今では鬼滅の刃が圧倒的な人気を誇っているが、個人的にはこちらを観たほうがいい。(※ちなみに僕は「完全新作」の劇場版はまだ観ていません。もちろん、無限列車も)

ストーリーのあらすじ
 4年間にわたる東西南北による大陸戦争が終結。その戦場で「武器」と称されて戦うことしか知らなかった少女・ヴァイオレット・エヴァーガーデンは、激化する戦場で両腕を失い、自在に動く義手を付けることを余儀なくされる。
退院したヴァイオレットは、ホッジンズの下で、自動手記人形としてC.H郵便社で働きはじめる。ヴァイオレットには、かつて戦場で誰よりも大切な人・ギルベルト少佐がいた。最後に聞かされた「愛してる」という言葉が理解できなかった彼女は、仕事と日常を通じて人と触れ合いながら、その言葉の意味を探していく。(Wikipediaより)

 と、この物語のキーアイテムである「手紙」の代筆業を通じて、主人公のヴァイオレットは、人々の愛のかたちを知っていく物語である。ひとつひとつの話がとても濃厚で、心揺さぶられる。そんな中で思ったのが、「手紙を書くこと」だった。


 新型コロナウイルスの影響で、生活が一変し、オンラインの利便性が強調された時代でもあった。デジタルシフトというキーワードが叫ばれ、実生活や仕事でも常にネットと繋がることが今以上に強くなった。しかし、やはりこういった環境でも人に直接会えないのが寂しいものがある。コロナという分厚い壁に遮られ、行動に制限がかけられ会いたい人も中々会えなくなった。こういう時代であるからこそ、「手紙を書く」ことは強い意味があると僕は思うし、「手紙」というのはどんどん貴重な存在となっていくのは間違いないと思う。
 早速、潤んだ目を吹きながらamazonでレターセットを買う。

 完全に『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の世界観の影響を受けて買ってしまったレターセットだ。さて、レターセットは揃った。問題は「誰」に書くかだ。

 いちばん最初に家族が浮かんだけど、常に連絡は取り合っているので少し違うなと思ったので、書く相手は大学時代にお世話になった、下宿先の大家さん夫婦に決めた。僕は大学の4年間、一般の方がやっている下宿で学生生活を過ごした。昔は大衆食堂を経営しており、その後学生の下宿先として開いた。大家さん夫婦は僕にとって第二の両親みたいで、色々相談に乗ってもらった。恋人がいなくて悩んだとき、就活が上手くいかなくて慰めてもらったとき、優しく接してくれた。卒業してからも、ちょくちょく遊びに行っていた。だが、今回のコロナの影響で会いに行くことを断念した。大家さん夫婦も、70歳を超えているので万が一、僕がうつしてしまったら大変だ。そんなことはしたくない。だから、せめて「元気です」というひと言だけでも伝えたいと思った。
 

 いざ、手紙を書く。ペンを持つと少し緊張した。文章を書くことには慣れているはずなのに、手紙となると噓みたいに手が止まる。この現象はなんだろうと思う。とりあえず、深呼吸をして伝えたい想いを筆にのせた。「僕は元気です」と。それがいちばん伝えたいことだった。書き終わった後も、少し照れくささは残るが、やはり手紙はいいものだと改めて思う。この貴重な体験をもっと他の人にも分け与えたいなと思った。今年はたくさん手紙を書こうと思う。

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