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【多角化経営】TBSホールディングス

今回は、「TBSホールディングス」をリサーチしました。
民放キー局の一角、ドラマやバラエティでおなじみのTBSです。テレビ離れと叫ばれる昨今、TBSはどのように生き残りを懸けているのでしょうか。
それでは、さっそく見ていきましょう〜


①概要

基本データ

事業内容:認定放送持株会社、傘下子会社およびグループの経営管理、不動産事業
設立
:1951年
上場市場:東京プライム市場
時価総額:4522億円
従業員数:6586名 単体133名(平均年齢47.2歳)※
平均年収:1459万円※
2023年3月期有価証券報告書より

祖業はラジオ放送から始まり、今では地上波・BS・CS放送に加え、Tverなどでのオンラインの番組配信やスポーツ中継まで幅広く放送事業を手掛けています。
特に日曜21時からの「日曜劇場」枠は伝統と格式高いドラマ枠。なんと1956年から放送されていて、NHKも含めて日本で最古の放送枠だそうです。代表作は「華麗なる一族」「半沢直樹」、最近では「VIVANT」が話題になりましたね。

ちなみに、平均年収は1459万円と非常に高い表記ですが、これはホールディングスとしての数値です。持株会社の形を取る企業の平均年収は、一般社員ではなくグループ内でもかなり上層の役職員の平均年収になります。特に就活での企業研究などではあまり鵜呑みにしないほうが良いかと思います。

②事業内容

メディア・コンテンツ事業:放送法による放送事業など
ライフスタイル事業:ショッピングや知育・教育など
不動産・その他事業:
不動産管理など

TBSは「VISION 2030」と題した中期経営計画において、テレビの広告収入以外の収益源を育てるとしています。具体的には、2030年までにグループの売上高比率を、現在の「放送:その他=6:4」から「4:6」にする野心的な多角化戦略です。
主な動きとしては、動画配信サービス「U-NEXT」の持分法適応会社化や、教育大手「やる気スイッチグループホールディングス」の連結子会社化が挙げられます。いずれも数百億円規模の投資を行って、事業領域を拡大させています。

③業績

直近の決算

営業利益:本業で稼いだ利益
経常利益:営業利益+本業以外の損益の合計
純利益:税金などを引いたあとの最終的な利益

テレビ離れと言われる中にあっても、売上高は順調に伸びています。特に2023年は教育大手「やる気スイッチグループ」を傘下に収めたことから6.7%伸びています。
一方で営業利益と経常利益は2021年をピークに減少傾向です。

貸借対照表(B/S)

続いて貸借対照表を見てみましょう。
貸借対照表(バランスシート=B/S)は、その会社が持つ資産を可視化したものです。

流動資産:現金にしやすい資産(現金・受取手形など)
固定資産:現金にしにくい資産(土地・建物など)
流動負債:1年以内に返済が必要な負債(短期借入金・引当金など)
固定負債:1年以内に返さなくても良い負債(長期借入金・社債など)
自己資本比率:総資本のうち自己資本が占める割合。高いほど健全。

純資産の多さ、自己資本比率の高さが強みと言えるでしょう。この財務余力が、TBSの積極的な多角化戦略を支えているものと思われます。

また、固定資産が多いのも特徴です。
内訳を見ると、7割ほどを投資有価証券が占めていることがわかります。
投資先の企業は半導体大手「東京エレクトロン」や人材大手「リクルート」などとなっています。
業務上取引のある企業や従来から付き合いのある企業の株式を保有し、昨今の株高でその評価額が上昇したため、固定資産のうち7割をも占める巨額の資産になっているようです。

損益計算書(P/L)

続いて損益計算書です。
損益計算書(P/L)は、その会社がどう稼いで、何にお金を使ったのかを可視化したものになります。

売上高:本業で稼いだ収益
売上原価:売上を上げるために直接かかった費用
販管費:商品の販売や管理にかかった費用(広告費や賃料など)
営業利益/損失:本業で出た利益/損失
営業利益率:売上高のうち営業利益が占める割合。高いほど効率よく稼いでいる。営業損失の場合は算出できない。

売上原価が多いですね。テレビ局の売上原価は主に番組制作費やスポーツ放映権、それらに関わる番組スタッフの人件費が相当すると思われます。売上の実に7割が原価となっていて、利益率は思ったほど高くない印象を受けます。

株価の動向

最後に、直近5年間の株価推移です。

2023年に入ってから1000円ほど上昇しています。
率にして年初来では65%プラスとなり、非常に大きな上昇幅となっています。
要因としては、TBSが加入する民間放送連盟(民放連)が、「放送分野における外資規制等に係る法令改正」を国に申し入れたことが挙げられそうです。これまで、公正な放送を守る観点から、外国資本が日本の放送事業者に参入することは規制されてきました。今年2月に民放連が、株主管理の事務負担軽減の観点から規制の緩和を国に求めたということです。
この動きにより、外国資本がTBSを始めとした日本の放送事業者に投資をすることが容易になるとの思惑から、株価が高騰しているものと思われます。

他にも、日本株全体が上昇基調であること、やる気スイッチグループの買収を通じた教育分野への参入、舞台『ハリーポッター』の観客動員が50万人を突破し好調であることなど、複合的な要因がプラスに働いているのだと考えられます。

④まとめ

以上、「TBSホールディングス」についてリサーチした結果、
・民放の一角であり放送のほか教育業界や舞台などのコンテンツ事業も展開
・純資産が多く、固定資産として投資有価証券を多額保有している
・原価率が70%と高い
・2023年以降株価が高騰している

でした。

今後も個人的に気になった企業についてどんどんリサーチしていこうと思います。

参考資料

TBSホールディングス決算資料

Bloomberg

シネマカフェ

M&A ONLINE

AVI

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