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【詩】今日も私は。

春を運んできた風が、
少し冷たくて、
彼と別れたあの日のページが
気づけば開かれてしまっていた。


もっと縋ってみればよかっただろうか。

そんなことを、
ふと思ってしまった。

素敵に歳を重ねているのだろうか。

そんなことを、
ふと想像してしまった。



なんだか私は、
自分のことがとてもつまらなくて、
汚い人間に思えた。


何に向かって頑張っているのかわからず、
ただひたすらに走っている。

もしかしたらそれは、
滑車のようなものかもしれない。
疲れるだけ疲れて、進んでいない。

時々、すごく切なくて、肌寒い感情になる。
あの時、一番幸せを祈っていたはずの彼。
その彼の、不幸を願うことすらある。

そして、不幸を願ったかと思えば、
今日だけ、あなたに受け止められたいと、
気持ちが揺らいで、
ろうそくの灯のように、
危うく、光る時まであるのだ。


そんなドロドロとした汚さを抱えた私は、
幾度となく、人に置いてかれてきた。

「普通に、当たり前に、同じように」
そんな言葉から、いつも逃げてしまう私は、
気づけば、取り残されてしまう。

忘れられて、私だけが思い出を抱きしめる。

いつも、
誰の頭の中にもいられない私は、
本当にここに存在できているのだろうか。

そんな不安が、私の心をいたづらに、
ざわざわと揺らして笑っていた。

大きな風が、音を立てて、
私の前を通り過ぎていく。

今日も私は。


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