女のカバンとチラシ束。チラシと当日パンフレットの話。
舞台を観に行くたびに思います。宣伝美術の依頼を受けるたびに考えます。
その時々に必要な・求められる見栄えがして、必要な情報のほか作り手側の思いやなんやかや伝えたいことを伝えられて、ユーザーにやさしいツールってなんだろう、と。
本日は日々感じたり考えることをザっと書き記します。特に解決策やアイデアを出す記事ではありませんのであらかじめご了承ください。
また、演劇に馴染みのない方でもなんとなくイメージくらいはできるように説明を付けつつ書いておりますので、気楽に気軽に読んでいただけましたら嬉しいです。それではツールに関する簡単な説明から行ってみよー。
演劇に馴染みがない方へご説明、基本セットのこと。
まずは、観劇に行ったユーザーが手にする販促物の基本セット(チラシ・当パン・チラシ束)について、演劇に馴染みがない方にもわかるように簡単に説明しまーす。演劇公演に運ぶとこの辺りのものが配布されます。入り口で渡されたり座席においてあったり。
チラシ
言わずもがな、その公演のチラシ。A4両面が主流。上がりA4の折パンやA5、A4変型なども多い。サイズや形に規定無し。目立ってなんぼではあるが狙い過ぎると取り回しが悪く、効果も発揮できない。基本的に表面はビジュアル・タイトル・日程・会場程度のボリューム、裏面は公演の詳細な情報がみっしり。
当日パンフレット
二つ折りが主流、上がりA4やA5などの簡易的なパンフレット。多くはコピー用紙にスミ一色。代表者あいさつ、配役(役名・役者名)、ストーリー、スタッフなどが記載されている。制作サイドで作ったり、宣伝美術が作ったり。最低限の情報ではあるが観劇のガイドとなるもの。
チラシ束
近日中に上演される公演情報を中心としたチラシ束。出演者の次回出演作品のチラシだったり、客層が近いであろう公演のチラシだったり。団体や日程などにもよるためボリュームはまちまち。サイズまちまちのペラを当日パンフレット(当パン)で挟み込み配布する形が多い。
一般的に公演会場で配布されるブツが「チラシ・当日パンフレット・チラシ束」だと思うのですが、それについて思うことがあります。
「これ、必要?」
ヒトコトで言ってしまえばそういうこと。ただ「以上、終わり!」というのはあまりに雑なのですこしだけ説明します。
この、劇場でよく配布される紙類一式、持て余しませんか。
宣伝美術が言うのもなんですが。
私は持て余しがちです。
それにはいくつかの理由がありまして、簡単に書いてみます。
◎紙がもったいない
◎好みのチラシが少ない
◎観劇中邪魔になる
◎鞄に入らない
◎さいごに
紙がもったいない
「宣伝美術であるお前さんがそれを言うか」と、各方面からなかなかの勢いでツッコミが入りそうですが言います。だって常々思っているのですもの
紙、もったいなくない?
私個人の考えで言うと、そもそも公演のビジュアルや告知が紙である必要はないと思っています。不足なく情報が行き渡るのであればwebと連動して画像だけだっていいと思う。とはいえ、実際は情報の拡散・販促(作り手)、把握・保存・保管(受け手)という意味でまだまだ紙が求められるというのはあるし、紙のツールを完全になくすというのは難しい。だけれどももうちょっとうまいことできないかなぁと考えています。
プロモーションにガッツリ掛けられるぐらいに販促費が潤沢か、コンテンツが既に魅力的であったり有名であったり、あるいはキャストの集客力や会場のキャパがうまい具合に合致して集客に苦労しない場合に限っては紙媒体を用いないということも可能だと思う。
好みのチラシが少ない
デザインを手掛ける人間の特性で、折込の束の中から気になるチラシをピックアップ・保管する場合もあります。でも実際、束の中から抜き出したくなるようなチラシって多くない……。ほとんどポイ。特に裏面のレイアウト、文字組み。これは好みの問題もあるし、出入りする劇場の規模やテイストによる部分もあるので一概には言えないのですけれど。引っ掛かりの少なさという視点だけで言えば劇場のチラシ棚から気になるものを自分でピックアップする、で十分な気もします。
「興味があって観に行った公演の折込なのにそう思う」のだから、よほど秀逸なビジュアルか、好みにドンピシャでなければ効果は期待できない。そう考えると数千枚の規模ではそれがどれだけ集客に結びつくのか……。せいぜい若干数じゃなかろうか。集客に結びつけることを考えるとかなりの枚数をそれなりの期間幅広く撒かねばならんと思うのですが、予算と労力の確保という面から見ても重要性の認識という面から見ても、まずほとんどの団体が考えてはいないでしょうし、企画制作者へ提案したところで即「無理」と言われることでしょう。これもやはりプロモーションにガッツリ掛けられるぐらいに販促費が潤沢ならば……です。
観劇中邪魔になる
これ、地味にネックになるやつ。ホールクラスなら席もゆったりしているし問題ないんですよ。しかし小劇場では侮れないチラシ束の存在感。席、キュウキュウじゃないですか、最小限の荷物でさえ戸惑ったりするじゃないですか、そこに挟み込んだだけのチラシ束って結構主張するじゃないですか。落としても取れないし落ちそうなの挟まってるし、みたいな。変型とかハガキサイズみたいなのも地味に困る。あと、座席キュウキュウだと開演前に見るのすら隣に気をつかう時ありません?A4サイズでさえ。私だけ?
鞄に入らない
これはもう本当に個人的な話なんですが。仕事帰りのソワレ観劇(※夜公演のこと)ならともかく、休日の観劇には大概小ぶりのバッグで参ります。オシャレしたいから。(※センスはともかく気概の話)そうすると折らずに入るのはせいぜいA5サイズまで。チラシは基本A4ですし、できる限り折らずに持ち帰りたいのでポケッタブルバッグを持って行ったりするわけです。煩わしいけど仕方がない。なので私の場合は観劇前の準備で、服とともにバッグやサブバッグのコーディネートも考えることになります。うん、面倒臭い。
自分が観客の時は面倒臭いというだけで済むのですが、作り手に回った時に困るポイントでもあります。そういう「女心・女性の事情」を知っているものだからすんごい迷う。とはいえチラシの判型は上がりA4が多いので、何かしらは折るような格好になりやすく華麗なる回避はできないのですけれど。観客に回るような時にはやはりできる限り折りたくないなと思うし、つくる側としても正直言えば折らずに持ち帰り、かつ保管までしてもらえたら最高だし。なんとかいい案はないかなと毎度悩む。作り手と受け手のリアルな声ってどうなんでしょうね。
ちょいと脱線します。当日パンフレットのサイズとか、それもコピー紙ではなくてちょっとイイヤツ、ちゃんと印刷に出しているようなものの場合は更に悩みます。過去の事例で言うと上がりA5の折パン(観音)を制作したことがあるのですけれど。その時は割と評判が良かったみたい。ま、無料でしっかり読み物テイストな8Pパンフだったらそりゃそうか。
さいごに
以上、チラシ・当パン・チラシ束について日々感じたり考えることをザザザと記しました。これは今後しっかり考えてゆきたいテーマです。実現の可能不可能を考えずただ理想を書き連ねると、
エコだけど情報を行き渡らせることができて、詳細やちょっとしたトピックスまで網羅、情報に触れたお客様へのフックになり集客に繋がることはもちろん、アーカイブなりコレクションしたくなるようなひとつのコンテンツにしたい。
うん、ごめん、わし欲張りだから。
みなさまが日頃感じること、疑問やご意見、聞かせていただけましたら幸いです。実験も含めて様々試してみたいところですので、お気軽にコメント・メッセージ頂けましたら嬉しいです。