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ことのはいけばな

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花を活けるように、言葉を三十一文字の器にのせて活ける。地軸の傾いた地球に乗って、太陽の周りを一巡り。花を立て言葉を立てて、遊行します。
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#短歌

ことのはいけばな 小寒 第67候『芹乃栄 (せりすなわちさかう)』

ことのはいけばな 小寒 第67候『芹乃栄 (せりすなわちさかう)』

冬になってからというもの、日々の花のお手入れ時、水の清らかさにすっかり気持ちが洗われる。空気の清浄さということもあるけれど、どうやら人間以外の生き物は、太陽からのエネルギーに対してなんとも素直で、冬至前後は生命あるものの束の間の休息のときなのだろう。人の世は年末は師走というほど慌ただしい。
日は短くなって余計に焦り、無理をする。冬への適応がうまくいかないまま、麻痺した感覚で休むことを忘れ、ご多聞に

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ことのはいけはな 立夏 第20候『蚯蚓出』

ことのはいけはな 立夏 第20候『蚯蚓出』

目に青葉めめずめみえず紫の目にあやかなる文目も見えぬ

陸(おか)を引く大国主の如き名よ土を喰らいて国造りなす

氏神であやめ立てれば人形のふるき眼差し貫かれしか

紫の大き蝶の花舞を豪奢な死者の依代にして

ことのはいけはな; 春分 第12候「雷乃発声」

ことのはいけはな; 春分 第12候「雷乃発声」

花を活けるように、言葉を三十一文字の器にのせて活ける。
はなとことばを立てて相互記譜。七十二候の「ことのはとはなの旅」。

竣工後約1年のお庭。お引き渡しの時も、喜んでくださっていたけど、花曇りの日曜日に訪ねて、なお一層その可愛がりっぷりが深まっているのがわかった。思うに、植物だって人を見ている。桜を愛でるお花見も相思相愛だからこそ、ここまでみんなが心待ちにするから、彼らも美しく、誇らしげに咲いて

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ことのはいけばな;啓蟄 第8候「桃始笑」

ことのはいけばな;啓蟄 第8候「桃始笑」

花を活けるように、言葉を三十一文字の器にのせて活ける。
はなとことばを立てて相互記譜。七十二候のことのはとはなの旅のはじまり。

赤坂氷川神社の花手水。

「はなのみち」の生徒さんたちとはじめる。

初回は自分で活けた。

椹(さわら)の剪定枝をいただいた。紅白の桃は若々しい。それに菜の花。

ホワイトデー ほころぶ顔は 桃の花

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ことのはいけばな ;雨水第5候「霞始靆(かすみはじめてたなびく)」

ことのはいけばな ;雨水第5候「霞始靆(かすみはじめてたなびく)」

花を活けるように、言葉を三十一文字の器にのせて活ける。
はなとことばを立てて相互記譜。七十二候のことのはとはなの旅のはじまり。

植栽を手がけたコロナにより営業自粛の続くホテル。植物は擬の地面でも、大気に差し込んだ身体で機微を察し、春を招く。引き寄せたけど、水槽を眺めるような。

カプセルの内より眺む擬似自然アアソウカイの春に霞みて

春霞コロナウィルススギ花粉黄砂も何も祓う松籟

ひたすらに光の

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ことのはいけばな ;雨水第6候「草木萌動」

ことのはいけばな ;雨水第6候「草木萌動」

花を活けるように、言葉を三十一文字の器にのせて活ける。
はなとことばを立てて相互記譜。七十二候のことのはとはなの旅のはじまり。

山口へダンスカンパニーのツアーに同行。

https://www.youtube.com/watch?v=X8Y_TiJje2k

湯田という土地に泊まった。

ホテルから劇場へ行く途中に、小山があって、神社があった。

温泉を教えたという白狐が住んでいたらしい巣穴が、

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ことのはいけばな  雨水;第4候「土膠潤う」

ことのはいけばな 雨水;第4候「土膠潤う」

花を活けるように、言葉を三十一文字の器にのせて活ける。
はなとことばを立てて相互記譜。七十二候の「ことのはとはなの旅」。

松岡正剛さんの『日本文化の核心』を読んで、
僕は面影を立ち上げたいのだと、よくわかった。
あの日、あの場所に花をいけたことが「ことの始まり」だったのか。

大好きな雑木林があって、ちょっと入るとそこは秘密の場所だった。ある時花を始めたばかりの僕はお花屋さんで好きな花を買って、

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ことのはいけばな 第一候「東風解凍」…節分に花を手向けて

ことのはいけばな 第一候「東風解凍」…節分に花を手向けて

花を活けるように、言葉を三十一文字の器にのせて活ける。
はなとことばを立てて相互記譜。七十二候のことのはとはなの旅のはじまり。

令和三年 第一候「東風解凍」…節分に花を手向けて

花材/藪椿、朴判椿、苔梅、白梅、蕗の薹

1 鬼やらい 椿の春(あかり)と 梅の晦(やみ)ひともとの束(つか)

苔むし てゐる

2 艮(うしとら)の はざまに鬼の

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