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古本屋ができるまで・できたあと

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岐阜県美濃加茂市に作る古本屋「HUT BOOKSTORE」ができるまでの記録と、できたあとの記録です。
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本屋を始めて増えた備品や什器たち

本屋を始めて増えた備品や什器たち

前回書いた「古い建物を直し、本屋にして3年。起こった問題点。」は、建物自体の話だったけれど、今回は「本屋の備品」の話を書いていこうと思う。本屋を始める前は、ここに看板を付けて、本棚を置いて…と考えるのだけれど、オープンしてすぐにその考えは甘かったと知ることになる。(きっと本屋を始めた人全員がそうなっていると思いたい…)それぐらい、計画通りにいかない現実が待っていた。

増やした(増えてしまった)備

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古い建物を直し、本屋にして3年。起こった問題点。

古い建物を直し、本屋にして3年。起こった問題点。

古い建物を直し、本屋にして3年。不具合がなかったかと言われれば……正直ある。予想していた問題もあれば、全く予想しない問題も発生していて、どうしたものか…と対応を考えたものもあるけれど、まぁーいいかと開き直っていることの方が多い。

ざっと上げると、

天井から砂がパラパラと

壁のひび割れ

壁にカビ発生

下屋部分から雨漏り

強風豪雨で戸の下から雨水が侵入

軽微なものから重大なものまで、思い

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古い建物をどこまで直して店の空間とするか

古い建物をどこまで直して店の空間とするか

古い建物を今の時代に建てられる建物と同じ耐震性や快適性とすることは難しい。絶対にできないかと言われればできるかもしれないけれど、古い建物を新築同様にするためには新築以上にお金がかかる。

まず耐震性能はないに等しい。耐震という考えが建物に活かされはじめたのは半世紀ほど前で、建物も揺れに弱く、場所によっては地盤も弱い。工事中に建物が倒壊しないように補強を入れて維持しつつ、地盤を補強することになる。

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過去に刻まれた記憶に今の時代の価値観を加えること

過去に刻まれた記憶に今の時代の価値観を加えること

朽ちる一歩前を美と捉えるかゴミと捉えるか
HUT BOOKSTOREとして古書店を開こうとしている場所は、歴史ある建物でもなければ、文献的な意味もない。どこにでもある古い建物にすぎない。その建物に関わってきた住み手や作り手、建物に出入りをしていた人、風景として眺めてきた人など、各個人が抱える思いがあるだけ。

それぞれの思いの集合体が歴史と言えるかもしれないけれど、その小さな1つがなくなったことで

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改修前の建物の現状

改修前の建物の現状

古書店を開こうとしている場所は、岐阜県美濃加茂市の中山道太田宿にある木造2階建ての3軒長屋の右端。街道沿いだけれど、建物自体は江戸時代から続くような歴史はなく後から建てられたもの。

左端は元々薬屋さんであった場所を漆継を行う「nipponia」へと姿を変え、真ん中は昔から続く宝造園生花部(花屋)、右端は鮮魚の卸や煮付小売りなどを行う魚徳さんの店舗であったけれど、この場所から100mほど西側へ移転

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物件との出会い

物件との出会い

古本屋をやれる場所があったらいいなと思いはじめて2、3ヶ月ほど経った2020年8月。岐阜県美濃加茂市の空き家バンク「みのかも時間」を見ていたら、中山道太田宿沿いの物件が掲載されていた。

物件は木造2階建て。以前は床屋さん(たぶん・・・。)で道路面に店舗スペースがあり、奧に台所や浴室などの水まわり、2階はリフォームされて綺麗になった個室がいくつかあった。水まわりの改修が必要なものの、元店舗であれば

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