改修前の建物の現状
古書店を開こうとしている場所は、岐阜県美濃加茂市の中山道太田宿にある木造2階建ての3軒長屋の右端。街道沿いだけれど、建物自体は江戸時代から続くような歴史はなく後から建てられたもの。
左端は元々薬屋さんであった場所を漆継を行う「nipponia」へと姿を変え、真ん中は昔から続く宝造園生花部(花屋)、右端は鮮魚の卸や煮付小売りなどを行う魚徳さんの店舗であったけれど、この場所から100mほど西側へ移転し、その後、海外の家族が住まわれていた場所を自分が借りる形となった。
建物の状態は決していいとは言えないのが正直なところ。柱の数は今の建物と比べ少ない上に細く朽ちている部分も見られ、さらに改修でにより柱も何本か切られた形跡もある。また、昭和58年9月に起こった台風による大雨により河川が氾濫し、建物は水にも浸かっている。
店の道路側には立水栓があり、入口を入ったところにはタイルが貼られた壁が印象的。魚を扱っていた形跡がいくつも見られる。床は魚屋さんの後にこの場所を借りた海外の家族の方が住みやすくするために張ったとのことだった。
この辺りは撤去できる部分は撤去、構造的に補強したい部分は柱を入れるなど少しはしたいと考えている。(地震の揺れで崩れる前に逃げる時間を稼ぐための補強を。)
その奧は完全な和室と昔通り土間であった名残がある。そして、その奧にも部屋があり、2階にも部屋はたくさんある。全部使ってもよい場所のだけれど、必要な部分だけを改修して古書店として使用する予定。
天井裏には昔のまま。かなりカビ臭いのが問題点かもしれない。使える部分は使い、壊せる部分は壊していくイメージで。
2階の窓からは中山道の街道が一望できる。街道を鍵状にすることで見通しを悪くし、敵の侵入を遅らせる効果を狙ったという場所もよく見える。
この場所を借りなければ街道を上から見渡すというをしなかっただろう。とてもいい景色。2階は一般公開する予定はないですが、ゴロゴロしたい人がいたらという場所になりそう。
前にも出ず、後ろにも下がらず、ただそこにある場所を。そして、少しだけ気持ちがいい空間の中で本をパラパラとめくれる場所にしたい。
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