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笹塚 心琴 【す-19】文学フリマ東京38
2022年2月22日 16:12
1干からびた蝶を燃やす火 忘れたら許されたのと同じことだね2カポエラかカポエイラかで揉めたよねシャペウ・ジ・コウロが告白だった3雨の日につけあった傷鮮やかに全治一生であれと祈る4(内緒だよ)(何が?)(それだよ)(ああこれね)風が吹いたらキスの続きを5ジムノペディ口ずさむきみの手のなかですぐぷっつんする祭りの金魚6ひとりからふたりになって失ったものを数えて指が足りな
2022年2月21日 17:00
1観覧車ひりひり上がる 天国の一番近くで泣き出しそうだ 2まだ誰も見たことがない症状を見せてあげますお部屋においで 3セロテープを噛むと甘い 教科書に載ることだけじゃきみが見えない 4テーブルにレモンがひとつ 爆発を待つ共犯になってください 5 貸したまま返ってこない傘なんて忘れていいよ忘れたいから 6午睡から醒めてもきみがいないせい 打消し線に満ちゆく視界
2022年2月20日 19:57
1薔薇の咲くような笑顔でといわれてまずはまぶたをひっくり返す2プチプチを潰しています 世界から緩衝地帯を奪っています3靴ひもを結びなおしているうちに間を詰めてくる公園の鳩4(ラブソング)誰のものでもないきみのまだ美しいまなうらの色5世界って素数でできているじゃないビートルズって5人なんだよ6星狩りの帰ってこない歩道橋は流しそうめんができそう、うふッ7じゃんけん
2022年2月19日 19:09
1ピアノ線よりもか細い夏でした 音階のない波を見ました2フロアからテナント去って白い壁 間違い探しの終わらない夏3犯人の名前かき消す蝉の声 悪くない人だけが泣いてる4PASMOには二十五円しかないから今日は各駅停車で帰る5座席にて脚を広げるおっさんがズワイガニならよかったのにな6カーナビがうさぎの声で「次を上です迷うよりましなほうです」7自転車で海辺の坂道下る
2022年2月18日 22:00
1ブランコを思い切り漕ぐ大人にはなりたくなかった つま先で蹴る2「ジュラ紀にもいじめが存在したらしい」「変わらない良さがありますねえ」3鉄くずが人工衛星だったころわたしもみんな大好きだった4雨の日の少女鏡に懐かしく今も小さなほくろを撫でる5沈黙が氷雨となって降った午後ゲームオーバー画面が明るい6ぽけっとに手を突っ込んで街をゆく誰を斃せばいいのだろうか7真夜中
2022年2月17日 21:06
雪解けは終わりの合図、春そしてきみは言うんだ「はじめまして」って笑顔が似てきたね、と藍子に言われて以来、ときどき鏡に向かって笑ってみる自分がいる。よく夫婦は似るものだと言われるけれど、私たちも例外ではないようだ。「では、あなたはご自身のアイデンティティの一部として病気を認識しておられると?」灼熱の真夏、クーラーの効いているはずのコーヒーショップの一角が、やけに居心地悪く感じられた。私は
2022年2月15日 18:33
1白壁にピンクの花弁春はすぐそこまで来てる(頭が痛い)2苛立ちは生ぬるさゆえ風さえも優しくなってしまう季節だ3ぎちぎちにイルミネーションを巻かれた桜が笑うまで、あと●秒4その地図に春は来るかい来ないならピンクのペンを貸してあげるよ5愛未満我儘以上嫌悪感深呼吸且つ深い溜息6導火線にも春が来る火をつけて笑っていいか確認をする7口笛の練習をしていたはずが舌打ちばかり
2022年2月10日 21:05
1カレールーふたりのために溶ける夜にテレビは見ないふたりのために2中辛と言いたいのかなLINEには「チュウからにして」って書いてるけど3明日もし世界が終わるならカレー終わらないとしてもやっぱりカレー4こいつらはほとんど同じ材料で肉じゃがになる未来もあった5隠し味当ててみようかなんてまだ大切な人みたいな口調6何度でも聞かせてほしい「おいしい」は愛の言葉と気がついたから
2022年2月7日 19:09
1鞭打てばいうことを聞く獣ども論理だててもむごいはむごい2消えかけの炎を愛でた日々があり強風の日は笑い続けた3のど飴を舐めているからヒトだろうそう簡単に殺してはだめ4幸せな日々であったとの証明 卒業式に檸檬を贈る5毒親を自称する母の手首にまだ新しい傷跡がある6正答を提示したのに嚙みついたこいつは獣けなしてもよい7大切なことは濁しておきましたモザイクかけた卒業写
2022年2月5日 20:58
1はち切れる寸前の糸携えて一人ぼっちで微笑む真昼2屋根裏に取り残された人形が謙虚さを求められてぷっつん3サイレンが近づいてくるきみはまだ夢とうつつを彷徨っている4糸くずの存在価値はきみだけが傷の深さとともに知ってる5絹糸で吊るされている鏡の前で笑顔の練習をする6三つ編みをほどいたあとのウェーブは泡に還った人魚の名残7役割を失くした人形役割を失くした人と屋根裏に
2022年2月4日 17:03
1揺れている洗濯物を眺めつつ「明日も生きていたいね」ときみ2久々に結った髪の毛(少女には戻れないこと承知の上で)3春を待つ前髪を切る咳をする優しすぎると苦しくなるね4にびいろのぶらんこに乗るそびえたつビル群がみなあかね色に染む5被害者と加害者分かつ境界をチョークで引いて血色の夕暮れ6「いのちを大切にしましょう」人々が必ず気にする消費期限7サーカスの来ない街に住