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短歌 糸 十首

1
はち切れる寸前の糸携えて一人ぼっちで微笑む真昼

2
屋根裏に取り残された人形が謙虚さを求められてぷっつん

3
サイレンが近づいてくるきみはまだ夢とうつつを彷徨っている

4
糸くずの存在価値はきみだけが傷の深さとともに知ってる

5
絹糸で吊るされている鏡の前で笑顔の練習をする

6
三つ編みをほどいたあとのウェーブは泡に還った人魚の名残

7
役割を失くした人形役割を失くした人と屋根裏に添う

8
絡まった糸ほぐすようきみからの「ごめんね」を待つ長閑な時間

9
意識とはか細い糸の集合体(だからきみのはほつれてるんだ)

10
運命の糸絡まってほどけないダブルベッドが海原をゆく

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