外に出て、人に会って、聞きまくる。すると「読者の半歩先」が見えてくる/編集者の言葉#11
今回は、雑誌「VERY」編集長の今尾朝子さんの言葉です。読者に「これが読みたかった」と思ってもらう企画作りの第一歩、ネタ集めの基本について、今尾さんは、次のように述べています。
単なるネタ集めなら、ネットで検索すればいい話。それをなぜわざわざ時間をかけて「外に出て、人に会って、聞きまくる」なんて、手間のかかることをするのでしょうか。
読者の半歩先のリアルを徹底的に追求する
それは「VERY」が読者の「半歩先のリアル」を追求し、「がんばれば手が届きそうな、ちょっとだけ先を行っている感じ」を提案する雑誌だからです。今尾さんは同じ本の中でこう述べています。
読者に「そうそう、この感じ」「こういうの、ほしかったんだ」と思ってもらえる企画やキーワードづくりをするためには、読者の生の声にふれ、「今足りていないことや、困っていること」、特に本人たちが気づいていないけれど必要としていることを見つける必要があります。
そこで、「VERY」で頻繁に行われるのが、読者やターゲット層の方々に直接会って話を聞く読調。
読調を行えば、必ず発見があるそうです。読調では、誌面に対する率直な意見を聞くそうですが、そのときに「どこのブランドが好き?」と聞いたりもするそうです。
そのなかで話を聞いていると、ファッション、受験、セックスレスに悩んでいる、といったリアルな本音が漏れ出てくるようになるそうです。ときには、今尾さん達が思いもよらなかった読者の欲望に気づくこともあるといいます。
編集者の仕事とは、欲望の言語化だ
こうした読者の生の声が編集企画をつくるときのヒントになって、誌面がリアリティに富んだものになるのですね。
と述べておられるように、「VERY」では「シロガネーゼ」や「公園デビュー」などさまざまなキーワードをつくってブームをつくってきました。
こうしたキーワードは、頭の中で考えているだけでは生まれません。やはり読者の生の声が企画ネタのもとになるのです。
企画を考える際は、「VERY」にならって、たとえば社内でターゲット層に近い人や、社外の知り合いのつてをたどってプチ読調をすればより通りやすい企画、消費者に届きやすい企画になるのではないでしょうか。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
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