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音楽でたとえるなら、編集者とは曲と曲をつないでフロアを盛り上げるDJだ/編集者の言葉#12

こんにちは! 今回は『TOKYO STYLE』(ちくま文庫)をはじめ独創的な書籍を数多く作ってきた大御所編集者・都築響一さんの言葉をご紹介させてください。

音楽でたとえると、ミュージシャンにあたるのが著者で、DJの役割を果たすのが編集者なのかもしれない。DJの仕事が曲と曲をつないで、ひとつの音楽のかたまりを作るように、いろんな記事を組み合わせて、一冊の本に組み上げていく。素材を作るのはあくまでミュージシャンで、編集者は一緒に曲をつくるわけではない。/『圏外編集者』

編集者=DJという表現が面白いですね。
続けて都築さんは、こう説明しています。

ヒット曲ばかりかけるDJって、ありえないでしょ。だれも知らない曲だけをかけ続けられても、踊れないでしょ。だから知名度がいろいろだったり、ときにジャンルがまったく違ったりする音楽を入れて、予想外の展開にしていくのが、フロアを盛り上げることにつながったりする。

編集者が書籍を編集するときも同じです。DJがミュージシャンが作った曲をつないでいくように、作家さんが魂込めて書いた原稿の並び順を考えながら編集していく。さまざまメディアで執筆された原稿をもとにエッセイ集を編むときなんて、やってることはまさにDJです。

時系列や掲載メディアごとに編んでいくのは定番だけど、それだけじゃ面白くない。「ここは書き下ろしの原稿をお願いしようか」なんて、遊びの要素を入れて、読者にとって予想外の展開をつくっていきます。

すると、もともとバラバラだった「読み物」のかたまりが、ひとつのストーリーを持った「本」として立ち上がってきます。これぞ編集者としての醍醐味のひとつです。

「つなげることで価値をつくる」という意味で言うと、実は、企画をつくろうとするその瞬間に、編集ははじまっています。

すべての企画は、編集から生まれてくるともいえます。極論を言えば、編集は編集者だけがやっているものじゃなくて、実はすべてのビジネスパーソンが仕事で行っているものなんですね。

話を戻すと、都築さんは、先に述べたようなDJになるためには、いろんなジャンルの音楽を聴いて、自分の世界観を拡張させていくことがすごく大切だと本書で述べられています。

都築さんの話を編集者に置き換えるなら、ベストセラー以外の本を読んだり、いままで自分が読んだことのなかったジャンルの本を読んだり、あえて自分の考え方とは真逆の本を読んでみるなど、さまざまな本を読んで自分の世界を広げておくことがそれにあたるでしょう。

この言葉を読んでいてまた「名言の本」を編んでみたくなりました。

最後まで読んでくださりありがとうございました。
よい一日を!



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