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「プロフェッショナル」を目指す人のためのクリエイティブ特別授業/『内藤廣と若者たち』

はじめまして、そして、今日も来てくださってありがとうございます。今日は、お勧め本『内藤廣と若者たち』のご紹介です。

本書は元東大副学長で建築のプロフェッショナルである内藤さんが、これから「ものづくり」のプロになろうとする若者たちの質問や悩みに答えながら、人生や仕事について語る特別授業のような本です。


人生の答えは未来が決める

たとえば「道を決める」という章のなかで、内藤さんはこんなことをおっしゃっています。

 答えは未来が決める。つまり、ある分かれ道で決断をするとき、どっちが正しいかなんて、絶対にわからないと思う。そのあとの時間を一所懸命に生きて、その選択を正解にできるかどうか、という生き方しかできない。 
 だけど決めるときは、正解はないと思いつつも、できるだけ考えて決める。そのときの決断が正解だったかどうかは、いま、よりよく生きているかどうかにかかっている。

『内藤廣と若者たち』

道を決めるというのは難しいことで、誰だって迷います。ですから決断に迷うことは、人間として当たり前のことです。

人はそれぞれ違う速さで生きています。決断しなければならない問題の大きさも違います。「迷う時間」も人生には必要なのです。

決断に迷うということは、それだけ慎重にことを運ぶ人ということでもあり、なかなか決断できない自分をいちがいにダメな自分だと責めることはありません。

とはいえ、決断に迷って前に進めない状況があまりにも長く続くと苦しいものです。そんなときに背中を押してくれるのがこの言葉です。

この言葉を読んで思ったのですが、決断に迷ってしまうのは私たちが「決断=結果」と思い込んでしまっているからかもしれません。

決断が全てを決めてしまう。そう思うからこそ「下手な決断はできない」と考えて、どんどん迷ってしまう。

しかし本当は決断しただけですべてが決まるわけじゃないんですね。自らが決断したことに対して、それを正解にするためにどれだけ一生懸命に生きたかも大きく影響してきます。

だから「正解はないと思いつつも、できるだけ考えて」決断をして、その後の時間を一所懸命に生きる。そこではじめて正解かどうかが見えてくる。つまり、「答えは未来が決める」というわけです。

すぐに分かる個性なんて、たいした個性じゃない

自分の個性という問題についても、内藤さんは同じようなことをおっしゃっています。

 自分の個性なんて、あとでわかるものだよね。手前でわかっている個性なんて、たいした個性じゃないよ。
 よくわからないまま必死でやって、とにかくこれしかできない、ということをやり通して、その三年後とか五年後に、ああ、あれはこういうことだったんだ、と実感できるものこそが本物だ、と思う。
 なにかに必死にむきあって結論を出したときというのは、そのときの自分を超えているはずなんですよ。ベストをつくしたときというのは、どこかでジャンプしているから。

『内藤廣と若者たち』

私自身、自分では自分の個性が何なのかわからないままに、ずっと原稿を書いてきました。

そして4年がかりくらいで脱稿して、はじめての著書を出したとき、いつもお世話になっているあるコラムニストの方に「佃さんらしい本ですね」とお言葉をいただいたんことがあるんですね。そのとき、そうかこれが私の個性だったのかと思ったことがあります。

本書ではこのほかに「ものづくりのこころ」「才能のかたち」「日本人であること」「リーダーに問われるもの」など18のテーマについて、論じられています。

自分のなかの「プロフェッショナル」を呼び起こされる本なので、若者のみならず40~50代の方にもお勧めの一冊です。

※アメーバブログ2016年10月15日の記事を加筆修正した再録記事です。

最後まで読んでくださりありがとうございました。
よい一日を!



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