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記事の小説まとめ

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記事で書かれた小説をすべてまとめています。
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2024年1月の記事一覧

【掌編小説】 とある小説家志望の私小説

最初は、絵が好きだった。
フルカラーの漫画を描いてみて、大変だったから、小説を書いた。

こっちの方があってた。漢字のかきとりも好きだったし。

文字が好きだ。言葉が好きだ。

人を傷つけるのに、救うところも好きだ。

だけど、小説家になるつもりはなかった。

ある小説に出会った。

衝撃。

こんな小説を書きたいと思った。

でも、書き方がわからない。

だれも、教えてくれない。

とりあえず、

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【毎週ショートショートnote】 怪人制御冷や麦

「ひやむぎん?」
「当店の看板キャラクターです」

変なポスターだと思っていたが、看板キャラクターだったとは…。

「冷や麦でできたモンスターですわ。そうめんでできたヒーローのソウ・メンが、自分と似ているから、この世から消すために、うどん怪人をあやつって、攻撃をしかけるのですわ」
「くわしいね」
「わたくしが、つくりましたわ」
「…高嶺さん、ああいうの好きだね」
「大好きですわ!!」

わたしは、

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【毎週ショートショートnote】 会員制の粉雪

季節はずれのかき氷を食べに行きませんこと? と、高嶺さんに誘われ、ほいほいついっていった。

そして、わたしは高嶺さんと南極にいた。

「寒い!」
「南極ですもの」

完全防寒の衣服に身をつつんでいても、高嶺さんは品がある。

「二人とも、長旅、ごくろうさまです」

高嶺さんとわたしは、とある南極基地にいた。なんでも、宿泊施設のある南極基地なのだそうだ。

「世界のお金持ちが、こぞってやって来るの

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【毎週ショートショートnote】 逆光のみクジラ

「御神体が、すごいですのよ!」
「へえ…これ、なんの神様ですか?」
「わたくしの先祖ですわ!」
「まさかの!」

いや、高嶺さんなら、ありえる。
すごくお金持ちのご令嬢だし。

この神社は、高嶺さんの祖先がお世話になったって言ってたけど…。

そもそも、先祖が建てたのでは?

「この御神体のすごさは、これだけではなくってよ」

高嶺さんは、ごそごそと、コートのポケットから丸いボタンがついた四角い器

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【毎週ショートショートnote】 夜光おみくじ

年越しの歌番組をひとりで見ていたら、いきなり高嶺さんが家にきた。

「初詣に行きませんこと? 最近、助手席が壊れたから、新調したタクシーですのよ」

真夜中に走るタクシーは、混雑する車道のすき間をぬって、とある山奥の神社にたどりついた。

…どこ、ここ?

「この神社は高嶺グループが、昔からお世話になっていますのよ」
「へえ、いつからですか?」
「平安時代からだったかしら…」
「思ったより、すごい

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