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【シカゴと周辺シリーズ】アッパー・ミシシッピが大好き

以前、仕事の関係で少しの間だけ、アメリカ・イリノイ州に住んでいたことがある。

住んでいたのはシカゴ(郊外)である。

子どもの頃から映画で憧れていた場所でもあるので、今でもよく思い出す。

想像以上に素晴らしい場所や出来事がたくさんあり、当時を思い出しながら、色々と書きたいこともある。

だが、私にとって「イリノイ州またはシカゴ」での思い出は、周辺のウィスコンシン州アイオワ州での思い出とセットになっている。

中でも、上の「3つの州が出会う街」というのがあり、私はその街が大好きである。

従って、「シカゴシリーズ」ではなく、「シカゴと周辺シリーズ」としてみた。

因みに、本記事はシリーズ第1回であり、お集りいただいた各位には、改めて感謝申し上げる。

そして、本記事が同シリーズの「幻の1回」となる可能性についても、重ねて申し添える次第である。


さて、私はシカゴのダウンタウンでも仕事をしたが、冒頭に述べたとおり、住んでいたのはシカゴ郊外である。

アメリカに住まれたことのある方、またはアメリカ旅行やハリウッド映画が好きな方はご存じかもしれないが、ひと口にシカゴと言っても広い。

『ブルース・ブラザーズ』『フェリスはある朝突然に』などの映画で印象が強いシカゴは、どちらかと言うとダウンタウンの方かと思う。

因みに、私は小学校2年生の頃から『ブルース・ブラザーズ』が最も好きな映画であり、2位の映画はいっぱいあるが、1位は不動である。

そこらへんの熱い思いは、以下の記事でも書いた。

そんなこんなで、ダウンタウンも実に好きなのだが、今回書きたいのは、逆にシカゴ郊外の話である。

映画に出てくるダウンタウンがシカゴのすべてと思われてしまってはもったいないほど、シカゴ郊外というのが、実に実に味わい深い場所なのである。

旅行でシカゴに行っても、なかなか郊外の方まで車で繰り出すというのも難しいかもしれない。

少しだけでも、シカゴ郊外の良さが伝われば嬉しい。


ひと口にシカゴ郊外と言っても、これはこれで広い。

私は前半、「シャンバーグSchaumburg)」という実にのどかな村に住んでいた。

ダウンタウンから車で1時間ぐらいだったと思う。

初めて村を訪れたのは(というか、渡米自体が初だったのだが)10月であり、、、実に静かな田舎というのが第一印象であった。

仕事仲間にオヘア空港から車で送ってもらい、"Schaumburg"の標識に迎えられ、村に入った途端、、、歩道を優雅に(歩いて)横切るカナディアングース(Canadian Goose)の列が目に入って、軽くカルチャーショックを受けた。

こんな何もなさそうな場所で暫く暮らすのか、、、最高じゃないか!と、そのときはホントで思った。

長く暮らすとなると、当然、それなりの覚悟は必要だと思うのだが、期間がある程度読めるのであれば、こんなに解放感に浸ることのできる場所も珍しいのではないかと思った。

ホントに静かな村で、オフィスビルやショッピングモールはあるのだが、あちらこちらに「カナディアングース(Canadian Goose)」「リス」が自由気ままに往来していた。

、、、何か文字ばかりだと、さすがに少し不愛想だから、たまに写真も織り交ぜていこうか。

こんな風にCanadian Gooseが通りを横切る、のどかなSchaumburg

また通勤路として、毎日"Busse Woods"という「森」の脇を通り抜けていた。

その森には「ヘラジカ」もおり(もちろん金網で囲われてはいるが)、毎日、自然と動物たちに囲まれたメルヘンな世界で暮らしていた。

Busse Woodsもすぐに私のお気に入りの場所となり、近所にこんな素晴らしい森があることに感謝した。

毎日、通勤で脇を通り抜けていた"Busse Woods"。少し中に入るとこんな感じ。
こんな森が、すごく近所にあった。
鳥、リス、ヘラジカなどにも会うことのできる実にメルヘンな世界

実は、このBusse Woodsで、私は一度、少し怖い思いをしたのだが、今日は楽しい話を書くこととし、怖い話は機会があれば。

後半は、アーリントンハイツ(Arlington Heights)という場所に引っ越した。

先ほどの「シャンバーグ」と「アーリントンハイツ」が、車で15~20分ぐらいで、一時期、毎日Busse Woodsの脇を通って2つの村を行き来していた。

森の脇道が、ちょうど2つの村を繋いでいるのだ。

引っ越した後のアーリントンハイツ

そんなに離れてもいないので、「シャンバーグ」「アーリントンハイツ」も大きく住環境は変わらないが、後者が心持ち賑やかであるとも感じた。


さて、今となっては、すっかり運転もしなくなった私ではあるが、シカゴ郊外では、車無しで生活するのはほぼ不可能であると感じた。

歩いて行ける距離にお店などないし、第一、歩道を歩いてる人自体、ほとんど見当たらない!(歩道を活用しているのは、カナディアングースだけ!)

従って、基本的に毎日運転していたし、週末はここぞとばかり車で遊びまわっていた。

多少疲れていても、当時は若く「勿体ない!」みたいな気持ちもあって(ムリして!)遊びまわっていた部分もあると思う。

さて、シカゴで私にとって最も忘れがたい場所の1つとなったのは、実はガイドブックで頻繁に取り沙汰されるような場所でもない。

すでに(意図的に)タイトルに入れてあるが、「アッパー・ミシシッピ(Upper Mississippi River)」である。

あの長大なミシシッピ川の上流である。

ミネソタ州を源流とし、メキシコ湾に注ぐミシシッピ川は、このイリノイ州も通過するのだ。

いや、 実にロマンのある話ではないか!

ミシシッピ川と言えば、その名のとおり「ミシシッピ州」とか、その他の州境を流れる下流などの印象が強いかもしれない。

ただし、その長大な(世界で4番目に長いとされる!)川の一部が、ここを通り、下流に至り、メキシコ湾に注ぐのである。

その「川は流れてどこどこゆくの」的な長旅、遠い下流、そして遥かに遠く思われるミシシッピ州、、、などに思いを馳せ、アメリカの自然の壮大さを実感できる、そんなアッパー・ミシシッピは私の大好きな場所である。

ついでに言うと、私はあの『ハックルベリィ・フィンの冒険』大好きでもある(いつもながら、大好きが多い!)。

もしかしたら、アメリカ文学で一番好きかもしれない(「一番好き」もいっぱいあったりするのだが。あと、アメリカ文学をそこまで読みこなしている訳でもないのだが)。

以前、『BLUE GIANT』の記事を書いて、「同漫画を読むと、ページから音が聴こえてくる」みたいなことも書いた(当然、私が書き始めた訳ではないが)。

実は、私にとって『ハックルベリィ・フィンの冒険』は、正にそのような作品なのだ。

以下は誇張なしである。

同作品を読んだとき、ホントに(行ったことのない)ミシシッピ川やそこに浮かべた筏に寝転んで眺める星空が見えたのだ!

さらには、ラストシーンに近くなると、何と! 南部のブルースやケンタッキー州歌が本から聴こえてきたのだ(ミシシッピ州歌に馴染みがあれば、そちらが聴こえてきたのかもしれないが)。。。

「ミシシッピ」と「ケンタッキー」の食い違い感により、少し「ん?」となった各位もおられるだろうが、問題はそこではない(いや、ケンタッキーのずれは、ちょっとゴメンやけど)。

今後の人生において「川と星空が見え、歌が聴こえてくる本」を超えるまでのアメリカ文学に出会えるのかどうか、結構難しいと思う。

さすがにマーク・トウェイン大先生だ。

そんなこんなで、私はハックにも呼ばれ、ある週末にアッパー・ミシシッピに繰り出し、心を動かされた。

どれほど動かされたかと言うと、感動を忘れられず、車で何時間もかかるアッパー・ミシシッピに(日帰りで)土・日の2日連続で行ってしまったくらいである。

さて、大部分の方がすでに振り落とされてしまった感もあるが、私の空回り気味の熱量にお付き合いいただいている貴重な各位に、最後に少しアッパー・ミシシッピの写真も共有したい。

アッパー・ミシシッピの岸部にあるパリセーズ公園(Mississippi Palisades State Park)の入口

あいにく1日目は雨だった。

別名「妖怪 傘忘れ」の私だが、この日は私の愛すべき中国人ソウルメイト「モンキーマジック」さんが傘を用意してくれていた。

アッパー・ミシシッピの岸部にあるパリセーズ公園(Mississippi Palisades State Park)の駐車場に車を止める。

観光客も地元の人も、だぁ~れもいない。

実は、シカゴ郊外には、素晴らしい景色を満喫できる場所がいっぱいあるのだが、この「だぁ~れもいない」という状況に結構遭遇した。

年末間近のシーズンオフだったからなのか、それとも、シカゴ郊外にまで繰り出す人があまりいないのか。

雨の中、誰もいない州境で木々の間を潜り抜け、丘へ上がってゆく。

丘の上から眺めるアッパー・ミシシッピ。

雨に濡れながら上ってきた甲斐があった。

何とも、素晴らしい!
まるで湖のようだ!

雨と若干の靄により、余計に神々しい装いとなっている

そして、川岸に下りていった。

誰もいない雨のアッパー・ミシシッピを独占。

積り始めた末、溶けずに残ったわずかな雪が、これからの本格的な冬の到来を暗示している。
これはトップ画像でお見せしたやつ

いやいや、対岸が靄で霞んで見える。

これがだなんて、すごい。

この写真を見てたらができた。

~ ハミングバードのポエムコーナー ~
雨に孤独に遊ぶアッパー・ミシシッピ。
その壮大な姿は、さながら海のようであった。
しかし、川であった。
(完)

やばい、しょうもない詩を書いてアッパー・ミシシッピの邪魔をしている場合ではない。

「いやいや、より本場のミシシッピ下流に行けばいいのでは?」という意見があるかもしれないが、それはそれで正しいのかもしれない。

ただ、「自分が運命的に来ることとなったシカゴという場所で、下流に赴かずにして、壮大なミシシッピ川の一部を構成する上流に出会えた点にロマンを感じた」ということを共有したいだけである。

そして、その素晴らしさを伝え、「イリノイ州の外れに、ケチな男 1人の心を動かす程度には素晴らしい場所」があり、それはアッパー・ミシシッピというらしい、ということをこれを読んだ誰か1人にでも覚えていてほしいだけである。

それにしても、今日はこの姿を1人占めだぁ~、、、と思ってたら、実は途中で1台だけ車が来た。

カップルのようだったが、車から下りず、物凄い早さで立ち去って行った。。。

う~む、本記事にここまでお付き合いいただいた各位に申し訳ないが、全員に共感いただけるとは思わない。

「ただの川でしょ?」みたいな話と思われるかもしれない。

人それぞれなので、「何で分からないんだ!」などという気持ちは全く微塵もない。

ただ、100人に読んでいただけた場合、何人かにはロマンが伝わるのではないかという淡い期待もしている。。。


さて、かなり上の方で書いたが、「アッパー・ミシシッピ」は、シカゴ在住時代に、私にとって最も忘れがたい場所の1つとなった。

雨が好きになれない私ではあるが、雨のお陰で忘れられない思い出となったのも事実である。

やはり、「気高さ」は雨とともにやって来るのであろうか。。。」

これもすでに書いたとおり、私はこの翌日、もう1度、アッパー・ミシシッピに戻って来るのだ。

そして、1日目に負けず劣らず、素晴らしい体験をすることとなる。

しかし、2日目となり、その純粋な素晴らしさとは全く別の意味で、アッパー・ミシシッピは、私の心に生涯忘れることのできない思い出を刻むこととなる。

そんなことは、この1日目、雨を楽しむ私には、全く以て想像する術もなかった。。。

(つづく)






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