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本の感想まとめ。カバー写真は所属サークルHYGGEの合同誌。
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#読書

神さまを待っている / 畑野智美

神さまを待っている / 畑野智美

希望のある終わりを迎えた主人公を、もう私は羨ましいとは思わない。それは、私の成長であり、物語を真正面から受け止める若さを失ったということかもしれない。小説の始終を「これは創作だから」と割り切り自分への負荷を軽減する一方で、物語の結末が「一人でも多くの人の希望になりますように」と一読者の立場として願っている。

これは、貧困女子の再生の物語ではなく、人間関係への不信からの再生の物語だ。

主人公の愛

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隠された悲鳴 ユニティ・ダウ

隠された悲鳴 ユニティ・ダウ

『事実は小説より奇なり』
そして、『人間が想像できることはたいてい現実化できる』

この二つの言葉は、これまでの私の本読み人生を通し、間違いないだろうと思っていることだ。

小説というものは、そのほとんどがフィクション、創作であって、現実にあったことではなく、平たく言えば作者の頭の中で生まれ、練られ、作り物として世に放たれたものである。

殺人鬼が暗躍するサスペンスも、夜眠れなくなるホラーも、星空

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bechoriのカラフルハンドレタリング シンプルで美しい手書き文字レッスン

bechoriのカラフルハンドレタリング シンプルで美しい手書き文字レッスン

大阪か、京都で、レタリング用のモノライン(Bスタイルと呼ばれる丸いラインの書ける付けペン先)を購入できる場所はないだろうか。

御存じの方、コメントでお知らせいただけると幸いです。



文房具が好きで好きで、文具の仕事をしていた私の好みど真ん中の一冊。

レタリング技術の指南書としてもとても分かりやすい。
フルカラーで、サンプル掲載されているレタリングデザインもとても美しい。
説明文は簡潔で、

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ラブレターを送りたい 長田弘さんへ

ラブレターを送りたい 長田弘さんへ

敬愛する作家が二人いる。

一人は既に語り散らかしている江國香織さん。

もう一人は、長田弘さんだ。

2015年5月3日に惜しくも去られてしまった。75歳という年齢は、今時早すぎる死であるといえるだろう。

お亡くなりになる直前にみすず書房から全詩集が出ていて、「ああ、欲しいな、欲しいな」と思っているうちの、突然の訃報だった。訃報を聞いて「どういう意味なのか直ぐにわからなかった」ということが本当

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