画用紙の仏壇 その12
保護室と呼ばれる部屋の中央に、四方を鉄柵で囲まれたベッドがある。榎本ゆきは深い寝息をたてて眠っていた。薄い掛け布団から出た手足には白い拘束帯が巻きついている。
入院したばかりのゆきは静かに休んでいた。翌日の明け方、彼女はとなりの病室のベッドに立って「亀がいた! 怖い! 怖い!」と悲鳴をあげた。驚いた患者たちが一斉に部屋から出て、病棟はしばらく騒然となった。その日を境に彼女は保護室にいる。
ゆきは、自分の腹の上に獰猛な亀がいたと言い張った。彼女にしか見えない亀は、尖った歯を