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読んだ本についてあれこれ語るマガジン

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#存在と時間

ハイデガー「存在と時間8」(1927年)

ハイデガー「存在と時間8」(1927年)

ようやく全8巻を読み終えた。
ハイデガーの構想としては第2部まで続く予定だったらしい。
いずれにせよ、ここで一区切りということにはなる。

本書では引き続き時間のことを中心に考察が続く。
訳者の中山元による詳細な解説を頼りに読み進めてきたが、それでも理解できたとは言い難い。ただ、それでも自分の頭であれこれ考える時間を持つというのは大切なことだ。

自分が理解できた(もしくはこうだと思った)範囲で書

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ハイデガー「存在と時間 7」(1927年)

ハイデガー「存在と時間 7」(1927年)

時間をメインとした考察が続いている。

用語も含めて難解な部分が多い。それでも自分なりに考えながら読み進めてきた。
哲学に詳しい人や賢い人がどのようなコメントをするかはわからないが、今になってようやくわかりかけてきたのは、本書は人間が本来の姿に気がつくために、今までで常識としてとらえられてきた事柄を事細かに考察し、それが本当なのか主に存在と時間と言う対象について分析し、定義しなおしてきたということ

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ハイデガー「存在と時間6」(1927年)

ハイデガー「存在と時間6」(1927年)

いよいよ時間についての考察がはじまるようだ。
その一端として、人間にとっての「死」についての考察がある。
人間の一生を時間としてとらえると、「死」は時間の終わりということなのだろう。
なお、ハイデガーは人間の死と他の生物の死を区別しており、生物の死を「落命」としている。人間の死については解説において、ハンナ・アレントの言葉が引用されている。つまり、人が完全に死ぬということは、故人のことを誰ひとりと

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ハイデガー「存在と時間5」(1927年)

ハイデガー「存在と時間5」(1927年)

人間は普段、日常生活において現実世界に頽落してしまっている。つまり、人間本来の姿ではなくなってしまっている。
それが、不安によって、本来の自分が見えるというのがハイデガー( 1889年9月26日 - 1976年5月26日)の主張。
フロイト(1856年5月6日 - 1939年9月23日)も、不安という現象が人間の精神を深いところで刻印していると考えていた。同時代の人がこういうことを考えるのは面白い

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ハイデガー「存在と時間4」(1927年)

ハイデガー「存在と時間4」(1927年)

人間の根源について考察する本書について、根源よりも、哲学の基本がわかっていない自分が読む。
読んでいて、なんとなくわかった気になる部分もあるけれど、大半の部分は思い返そうすると、理解していなかったことに気づく。

「気分」「世間話」「好奇心」「まなざし」。慣れ親しんだ用語も、哲学において語られると敷居が高くなる。
それでも懇切丁寧な解説の助けを借りて、なんとなく、ざっくりと、理解した気になる。

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ハイデガー「存在と時間3」(1927年)

ハイデガー「存在と時間3」(1927年)

「存在と時間」をようやく3巻まで読み終えた。
哲学に関してはちびちび読んではいるけれど、ズブの素人なので、というエクスキューズをしないと読書感想文も書けないくらい難しい。
という前提のもとで自分の理解(もしくは誤解)を書く。

3巻を読んでいて印象に残ったのは、過去の哲学者たちの考えていたことが、ハイデガーとしては納得のいかないものであったということ。特に3巻においては、デカルトの哲学に対する批判

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ハイデガー「存在と時間2」(1927年)

ハイデガー「存在と時間2」(1927年)

いよいよ本編に入った。
現存在というのは、人間のことだ。
つまり本書は人間についての考察。生物としての人間ではなく「私」や「あなた」のことだろう。
まずは問いをはじめるにあたって、言葉の定義を延々と続けている。このあたりはイーロン・マスクが「なにかをはじめるときに、根本原理から考える」というのと似ている。

ハイデガーが考察をはじめるまで、人間の定義は「神と人間」の関係において語られてきた。そこで

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「存在と時間1」(1927年)

「存在と時間1」(1927年)

非常に難解だが、おさえておくべき本だと感じた。

正直、よくわからないので、もやっとした感想になる。
ハイデガーが問うているのは、現存在とはなにか、ということのようだ。
現存在とは我々人間のことだ。ギリシア時代の哲学者たち。ソクラテス・プラトン・アリストテレスはこの現存在について考えていたようだが、時代が流れるにつれて忘却、もしくは自明のものとされてしまい、形骸化していた。デカルトとカントはこの問

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