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読んだ本についてあれこれ語るマガジン

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2023年12月の記事一覧

坂田和實「ひとりよがりのものさし」(2003年)

坂田和實「ひとりよがりのものさし」(2003年)

「古道具坂田」主人によるエッセイ。
自分はまだ工芸と民藝と古道具と骨董品の違いがよくわかっていない。
本書で扱われているものは、おそらく「古道具」なのだろう。
とにかく主人が美を発見したアイテムを紹介している。

長い時を経てぼろぼろになったアイテムが多いのだが、見ていると、なんとなく味わいがあるような気がしてくる。古道具というよりは博物館に展示してあるような「瓦」のようなアイテムもある。
本を眺

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黒柳徹子「窓ぎわのトットちゃん」(1984年)

黒柳徹子「窓ぎわのトットちゃん」(1984年)

発売初年は一年間で450万部売れたという。
黒柳徹子が書いたというネームバリューはもちろんあったのだろう。
だからといって、「売れたタレント本」というジャンルではなく、現代的なテーマが描かれており、むしろ今読むべき本になっている。

ストーリーとしては、
自由過ぎるふるまいのおかげで何度も転校を繰り返していたトットちゃんこと黒柳徹子。トモエ学園という小学校は、そんな彼女のふるまいをそのまま受け入れ

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文藝別冊「望月ミネタロウ」(2023年)

文藝別冊「望月ミネタロウ」(2023年)

望月ミネタロウは「ちいさこべえ」が好き。
大火事で実家の工務店「大留」と、両親を失った茂次が、工務店を立て直すために奮闘するという物語。こぢんまりとした素敵な作品だった。
おはなしもよかったのだが、洗練された画面構成が特に好きだ。

ちなみに、「バタアシ金魚」や「ドラゴンヘッド」は読んでいない。「バイクメ~ン」は少し読んだ。嫌いというわけではなく、ただ読んでいないだけ。
望月ミネタロウの作品は登場

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シャルル・ペパン「幸せな自信の育て方」(2022年)

シャルル・ペパン「幸せな自信の育て方」(2022年)

著者のシャルル・ルペンは「フランスの高校生が学んでいる10人の哲学者」という著書もある。
今回の「自信」もそうだが、身近な題材に哲学をからめて語る本が多い印象。
この本を読んですぐに自信満々になれるというものではないが、しごくまっとうなアドバイスが書かれていて、それはそうだろうという印象。哲学をからめつつ、ライトに語られている。自信を身につけるための新しい方法を語るというよりは、哲学の敷居を下げる

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