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「備前焼」を愛でる食事会

先日、レキジョークルで新年会を催しました。

最近は567の影響で時期がズレまくっていたのですが、今年はやっとそれらしい日時での開催となり、世の中は平常を取り戻しつつある事を実感しています。

昨年は4月に入ってからとなり、まったく季節感のない上に、予想外の展開となった新年会でした。

一昨年はと言えば、さらにズレまくり、結局真夏の開催となったので、もはや新年会と言えない「夏のお食事会」となってしまいました。

今年は本来の2月に開催でき、当たり前の事がシンプルに嬉しく思えてきます。

参加者は、一人だけが急な体調不良で欠席となりましたが、その他6人全員の参加となりました。


備前焼割烹 八馬はちうま

場所は以前から決めていた「八馬」という割烹料理屋で、シックで大人な新年会となりました。
こちらの器は、おそらく手作りかと思われ、全て「備前焼」の凝ったものなのです。

その凝った器に凝った盛り付けのお料理は、舌だけでなく、目にも美味しいものでした。

薄味で上品、繊細。
詳細なグルメリポートはありきたりな言葉しか浮かばないので割愛しますが、どれもかなりの手が加わり、絶対に家庭ではできないものだと断言できます。

むしろ陶芸経験者である私は「味」より「器」に注目せずにはいられませんでした。


コース料理に使われていて、特に目を奪われた器があります。

トップ画像の正立方体の器が登場した時は、一瞬キョトンとしてしまいました。
蓋を開けてみて、一同一斉に「おぉ!」と感嘆したのです。
蓋が十字型に本体とかみ合って、少しの震動では動かない作りですが、それでいてシンプルなので簡単に開閉できます。


次にこれも度肝を抜きました!
向かって左側が曲げられ、最大約6センチほどの輪になり、右側に小さい足を付けて、その1点で支えています。

なんとも奇抜なデザインですが、上は斜めとはいえちゃんと平らになっていていますが、横から見ると美しい曲線を描き、デザインもバランスも見事です。

どうして私はこういうアイディアが浮かばなかったのだろう!!

忘れかけていた陶芸魂に火が着き、刺激があり過ぎるお店でした。

備前焼きの器がたくさん展示されていました。



自然美を楽しむ備前焼

ルーツはなんと古墳時代!

備前焼の原型は古墳時代に朝鮮から伝わった須恵器すえきと言われる青灰色の固い土器で、徐々に長い年月をかけ、平安時代ごろに今のカタチに落ち着きました。

産地として有名なのが、その名の通り岡山県東部の備前市伊部いんべ地区で、固くて割れにくいため、庶民たちの日用品として広く浸透しました。

性質と特徴

原材料の土は、伊部いんべの田畑の地下にある「干寄ひよせ」と呼ばれる粘土です。

これは100万年以上もの間に流出した土が蓄積し、キメが細かく粘り気がありますが、鉄分の多いため、最低でも1~2年、風雨にさらす野積みという作業をして、鉄分やその他の不純物を除去して土をなじませます。

さらに瀬戸内の黒土を混ぜ合わせて、やっと陶土が出来上がります。

この時点ですでに結構な手間ひまかかってる💧

それもそのはず、釉薬ゆうやくを使わない備前焼は、陶土作りこそが最重要の作業なのです。


高温で焼き締める

最も特徴的なのは、1200〜1300度という高温で2週間ほども焼く事です。

そのため焼き締まり密度がグッと高くなり丈夫になるようです。

ん??

どっかで書いたなと思ったら、過去に出版した「奥の枝道 山口・萩編」でも当地の萩焼や、山陰地方の家屋の屋根に見られる赤い「石州瓦」の岩見焼にも触れさせていただきました。

特に石州瓦は、防水・防寒性に優れ、塩害対策も備え、海岸沿いの土地に十分耐え得る驚異の性能を持つもので、備前焼も同じ高温で焼き締めた高密度のものなのです。

そりゃ、丈夫なはず!


二つとない自然文様

備前焼は釉薬を使わないので、粘土の鉄分により全体的に茶褐色となり、その時の土の成分や、窯内での置き位置や温度変化、焼成時に自然に生み出される灰や炭の量などで一つとして同じ色や模様にはならないのです。

焼き上がりの姿はある程度の経験値で予想はできますが、基本的に自然任せなので、焼きあがるまでわかりません。

だからこそ、まったく人智の関与しない偶然で素朴な自然美こそが最大の魅力なのです。



レキジョークルの今後の予定

さて、レキジョークル新年会に話を戻します。

食事をしながらの話題はといえば、
キムタクのレジェバタへのツッコミ話に始まり、他愛もない日常の話、そして後半は次回の予定、「お花見」についての詳細に入ったところで、21時の閉店時間を告げられて、そそくさと店を出ました。

それからは近所のファミレスへと移動して仕切り直しとなりました。

その「お花見」のスケジュールを話し合ったのですが、ランチの店がなかなか決まりません。

車で行く予定ではありますが、なるべく移動途中にある店にしたいのです。

ここは当日は定休日だとか、とんでもない山道で悪路だとか、みんなスマホのマップアプリを見ながら色んな意見が出ます。

あるいはめいめい違う話をして脱線したりしながらも、やっと決まりました。

それでもボケとツッコミで爆笑のまま時間は経ち、店を出たのは23時前でした。
19時スタートだったので、なんだかんだと4時間近くダベッていたわけなのです。

「八馬」玄関前にて。
風のない穏やかな夜でした。

はてさて。
今年のレキジョークルはどんな一年になるのやら。
いつも通りの珍道中なのは間違いなさそうです。




結婚して長男を出産するまでの間、
陶芸教室で製作したほんの一部のものです。



【参考文献】
備前焼じゃ
岡山観光Web



みなさんのスキのおかげです。
本当にいつもありがとうございます。



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