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【現代詩】界面コスモ
あまりに雨つぶ多すぎて
野ざらしバケツ溢れてく
ひっくり返し置いとけば
きっとみんな思うだろう
僕は変わっていますので
そのまま水を張ってたい
ふちのギリギリ膨らんで
丸みを通して見える世界
余りに馬鹿げた綺麗さは
変わり者しか知らなくて
歪んで見えるリアリティ
ひねくれ者しか解らない
理解を超えたその向こう
僕はそっちを生きてます
【現代詩】去るうさぎ
うさぎはかけて
孤独な季節はおわってく
いない
いない
だれもいない
からっぽの部屋に
エアコンの温もりだけ
寂しいとしぬなんて
そんなにか弱いわけもなく
甘くて苦いソレ
口にくわえて生きていく
明け方、緋色に染まれ
朝焼けなんて映りはしない
彩度の低いこの部屋で
代わりに染まれ
お前が染まれ
血管切り裂き
◯んでまえ
血液激らせ
生きてみろ
新しい日に過ぎ去る日に
悲劇を嘆くくらいなら
緋色に染まれ
お前が染まれ
朝日は昇った
お前はどうする
【現代詩】ポッピンの夢
いま君の手滑らせて
固い処へ落としてよ
薄く脆い命は失われ
輝きだけ地上に残す
バラバラになりたい
散り散りになりたい
落ちた刹那の衝撃音
最後の音は遠く響け
ポッピン、ポッピン
ポッピン、ポッピン
一つ覚え鳴いていた
硝子細工の唯一の夢
【現代詩】はじめのおと
ドクドクと音がする
音は次第に早く大きく
音に溺れた私は
そのまま君へと溺れていく
どちらが溺れたのか
どちらも溺れたのか
チャプチャプと音がする
君はそれを怖がりもせず
雑音の多い世界は
今だけ二人にかき消され
どちらが溺れたのか
どちらも溺れたのか
【現代詩】ほどける夏の果実
波音も潮風もない夏
恋人も友人もない夏
僕は熱冷却装置のついたこの部屋
ネットの海に溺れることにする
あっという間の夏だった
高校球児の夏も終わった
夏の果実がほどけていく
死ぬことも生きることもできぬまま
果実はいずれ種となり
また次の夏に実を結ぶ
次はかじることができるだろうか
酸味と苦味と甘味のひとときを