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ハナダチサトーうつ

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記事一覧

【現代詩】遥かに去れ

【現代詩】遥かに去れ

放物線を描く白球如く
青く澄んだ空に向かい

弾ける炭酸の泡沫如く
在りし痕跡すら残さず

清々しいだけの表情で
この世の真理を湛えて

遥かに去れ

遠くに歌え

正しく散れ

【現代詩】ポッピンの夢

【現代詩】ポッピンの夢

いま君の手滑らせて
固い処へ落としてよ

薄く脆い命は失われ
輝きだけ地上に残す

バラバラになりたい
散り散りになりたい

落ちた刹那の衝撃音
最後の音は遠く響け

ポッピン、ポッピン
ポッピン、ポッピン

一つ覚え鳴いていた
硝子細工の唯一の夢

【現代詩】キラキラなもの収集家

【現代詩】キラキラなもの収集家

そうだ私はキレイな服
ですごしたいんだ
そうだ私は好きな物つくって
食べたいんだ

なんで今まで思い出さな
かったのかフシギ
うつだったから…か

うつは当たり前を
こんなちょっとしたキラキラの
収集家なのかもしれない
できなくなった間にこっそり
盗んどいては思い出すまで
キラキラをたんのうしてるかも

その間有効活用してくれるならいっか

【現代詩】グラスが泣いている

【現代詩】グラスが泣いている

そんな夏
私は悲しかった
神も愛する人もいるのに
なぜだろう

心を取り換えたい
年季物のクーラーみたいに
フィルターを掃除すれば
あるいわ

そうかきっと夏が終わるからだ
人生の一度しかないこの夏も
うつで終わってしまった

もう3度の夏をうつで失くした

【現代詩】もやもやモヤッキー

【現代詩】もやもやモヤッキー

あたまがもやもや
なにをかんがえてるでもない
もやもやといういたみ

モヤッキーとなづけよう
これからながいつきあいだから

よろしくモヤッキー
できたらあたまのはんぶんは
わたしのためにのこしておいてね

あさはめだまやき
よるはみそしるをだしてあげよう

だからねモヤッキー
あんまりいたくしないでね

今モヤッキーは別居中

【現代詩】孤独死

【現代詩】孤独死

この日曜日
私は死の一歩手前にいた

教会がオンライン
牧師夫人が休養
彼が帰省
病院は休み
相談窓口はパンク

もし私が死んでいたら
死因は「孤独」死

ああ危なかった
あなたやあなたがいてくれて
本当によかった

あの日孤独死しなかった人がいなければいいが

【現代詩】アイアンハート

【現代詩】アイアンハート

パニックになりそうな
そんな時
心を鉄にしてしまおう

あたたかいものには
やわらかく
冷たいものには頑なに

心を鉄にしてしまおう

人によって対応を変えてもいいんだよ、
自分の心が一番なんだから

【現代詩】失落園

【現代詩】失落園

切れないカッターナイフ
死ねない薬

死ぬことに失敗して
あの世に行けなくて
1Kにまた落ちてきた

ここは失楽園でなくて
失落園

片われのくつ下
期限切れの納付書
落ちこぼれはみんな仲間さ

死ぬことも失って落ちてどこに行くというのだろう

【現代詩】キリハナされないこと

【現代詩】キリハナされないこと

もしかして
私とうつを切り離して
考えようとしていない?
うつと切り離して愛そうと
していない?

でも私とうつは癒着している
だから私が望むのは
キリハナされないこと
うつがあっても愛してる
じゃなく
うつがあるから愛してる
愛で内包して

うつな自分も好きだったりする

【現代詩】ダイタン

【現代詩】ダイタン

軽躁と言われた私は
少しちがう
夢の中でもダイタンに
好きでもない男の子に
チューしてみたり
一輪車で坂の上
こいでみたり

まあ夢の中で傷つく
それが大体のオチなの
だが
それが夢の中だけなら
いいのだが

危うさは現実にも

【現代詩】義務

【現代詩】義務

行かなきゃ
生きなきゃ

生きなきゃ
行かなきゃ

行かなきゃ
生きなきゃ

生きなきゃ
行かなきゃ

自己暗示のなれの果て
生きたいなんてどっか行った

バイトに行きたくない午後7時