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ハナダチサトー恋愛

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九月。心ここに無し

九月。心ここに無し

時速六十キロにすら
心は置いてけぼりで
アクセルを緩めては
かげろうを見つめる

残暑にあらがっては
つけたカーエアコン
手の甲心地よくても
孤独な心は凍てつく

君との暦を作っても
夏の頁が抜け落ちて
変わってしまった君
あの秋と戻ってきた

真意の読めない君に
心は置いてけぼりで
ブレーキ踏みしめて
誰かの背中見つめる

【現代詩】はじめのおと

【現代詩】はじめのおと

ドクドクと音がする
音は次第に早く大きく

音に溺れた私は
そのまま君へと溺れていく

どちらが溺れたのか
どちらも溺れたのか

チャプチャプと音がする
君はそれを怖がりもせず

雑音の多い世界は
今だけ二人にかき消され

どちらが溺れたのか
どちらも溺れたのか

【現代詩】ぽろり

【現代詩】ぽろり

今日もいい天気
だけどどこからか
雨粒ぽろり
聞こえてくる

遠くで愛しの君が
濡れてはいないか
タオルを片手に
旅に出よう

君は遠くて
遠くて会えない
雨粒ぽろり
聞こえてくる

わかってるよ
でも強がるしかない
雨粒ぽろり
私の頬に

【現代詩】赤の王国

【現代詩】赤の王国

赤と青の糸が
ボクを形作る

赤と白の球が
ボクを流れる

運命だろうね
キミも同じだ

赤に溶けてさ
二人はひとつ

【現代詩】星屑はきらめいて

【現代詩】星屑はきらめいて

暗闇に星屑はきらめく
白昼に輝いてることも知られず

絶望の中で君が光に見えた
いつも照らされていたこと忘れて

星の輝きは有限なんだって
いつの日にか知ったよ

なのに君の輝きは無限みたいに
一生続くと思ってしまった

星屑はきらめいて、君はまたたく
いつもいて、いつまでもはいない

星屑はきらめいて、君はまたたく
ごめんね、もう忘れないよ

【現代詩】アイスティーの愛

【現代詩】アイスティーの愛

1人で席についていると
どこからかひょこって
現れるんじゃないかって
君を探してしまう

目の前をえんじ色が
行き来するたび
海馬に残る君の色が
滲んで広がっていく

いつも頼んでたアイスティー
時間とともに薄まっていくのは
君への愛も変わらないみたい

だから君も忘れていいよ
グラスの水滴も頬の涙も
拭ってくれる人を見つけるからさ

【現代詩】愛のハードル

【現代詩】愛のハードル

恋は自分が大きくなり
乗り越えなければ
行けない気がするが

愛は乗り越えなくて良い
互いの小ささに気づいて
ハードルをくぐるだけ

愛の受け取り方の話

【現代詩】まぎれもなく恋でした

【現代詩】まぎれもなく恋でした

あなたとは最初友達で
たまに私はお客さんで
時には老夫婦みたいに
果ては別れると言ってるけど

あなたと私は恋人でした
まぎれもなく恋でした
熱して冷めていくそれが
恋じゃなかったら何なのでしょう

そして今から愛になります
冷めないあたたかい温もりは
愛じゃなくして何なのでしょう

別れた恋人を愛したっていいじゃない

【現代詩】君は私の棘でした

【現代詩】君は私の棘でした

君は優しく
それでいてツンとして
甘い香りに誘われた
私にとっては棘でした

ただ一度だけ
誕生日だからとくれた
ハグだけを
抱いて前に進もうと
思うのです

彼氏ではなく、推しへの愛

【現代詩】それは膜でした

【現代詩】それは膜でした

フラれた私
彼が出て行くまでの間
彼への気持ちが段々と
沈静化していく
鈍感になっていく

それは膜でした
私を守るための
気持ちの落下の衝撃を
和らげるための

膜に守られ私は落下していくのです

【現代詩】N極

【現代詩】N極

好きだよと
口では言うのに
離れてく
ボクらはまるで
N極とN極

好きの力が大きくて反発してる

【現代詩】むきだしの心

【現代詩】むきだしの心

彼とハグするのがつらい
皮膚のないむきだしの
ところに当たっているような
痛み。

男とラインするのがつらい
むきだしの心に当たるような
痛み。

早くかさぶたが欲しい
それかバンソウコウを貼って
下さい。

別れを切り出されてからハグが苦痛になった

【現代詩】蹴りたい背中

【現代詩】蹴りたい背中

昨日女の家で
寝たはずの彼
背中をこっちに向けて
また寝てる

「蹴りたい背中」

それはレモンみたいな
甘酸っぱさじゃなくて
ただの苦み
それから悲しみと憎しみ
まるでレモンの皮のような

蹴りたい背中読んだことはない