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【現代詩】ほどける夏の果実

波音も潮風もない夏
恋人も友人もない夏

僕は熱冷却装置のついたこの部屋
ネットの海に溺れることにする

あっという間の夏だった
高校球児の夏も終わった

夏の果実がほどけていく
死ぬことも生きることもできぬまま

果実はいずれ種となり
また次の夏に実を結ぶ

次はかじることができるだろうか
酸味と苦味と甘味のひとときを

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