見出し画像

読書人間📚『リボルバー』原田マハ



『リボルバー』 原田マハ

2021年5月25日 第1刷発行
同年、7月30日 第5刷発行
幻冬舎



原田マハさんの新作はお得意の絵画小説。戯曲化を前提とした原作小説です。

主人公、まさにご自身を投影なさっている様に感じます。
ゴッホとゴーギャン、ゴッホの人生における登場人物として扱われるところもあるゴーギャンですが、ゴーギャンの立場で思いを馳せる方は少なくないと思います。ゴーギャンの思いをすくい上げようとする原田マハさんの気持ちに寄せられ、読者はもっとゴーギャンを近く、側に感じられるかもしれません。


本書は史実に基づくフィクションです。
オークション会社で働く主人公、冴のもとに、ゴッホが自殺したときに使用したリボルバー(拳銃)が持ち込まれる事から物語が始まります。

事実、2019年6月19日、ゴッホが自殺に使ったとされるリボルバーが、パリの競売会社で競売にかけられています。16万ユーロ(約2000万円)で落札。そのリボルバーの背景にどのようなドラマがあるのか気になりますね。ん〜浪漫〜。


ゴッホの兄のテオはゴッホの絵を「時代の先を行き過ぎている」と言いますが、果たして本当にそうだったか?
2人の絵画の巨人がその当時、日の目を見なかったのは時代のせいだけか? テオもテオの人生があり、人生、全勢力をかける事に思い悩んだでしょう。それぞれが自分の大切なものを目の前にした時、何を選ぶのかは誰にも否定はできないこと。誰もが尊い。ところどころから登場人物達の熱意と愛情、その優しさがじんわり伝わります。良い作品でした。


絵画の事を知らなくても原田マハさんの文章は絵画鑑賞の世界へ惹きこまれ、おもしろく読めますが、予備知識程度に、
2018年(日本公開2019)『永遠の門 ゴッホの見た未来』(At Eternity's Gate)イギリス・フランス・アメリカ合作の伝記映画を、鑑賞されるのも良いかもしれません。一般的に知られている筋に加えて新しい解釈も盛り込まれています。


もう一つ、ゴーギャンをモデルに書かれたサマセット・モームの『月と六ペンス』も面白かったのでお薦めです。ゴーギャンにはゴーギャンの人生があり、破天荒なだけでない人物像に興味をそそられます。本書にも主な参考文献としてこの作品が上げられています。創作、物語ですが、ゴーギャンを回想するには外せない一冊です。



「ファン・ゴッホは、ほんとうにピストル自殺をしたのか?」

「――殺されたんじゃないのか? ……あのリボルバーで、撃ち抜かれて。」



装画
フィンセント・ファン・ゴッホ
ひまわり 】1888年
▶︎ロンドン・ナショナル・ギャラリー蔵
▶︎SOMPO美術館蔵

表紙 
ポール・ゴーギャン 
肘掛け椅子のひまわり】1901年
エルミタージュ美術館蔵

装丁 茂実生哉 

装丁デザインは隅々まで楽しませてくれます。原田マハさんの絵画小説の単行本デザインは今後も期待しますね。はぁ〜うっとり。


そして、ゴッホ展
期間:2021年9月18日(土)~12月12日(日)
会場:東京都美術館

🌝声、発声、機能を考える
ボイス・ボーカルレッスン/東京都 
音楽療法(医療行為は行わない)の観点からオーラルフレイル、口腔機能、老化防止を意識した呼吸法、発声のレッスンも行います。

この記事が参加している募集

読書感想文

最近の学び

いつもありがとうございます☺️。 あなたの気持ちに支えられています♡ ▶︎ https://www.instagram.com/chisa_murata/ ▶︎ https://www.instagram.com/chisa_favorite/?hl=ja