全部生かそうとすると、全部死ぬ|物書きのいけばな日記#02
「なんでもうまくし過ぎようとする」
最近自分でも気になっていたことを、今回いけばなで気づいてしまったので、ここに記録しておこうと思います。
自分の性分として、なんでもそれなりに上手くするのが得意。
表面だけなぞるような。帳尻を合わせるような。
だけど、ロジカルに考えることや、イデオロギーにとらわれないこと、多様な視点などをそれなりに身につけながら、大人になってきました。
本質に近づきたいと思考を巡らしたり、感情と向き合ったりしながら。
それで、少しは深くものごとを見たり、周りに振り回されずに判断したりできるようになった気がしていたのですが、そうでもなかったようです。
今日の花材たち
・花しょうぶ(背の高い紫の蕾)
・芍薬(ピンクの蕾。大きな花が咲きます)
・クレマチス(真ん中下にあるサワサワした子)
・ローズゼラニウム(左下。とってもいい香り)
・木苺の木(右上)
・馬酔木(左上の木)
今回のテーマは、「大きな世界をつくる」。
選んだのはこの水盤です。
花器ではなく、お地蔵さんの帽子だそう。
生かしたいものや流れを決め、それを引き立たせるために引くものを決める
今回のポイントは花材の中で一番大きな馬酔木でした。
はじめ、馬酔木はこの下の写真のように、賑やかに葉をつけいていました。
このこん盛り感もかわいいから、「全部生かしたい」と思うと切れない。
でも、生かすために死ぬ子がいてもいいということなので、切っていきます。
ポイントは、この木の個性をみて、一番美しいと思う流れをまずは見つけること。
わたしが見つけた流れは、正面から左上への流れです。
だいぶ切りました。
上に伸びる流れも残し、あとは切りました。
できた作品がこちら。
手直しを受けます。
悠月庵恵甫師匠。
美のためには花の角度にもこだわります。
矯(た)めているのは、芍薬の花です。
足元をまとめると洗練された印象に。
師匠さすがです。
同情はただのエゴ
今回いけばなをしてみて、「どうせなら、みんなで目立ちたい」とか、「平等に扱いたい」と思うのは、潔さに欠ける思考だったように思いました。
人生は選択の連続です。
例えば「結婚式の招待者を新郎新婦同等にしたい」とか、「この人を呼んだら、この人を呼ばないと」みたいに、みんな平等にと思うと膨大な人数になってしまういます。
選択していかないと、身近なイベントでも、なにもできません。
みんな呼びたいのは、自分が嫌われたくないというエゴからかもしれません。
招待者数を新郎新婦同等にしたいのは、自分の見栄からかもしれません。
親戚の数や友人の数が多いほどいいなんて言うのは、まやかしなのに。
みんなの意見を聞き入れていたら、気を消耗するばかり。
あっちもこっちも生かそうとすると、全部死ぬ。
「人生に無駄はない」という結論を出せるのなら、死ぬことにも無駄はないはず。
考え方次第です。
なんでもうまくし過ぎようとせず、
切るためには、何が大事か、ここでのキーは何か、と見極める力が、潔さには必要と学びました。
今回のいけばなの所要時間2時間。長いですね。
潔さ、つけていきます。
世の中で生きていくには、複数の人や社会と調和していくことが求められます。
ということで、次回の生け花のテーマは「調和」だそう。
またレポートします。
お世話になったのは、こちらのお教室。わたしのように体験もできます。
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