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【励まされた本】山口周『仕事選びのアートとサイエンス』前編
双極性障害の診断後、初めて海外出張に行った時に持参しました。英語が上達しないのにワークショップのファシリテーションをすることになり、不安で不安で押し潰されそうで、以前読んで心の支えになった本を選びました。双極性障害になってもなんとか働き続けられている理由の一つは意外と読書なのでは?と思っています。
著者はコンサルタントの山口周さん。私はこの方の本を読むと、気の合う友人と話しているように「そうそう、わかるわかる!」と打ち解けた心境になります(一方的な思い)。
基本的にキャリア構築に関する本ですが、仕事上の困難に直面した時どのような心持ちで対峙すれば良いかのヒントが得られます。
同僚たちが観光に繰り出す中、私は一人ホテルに残って本を読み返しました。
新しいことを始めようとすると、最初はなかなかうまくいきません。(中略)ここで必要になるのが、「粘り強さ」なのですが、私はこれを「鈍感力」と言い換えてもいいのではないかと思っています。
新しいキャリアに挑戦してすぐにあきらめてしまう人の特徴として、大変プライドが高く、責任感が強いという点が挙げられます。そういう人たちは、うまくやれていない自分、仕事で成果を出せていない自分が許せなくなってしまうのです。
程度問題ではあるのですが、新しいことをやって成果を出すにはそれなりの時間と積み重ねが必要なのだと腹を括って、許される範囲でギリギリまで粘ってみる、それでもダメならまたそのとき考える、というある種のいい加減さが求められます
不安で押し潰されそうな心で繰り返しこの文章を読み、うまくやれていない自分を許そうと言い聞かせ、いつもより多い睡眠薬を飲んでワークショップに臨みました。
この本はもちろん社会人全般に役立つのですが、仕事や生活の諸々が長続きしづらい双極性障害の方にぴったりなのではないかと常々思っています。衝動的な行動は厳に慎むよう説いているからです。
非常につらい、進退窮まった状態に陥ると、個人も国家も「窮鼠猫を噛む」ようなリスクの高い決断をしてしまいがちで、これが破滅を招く。
だから宙ぶらりんの状態に耐えることが大事だと説くのですが、これは双極性障害の人にとって非常に苦手な姿勢だと思います。何事にも判断を急いでしまいがちなのですよね。私もなるべく自分に「落ち着け、落ち着け」と言い聞かせるようにしています。
山口さんはロジカルなだけでなく、仕事に悩む読者に温かな眼差しをも投げかけてくれます。
どんなに汚くてかっこ悪いものでも、あなた自身のこれまでの人生はかけがえのないものでしょう。そしてまた、これからの人生を愛してあげてほしい。
こんな言葉に励まされながら私は異国の地で眠りにつきました。ワークショップ?突然英語が流暢になるようなミラクルはありませんでしたが、周囲の人のおかげでなんとか役割を終えて海外の上司にも褒めてもらえました。途中で「わたしには無理です」って諦めなくてよかった。本当に心の支えになった一冊です。
この本の良さは一回では語りきれない程ありますので後編に続きます。
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