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「東京の鉄道」と舟運・川の関係を知る舟遊び

来る2023年10月7日(土)と14日(土)の2日間にわたり、「舟遊びみづは」さんの船のツアーガイドにデビューすることになりました。初めての舟ガイドであり、皆さんに楽しんでいただけるかどうか、ドキドキしていますが、楽しいツアーにしたいと思っています。(ツアーの詳細、ご興味ある方は以下のサイトからお申し込みを!)

私のことを、みづはさんから、「土木系鉄ちゃん」というネーミングをつけていただきました(笑)。今回はこのツアーの魅力や、ここで伝えたいことなどを少しご紹介したいと思います。

■ツアー概要

10時   両国駅に集合。
     乗船場(隅田川沿い)まで、少し街歩きします。
10時30分 乗船。隅田川を下り、日本橋川へ。
     日本橋川を上り、神田川の合流点から神田川を下る。
     再び隅田川へ、隅田川を上り、浅草付近へ。
     浅草から北十間川に入る。
12時30分 小梅橋で下船。
     少し街歩き。「すみだリバーウォーク」を歩き、
     隅田川を渡る。
13時ごろ 解散予定。

今回のルートマップを、国土地理院の色分け標高図をベースに、航路(青色の線)と今回の主役である、交差する鉄道路線をなぞった案内図を作ってみました。(ひょっとしたら、間違っている箇所はあるかもしれませんが、そこはご容赦を(笑))

両国をスタートし、日本橋川・神田川・隅田川・北十間川を巡り
小梅橋にたどり着く航路です。

今回の航路、直接鉄道が見えるのは、実線で書かれたJR線、東武線と、神田川を渡る際に地上に顔を出す丸ノ内線くらいですが、それ以外に実に沢山の地下鉄(JRの地下線も含む)と交差しています。恐らく船で移動する際、点線の地下鉄を意識することはあまり無いと思いますが、今回はあえてそれを「主役」にしてみたいと思い、この地図を作りました。

今回交差する鉄道、数え方はいろいろあるのですが、28箇所で交差する予定です。案内図上にプロットされているものを、あえて表に書きだすと、こんな形になります。(乗船所をNo.1、下船所をNo.30と数えているので、交差する箇所数は28箇所ですね。)交差する路線は、どの駅の間で交差し、構造物名称があるものは記載し、道路の下にあるものは橋や道路の名前や、開業ねん、川を渡るための工法も記してみました。

交差する鉄道各線と、その開業年、施工方法を調べてみました。

さて、色んな下準備は整いましたので、今回のツアーの見どころを少しご紹介したいと思います。

■ツアーの見どころ① 両国駅周辺の街歩き

最初に、このツアー、乗船場からスタートする通常の舟遊びとは違い、両国駅からの「プチ街歩き」が付いています(笑)。まずは鉄分のちょっぴり高い街歩きからスタートです。

集合場所は、JR総武線両国駅改札前。
かつて房総方面の優等列車のターミナル駅だった場所です。
両国駅と国技館とのこの間の道が、ちょっとした「鉄スポット」。
「工」と書かれた国鉄のマークの付いたハンドホールが。
実はこの真下に、総武快速線の地下線が走っています。
総武線に沿って、乗船場を目指します。
総武線の隅田川橋梁。震災後の昭和7年にできた橋です。
さりげなく書かれた、JR総武快速線が直下を走ることを示す標示。
隅田川の下、そして総武緩行線の橋の下を横切っているのです。
そんなことを眺めながら、乗船場に到着するプチ街歩きです。

【この付近の見どころ、他にもあります。ロケハンの際の記事】

■ツアーの見どころ② 船から見える鉄道路線

「鉄道と舟遊び」という観点では、この「②」の見どころは外せないところですし、これだけでも十分に魅力たっぷりです。

日本橋川と交差するJR線「外濠橋梁」。
戦前の「1重アーチ(中央・山手・京浜)」
戦後の「3重アーチ(上野東京ライン)」
そして、大きな桁橋(東北新幹線)が平行しています。
戦前のアーチ橋には、「鉄道省」の紋章が付いています。
今回のツアー中で最も古い橋である、総武緩行線の「小石川橋通架道橋」
1904年(明治34年)に開通した橋です。120年使われています。
神田川沿いは、中央線と平行しているので、鉄分高いです(笑)。
御茶ノ水駅。工事用の仮桟橋も見ることができます。
丸ノ内線が交差するのは、ある意味必見のフォトスポット。
実は、この直下に「千代田線」が見えない場所で交差しています。
総武緩行線の交差の仕方は、昭和初期の開業と思わせないほど
斬新でかっこいいです。
旧・万世橋駅跡のアーチが並ぶ風景も
やっぱりいい眺めなんですね。
こちらは、山手・京浜・上野東京ラインの神田川橋梁。
隣に東北新幹線の桁橋も架かります。
そして、隅田川に出て、最後に東武線の隅田川橋梁を眺めます。

■ツアーの見どころ③ 船から「見えない」鉄道路線

先ほども述べた通り、地下を走る鉄道路線のことを「感じていただく」のが、このツアーの一番の見どころだと思っています。先ほどの地図を眺めながら、交差する鉄道路線を「感じて」いただきたいと思います。とはいえ、なかなか見えないものが思い浮かばないと思うので、そこは、「どんな工法でこの川を渡ったか」に着目すると、面白いと思います。今回交差する鉄道は、

①開削工法(河川を締め切って地下を掘削してトンネルを構築)
 → 銀座線(日本橋)、丸ノ内線(鎌倉橋)など
②潜函工法(河川の真ん中に盛土して陸地を作り、その場所に圧気をかけて
 躯体の下を掘って躯体を沈めていく方法)
 → 総武快速線(隅田川トンネル)、都営浅草線(隅田川横断部)など
③凍結工法(地下水が流入しないように水を凍らせて掘っていく工法)
 → 半蔵門線・都営新宿線(俎橋直下)など
④シールド工法(川底を筒状の掘削機械で掘削して横断する)
 → 千代田線(御茶ノ水駅付近)、半蔵門線(隅田川横断部)など
⑤沈埋工法(河川の真ん中に函体を曳航し、河底に沈めてつなげる)
 → 都営新宿線(隅田川横断部)

などで、作られています。こうした工法がどんなものかを知りながら、交差する見えない鉄道を「感じて」いただければと思います。

【この部分の詳細はこちらの記事を参照ください】

■ツアーの見どころ④ 舟運と鉄道の関係を学ぶ

あと、このツアーの楽しみ方として、舟運と鉄道は昔はどんな関係にあったか?を学ぶことができます。今回の舟遊びのコースのうち、
 ①両国駅の、国技館や江戸東京博物館があるあたり
 ②日本橋川・神田川合流付近にあった、「旧飯田町駅跡」
 ③秋葉原駅の、今のヨドバシカメラがある付近、など
 ④東武線のとうきょうスカイツリー駅付近の、スカイツリーがある付近
は、実は共通項として、貨物駅跡だったのです。

なぜここに貨物駅ができたか?というと、ずばり、舟運との連絡性を考慮していました。これらの貨物駅に、船が横付けできるように、かつては掘割の水路などもありました。そういうことを学びながら解説したいと思います。

【この部分の詳細はこちらの記事をご覧ください】

■ツアーの見どころ⑤ すみだリバーウォークと浅草駅の街歩き

ここまで船に乗って眺めて、見どころ一杯でした・・、ではまだ終わりません(笑)。最後に、「すみだリバーウォーク」を歩き、鉄道橋を歩いて渡る、という体験を一緒にしたいと思います。

北十間川沿いの東武線の高架下は、
とてもおしゃれな空間になっています。
「すみだリバーウォーク」という名前で、
鉄道橋が歩けるようになっています。
歴史的な鉄道橋に沿って歩くのも、また楽しいものです。
そこから眺める隅田川も、良い景色なのです。
川を渡ったら、急カーブして浅草駅へ。
そんな線形をたのしむのも、面白いです。
そして、忽然と浅草駅の松屋が入った駅ビルが現れます。
そうしたら、ターミナルビルの最高傑作のひとつ、
東武浅草駅に到着します。
日本最古の地下鉄の、芸術的な出入口もあります。

【この部分の詳細は、こちらの記事をご覧ください】

■終わりに

こんな形で、東京の舟運や川と鉄道との関係を、鉄道好きの土木屋さん目線で追いかけるツアーを企画してみました。たくさんの情報を盛り込んだので、どこまで伝えられるかはわかりませんが、何となく鉄道と川と舟運という面白い関係性が見えてくるといいかな、と思いました。恐らく、まだまだ私も知らない発見があると思います。船に乗りながら、新たな視点を見つけていきたいと思います。興味ある方は、是非一緒に舟遊びと街歩きを楽しみましょう。

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