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パフェに見合う いい女になりたくて

ー 近所でパフェを食べるためだけに、めちゃくちゃバッチリメイクした ー


先日の昼下がり、「黒ごまパフェを食べたい」と思って、隣駅にあるお店まで散歩した。


都内に何店舗もある「ナナズグリーンティー」というお店。抹茶のドリンクとスイーツが有名なんだけど、ここは黒ごまアイスがおいしいということも知っている。




高校生の頃、何度か訪れていた。


当時、このお店でひとりでパフェを食べているアラサーくらいの大人の女性を見て、「かっけーーー!(キラキラ)」となった覚えがある。

そして、このお店で黒ごまアイスのあんみつを食べたときに「やば!!」と、あまりのおいしさに感動したかつての私。

(おいしいものを食べても、やば!!としか思っていなかったボキャ貧時代。ちょっとは成長できてるかな。)


そんな私にはいつからか、「このお店で黒ごまパフェを食べたい!」という夢ができていた。


・・・


そしていよいよ、私には夢の領域に足を踏み入れるときがやってきた。


突然ここのパフェが食べたくなった。


わたしはこういう衝動を大切にしたいと思っている。

「そうなればもう、明日にでも行きましょう!」というわけで、翌日やってきた。

(ただ自制心がないだけ。)


・・・

高校生だった頃と違って、今ではもうひとりでパフェを食べることに何も抵抗がない。変に肩に力が入ることもなく、ごく自然にお店に入る。


抹茶が有名なお店だけど、前述したように私はここの黒ごまアイスが好きなのだ。

迷わず黒ごまパフェを探す。

すると「黒ごま白玉パフェ」と「黒ごまわらび餅パフェ」を発見!

迷いに迷って「黒ごまわらび餅パフェ」を注文した。


・・・


席について一息。


しばらくして黒ごまわらび餅パフェが到着。


席がたちまちきなこの香りに包まれる。

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いよいよこれで私もステキ女子の仲間入りか〜〜と思って、はやる気持ちを抑えて優雅にスプーンを手に取る。


ひとすくいしようとする。

しかし、パフェの背が高くて届かない。

そこで、めっちゃ背筋を伸ばして迎えに行く。

(この背筋こそがステキ女子に見える理由だったのかも。)

それでも届かないから少しお尻を浮かせる。

(そんなことある?座高の高さは全国平均より余裕で上なのに、、。)


・・・

最初の一口はやはり黒ごまアイスだ。

あの濃厚な黒ごまの風味に早速やられる。

そして隣のあんこにも黒ごまが入っていてとても黒ごま!

中間のコーンフレークも「サクサクなうちに食べなきゃ!」と思って、いそいそと取り掛かるけど、しばらくしてもシナシナになる気配はない。優秀なサクサクだ。


・・・

食べながら一息ついたとき、ポッ、ととある小説のワンフレーズが浮かんできた。

「あの人に値する存在でありたいと願わないとするなら、恋とは一体、何だろうか?」                  ーーー「マチネの終わりに」より


こんなフレーズが浮かんだのも、この日の私、かなりおしゃれをしていたのだ。

一番好きなワンピースを着て、メイクも学校に行くときよりもしっかりして。

誰に会うわけでもないのに、近所に散歩しに行ってるだけなのに、食べる時以外ずっとマスクなのに。

私は下手に友達に会うときよりも、よっぽどいい格好をしていた。

そこで気づいた。


私はパフェのためにここまで頑張っていたのだ!


「私、 パフェに値する存在でありたいと思ってるからこんなに頑張っちゃってるんじゃん!これって恋じゃん!」


と。

全てはパフェに見合う女になるためだった。


そう思うとなんだかパフェがいっそう愛おしくなって、照れくさくなった。


・・・

帰り道は春の匂いがした。


すれ違うカップルたちは、なんだかみんな付き合いたてのような初々しさを醸し出しているように見える。


そんな光景を見て微笑ましく思えるのは、私の恋も始まったかもしれないからだった。


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