鎮座する和牛とポップオーバー
ー ホイップバターとメープルシロップをつけて食べるパスタのお供 ー
この日は午前中に一仕事を終えてランチに繰り出した。
（一仕事・・・苦手な電話を3本かけたこと。それも全て謝罪系。学生の一仕事なんてどうせこんなもんです。）
この日くらいは何でも食べていいぞ〜自分！ということで、かねてから気になっていた飯田橋のイタリアン「トラットリアグランボッカ」へ。
メニューや位置情報を調べるたびに「名前ながっ」って思っていた。
生パスタランチが楽しめるらしい。
あとで気づいたけど食べログのイタリアン百名店にも選出されていた。
・・・
店内に入るとテラス席につづく扉の手前の席に案内された。
カラッと晴れた梅雨明けのお昼だった。
・・・
前菜と「食べ放題のポップオーバー」とやらがつくパスタセットを注文した。
すぐに前菜のバーニャカウダがやってくる。
「下のアンチョビソースをつけてお召し上がりください」と教えてもらった。
どれどれ、と思ってナイフでパプリカを切った。
パプリカの水しぶきが上がった。
アンチョビソースはうま味と塩味がぎゅっと凝縮されていて、それでいてガツンとこない優しいおいしさだった。
野菜にめちゃくちゃ合う。
きゅうりも切ったら水しぶきが上がった。
大根は茹で加減がちょうど良いからなのか、絶妙にみずみずしくて、ちょっと押したらちょっと水が出てくる。
そしてさつまいもの甘さがアンチョビの塩気とうまくマッチしていた。
（一番右の野菜については正体がわからないため知らんぷりで通そうと思う。）
バーニャカウダ、
今までちゃんと食べたことはなかったし、どうせただの野菜スティックでしょって決め込んでいた。
なのに、このイキイキとした野菜を前に、私はただ口をあんぐり開けて立ち尽くすことしかできなかった。
(ちゃんと座ってましたよ)
この前菜一皿ですでに魅了されてしまった。
・・・
ちょうど前菜を食べ終わりそうになった頃、噂の「食べ放題のポップオーバー」がやってきた。
拳二、三個分くらいありそうなサイズ。
奥に写っているホイップバターとメープルシロップをつけて食べるらしい。
試しに一口分ちぎって何もつけずに食べてみた。
外側はクロワッサンみたいにサクッとしていて、中はほぼ空洞で薄皮のシューみたいにもっちりしている。
ほんのり温かくてほんのり甘い。
これはパスタと一緒に食べるものなのだろうか？それともデザート枠？
よくわからなかった。
・・・
2口くらい食べたところでメインのパスタがやってきた。
「グランボッカ特製和牛ミートソースのパスタ」
照り照りのミートソースパスタのお山の上にどでーんと鎮座するのは和牛の塊たち。
試しにナイフで切ってみたら、ソースがかかっていない中の部分はちゃんと肉肉しい茶色さがあってまるでステーキみたいだと思った。
生パスタは言わずもがなのもちもちさ。
そこにたっぷりのミートソース。
「なんて贅沢なランチなんだろう。」
と、真っ青の空を眺めながら思う。
デザートな気がしていたポップオーバーも堪えきれずにちょっとずつ食べ進めた。
ホイップバターとメープルシロップをつけてみたらめちゃくちゃ完成度の高い一品になった。
塩気の効いたバター、うちにある市販のメープルシロップとは比べものにならないくらい濃厚なメープルシロップ、そして優しい甘さの軽やかポップオーバー。
パスタを食べ終えると同時に１つ食べ終えた。
・・・
するとすかさずウェイターさんが「おかわりいかがでしょうか。」と聞いてくれた。
おかわりくださいって言うの恥ずかしいな〜って思っていたから嬉しい。
「はい。」
と言いながら、なぜか両手が勝手にお皿を持ち上げてウェイターさんの前まで運んでしまった。
恥ずかしい。まるで待ち焦がれていたみたいだ。
２つ目は食後のデザートだと思って食べた。
バターとメープルシロップをさっきよりもやや大胆にかける。
食べ方がわからなかったから自己流で、色々とかけた後にちぎって食べるというのを繰り返していた。
そうしたらたまにちぎり方に失敗してめっちゃ食べづらい形になったり、メープルシロップが溢れそうになったりした。
「デートに不向きな食べ物」がまた１つ増えてしまった。
（ちなみにハンバーガーとかもこれ。）
・・・
お会計を済ませて帰路に着く。
足取りは軽かった。
来る前までは店名長いわ！って思っていたけど、帰り道は「いいよいいよ〜！」って思うくらい心が広くなっていた。
・・・
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