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読んだあとちょっとだけ賢くなった気がする。橘玲【DD論】

賢さとはなにか?

賢さの定義の一つは、モノゴトを多面的にみられる、ということではないかと思う。

あくまで私が思っているだけだけど。

生きているとそれはもう、情報の海に溺れそうになる。

情報は発信側の意図によって、一部を切り取られた状態で私たちに届く。

テレビでは情報の解釈をコメンテーターの人が教えてくれる。

多くの人がメディアがおすすめするモノの見方でモノゴトを考えるようになる。

私もその一人だ。

でもそうはなりたくないとずっと思ってきたから、毎日少しずつでも本を読むようにしている。

本書はモノゴトを多面的にみるための手助けをしてくれる1冊だ。

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そもそもDDとは?

「どっちもどっち」の略で、双方に言い分があるという立場です。それに対して、「わたしが正義」だと主張し、悪を”糾弾”する立場を「善悪二元論」と呼びましょう。

橘玲『DD論』 P5

善悪二元論でモノゴトを考えることはたやすい。

・ロシア、ウクライナ問題
・イスラエル、パレスチナ問題
・安楽死問題
・生活保護者への批判
・在日韓国人への批判

これらの問題について善悪二元論の立場を取って、どちらかが悪い!という極端に考えることは簡単なのだ。


世の中にあふれるDD論

橘さんはこう書いている。

世界は単純な善悪二元論でできているわけではありません。対立する当事者はいずれも、自分が「善」だと主張するのですから、第三者に善悪を簡単に判断できるようなことが例外なのです。ところが、複雑なものごとを複雑なまま理解するという認知的な負荷に耐えられないひとは、このことを頑として認めようとしません。

橘玲『DD論』P9

なんとも手厳しい・・・。

次はもっと手厳しい。ドキッとしてしまう。

さらに”不都合な事実”は、「解決できる問題はすでに解決している」ということです。わたしたちが対処しなくてはならないのは、解決がものすごく難しいか、原理的に解決が困難な問題ばかりなのです。

橘玲『DD論』P9

振り返ってみれば世界はより豊かになって、人々の人権意識なんてここ数十年で大幅に飛躍している。

でも、まだ解決していない問題が世の中には溢れかえっている。


DD論①格差問題

例えば、私はお金が好きなので格差の問題を考えてみましょうか。

日本は1億総中流と言われた時代がありました。

今はそんなこと信じている人はいませんよね?

つまりここ20~30年で格差が大きく開いたということです。

格差が大きくなったので、富裕層の税率を大幅に上げるとしましょう。

富裕層はどうすると思いますか?

一昔前に比べグローバル化が進み世界はより近くなりました。

資産5億以上ある超富裕層と言われる人たちは、海外の富裕層向けのサービスを使って税逃れするでしょうね。

恐らく一番割を食うのはサラリーマン共働きのパワーカップルと言われる人たちだと思います。

サラリーマンが構造上一番税金を取りやすいですからね。

小さい頃から競争社会を勝ち抜いて今の地位まで上り詰めて、お金を国に巻き上げられる。

働く意欲はなくなるでしょうね。

パワーカップルたちは思うでしょう。

「なぜ私たちはこれまで努力してきたのに、努力していない人たちにお金を回す必要があるのか?」

一方で、努力したくてもできなかった人たちもいるし、そもそも知能指数的に高所得の仕事に就けない人だっています。

その人たちは放置していいのかというと違いますよね?

この問題、あなたならどう解決しますか?

私はこんな難しい問題から目を背けたいので、絶対に政治家になんてなりたくありません。

※ちなみにこの話は私が思いついただけで本書には書かれておりません(笑)


DD論②エロス資本

パパ活や売春などが世間を騒がせていますよね。

本書で20代の女性が会社経営者を名乗る人物から洗脳されて、3~4年の間に高齢の男性15人から計1億5000万円をだまし取ったとして逮捕された事件が紹介されています。

日本の大卒サラリーマンの生涯賃金は約3億円と言われています。

この女性はその半分を3~4年で稼いだわけですね。

この女性の3~4年分=サラリーマンの20年分。

もっといえばサラリーマンは若いときに安く買いたたかれ、年をとってからペイする構造になっているので、25年分に相当するでしょう。

全てが商品化される資本主義社会では女性の「性」も商品化されます。

これまでは風俗店など一部のお店で性を売買できましたが、SNSの普及によって個人間で売買できるようになりました。

サラリーマンが、満員電車に乗り、上司に詰められ、部下のマネジメントに悩み、残業を毎日して、それこそ40年間汗水たらして稼いだお金。

それを一部の女性が「性」を商品化することで3~4年で、サラリーマンの25年分を稼ぐわけですね。

「性」を売ることは、売ったことのない私には想像できない苦労があると思います。

この問題について批判する人もいます。

もちろん倫理的にどうなんだという側面はあるでしょう。

親としては娘がそんなことをしていたら涙が出るでしょう。

でも私は自分の商品価値が最大の時に、それを最効率で売買することに対して善悪の判断がつきません。

もちろん身近な人間がそんなことをしていたら、しっかり話すと思います。

ただ本人が超合理的に考えて、やりたい目的を達成するための手段としてパパ活をしているのであれば、どう説得したらいいのか分かりません。


さいごに

本書ではこのようなDD論に対し、橘さん視点の考え方が記されています。

そもそもDD論なので橘さんの意見が正しいわけではありません。

ただ、橘さんのモノゴトを考える視点は極めて鋭いので、自分の考え方の一つに取り入れるのはありだと思います。

気になった方は是非本書を手に取ってくださいね!

おしまい!


おまけ!今日の猫さん


まめきち!きょとんとしてかわいい!



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