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精神科医の「弱さツッコミモデル」に要注意❗

▼以前、「概日リズム障害」という病気で昼夜逆転状態となりまして、精神科医のお世話になったことがありますというお話をさせていただきました。

▼これとは別に、仕事柄、複数の精神科医の先生と懇意にさせていただく機会がありました。いろんな専門職の方々からお話をおうかがいすることができるのは、福祉士養成課程教員の「役得」のようなものです。ありがたや~😎😎

▼看護学校では、医師でないと教えてはならない科目というものが結構あります。また、福祉士養成課程でも『医学概論』や『こころとからだのしくみ』など、医学系の必須科目がありまして、これらの科目も原則として医師が教えることになっています。そこで、精神科医の先生にお願いすることがあったりしまして、授業の合間などの待機時間にお話しさせていただいたり、お食事に誘っていただいたりする機会があるのです。

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▼さて、精神科医の先生方が声をそろえておっしゃるには、まず精神科というのは医学界というコミュニティの中では最も地位が低いのだそうです。理由は、合理的な科学ではないから、そして、確実な治療法をほとんど持っていないから、なのだとか。

▼また、医学界というコミュニティには医師の所属にもヒエラルキー(階層)があるようでして、トップが医学部の講座所属、その次が病院勤務医、最下層が開業医なのだそうです。

▼しかし、私が在職中にお会いした精神科医の先生方は、そうやって精神科医療というものを自虐気味に語られる一方(「自分は変わっているから精神科医を選んだ」と皆さんおっしゃいます😌😌)、そのお仕事には誇りを持っておられる方々ばかりでした。

▼ある精神科医の先生と面接技法の話題で盛り上がっていたとき、「面接技法でいちばん難しいのは『待つ』ことだ」と仰っておられたことが印象に残っています。

▼先生曰く、どうしても医師―患者という治療関係では上下関係や支配―服従関係になりやすい。精神科ではとくにそれを避けたい。そこで、助言指導的な発言は診察の最後に少しするだけで、あとはもっぱら待つ。その間、「それは違うだろ」とか「ああすればいいのに」と言いたいけど、ぐっと待つ。これがいちばん難しいし、フラストレーションが溜まる、と。なるほど、メモメモ❗❗📒📒

▼このように、精神科医という「職人」はじつに面白い方ばかりで、また教育スキルとしても役立つ話をたくさん聞かせていただきました。

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ここからはネガティブな話です。身構えていただきますように⚠️⚠️⚠️

▼わが国には、マスメディアにしばしば登場するような有名な精神科医が何人もいますが、かねてから「この先生って大丈夫なのかな❓❓」と思っていることがあります。

▼とくに、有名な精神科医が書いた本や記事で、これを読んだら治療や回復に役に立つのかなと思いきや、病理ばかり書かれていて解決のための処方箋がほとんど示されていない場合があることには十分注意が必要と考えます。

▼患者さんは、ワラをもつかむ想いでその本を手に取ったかもしれません。そして、いざ読んでみたら「こういうところが間違っている」を連発して患者さんを突き放すようなことをさんざん述べたあげく、薬物療法と認知行動療法という選択肢がある、みたいなことが書いてあるわけです🌀🌀🌀

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▼このように、病理ばかり書いて解決の処方箋を示さない内容のことを、私の先輩は「弱さツッコミモデル」と呼んでいました。

▼私が学生のときに、「ケアマネジメントのストレングスモデル」という考え方が北米の精神保健福祉業界から輸入されてきました。現在、この考え方は、「ストレングス概念」として実践現場に普及しているのはご存じのとおりです。

▼当時、ストレングスモデルは「強さ活用モデル」と翻訳されていました。介護保険でいう通所介護が、最初のころ「日帰り介護」と呼ばれていたようなものです。そこで、私の先輩が一般に蔓延しているそのような悪質な本を「弱さツッコミモデル」と命名したのです。1990年代後半の話ですが、いまだにそのような本や記事があることに啞然とします😨😨😨

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▼私の仲間や同業者、親族などを広くみますと、こころの病気のある人のほとんどは自分の病気のことをすでに十分すぎるほど理解していて、「わかっているけどどうすることもできない」ことに苦悩している傾向があります。つまり、精神病理なんて、アカの他人に言われる前に自覚しているのです。

▼その状態に、わざわざ火に油を注ぐようにツッコミを入れるのは、患者さんのQOL(生活の質)を大きく損なうのではないかと強く危惧します💢💢

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▼そんな「弱さツッコミモデル本」よりも、noteに投稿しておられる当事者さんの手記を100パターン厳選して一冊にまとめるとか、当事者さんの手記を疾患別、症状別、生活場面別、心構え別にカテゴライズして、やはり一冊にまとめるとか、そのような「強さ活用モデル本」を期待しますが、「ライター」「編集者」を自称しておられる方々、いかがでしょうか❓❓❓ 当然、続編もアリでしょう😊😊😊

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