銀蔵@妄ツイ

坂道の作品を書いていきたいと思います。 長編更新日 不定期投稿(しらばくの間)

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記事一覧

秋の空は七度半変わる

「なあなあ、早よ乗らんと置いてかれるで」 「ん? ああ、小坂か」 「小坂か……ちゃうわ、あんた待ちやって!」 「げ!? マジ?」  俺は慌ててバスへと乗り込んだ…

銀蔵@妄ツイ
2時間前
3

蛹は羽化して、 参(終)  

 凪紗たち坂道高校バドミントン部は、エース凪紗の活躍もあり、団体戦二回戦を接戦の末、見事に突破したのであった。   「本当に強いんだね。うちの高校って」 「うむ…

8

蛹は羽化して、 弐

 全国大会を明後日に控えた最後の練習日。 「凪紗先輩! これ、タオルです」 「ん、ありがと~!」  後輩の遠藤理子がタオルを持ってきてくれた。 「あ、あとこれ―…

5

蛹は羽化して、 壱

 私は、その試合を生涯忘れることがないだろう。    中学三年生の夏休み。  たまたま姉の応援で訪れたバドミントン関東大会。  そこで目にしたとある試合。  団体…

8

同期の大園 AFTER_STORY 3. 新居にて

「お邪魔しま~す」 井上「おお~、ここが二人の愛の巣か~」 武元「いや、言い方っ」 俺「はは……まぁ、間違ってはないな」 玲「にゃはは」   ……   武元「それ…

21

同期の大園 AFTER_STORY 2. 一畳バトル

   六畳一間。  我が家の和室の大きさである。  その中央にて、背筋を伸ばし正座をする玲。  正面から見つめるとよく分かる。 くるりとした大きな目に綺麗な鼻筋。 …

20

同期の大園 AFTER_STORY 1. 二人

「先輩」 「ん?」 「ん?」  二人して同時に振り返った。 後輩「あ、奥さんの方じゃなくて」 私「ねぇ! 奥さんだって! えへへ……奥さんだって!!」  嬉しく…

22

同期の大園 11. 欲望

   彼が出張に行って一週間が経った。  戻ってくるまであと二週間。  短いようで、私にとってはすごく長い二週間。 井上「……でな~。あ、梨名おかわりとってくる」…

22

同期の大園 10. 御神籤

 元旦。  いつメンで初詣。  お参りして、甘酒飲んで、屋台を散策する。正月からお腹膨らませて、御神籤引いて。  振袖からちらり、と覗くうなじ。 俺「……」  …

19

同期の大園 9. お願い事

大園「ねぇねぇ……」 俺「……」 大園「ねぇってば……」 (こ、こいつ……会議中だぞ……)  あらぬ所をつんつんしてきた。 大園「聞こえてるよね?」 俺「お前ま…

19

同期の大園 8. UNO

   今日も今日とて、いつものメンツ。 井上「はいリバース」 武元「ほいドロー2」 俺「ってんめ」  悪態を吐きながらも山から二枚引いた。 井上「はいリバース」 …

20

同期の大園 7. ハリー・ポ〇ター

 いつもの金曜日。  週末に同期会と称してだべる夜の集まりがある。  だけど今日は二人だけ。 武元と井上は用事があるらしい。  二人なら今日はナシにしようかと思…

20

同期の大園 6. 後輩の谷口ちゃん

  「せんぱ~い」  とコーヒーカップを片手に駆け寄ってきた。 俺「おはよう谷口ちゃん」 谷口「おはよーございます!」  後輩の谷口。  教育係を任されていたこ…

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同期の大園 5. 唯衣の憂鬱

大園「唯衣ちゃん何か悩み事?」  頬杖をついていたからか、もしくは盛大に溜息を吐いたからか。  どちらにしろ―― 武元「……そうなんよ」 大園「私でよかったら聞…

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同期の大園 4. 甘いものは別腹だから

  井上「あっつ」 武元「ん~うんま! やっぱたこ焼きやな」 井上「ふーふー。あっつ」 (お前のたこ焼きはそんなに熱いのか? いつまで冷ましてんだよ……) 大園…

20

同期の大園 3. バンザイ

『君に会えてよかった~このままずっと~ずっと~ラララふたりで~』     ……    『イェ~イ』  パラパラと湧き上がる拍手。 部長「それにしても大園さん、ウ…

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秋の空は七度半変わる

秋の空は七度半変わる

「なあなあ、早よ乗らんと置いてかれるで」

「ん? ああ、小坂か」

「小坂か……ちゃうわ、あんた待ちやって!」

「げ!? マジ?」

 俺は慌ててバスへと乗り込んだ。

「遅いぞ、○○」

「すんませんっ」

 担任に軽く頭を下げて座席へと向かう。
 
「あれ……俺の席……」

 座わる予定だった席はトランプで遊ぶクラスメイトに占領されていた。
 
(ったく……どうすっかな……)

 当てもな

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蛹は羽化して、 参(終)  

蛹は羽化して、 参(終)  

 凪紗たち坂道高校バドミントン部は、エース凪紗の活躍もあり、団体戦二回戦を接戦の末、見事に突破したのであった。
 

「本当に強いんだね。うちの高校って」

「うむ……しかしだ、○○氏」

「うん?」

「これを見て欲しい」

 トーナメント表を広げる瑛紗。

「ほうほう――こ、これはっ……まずいね」

「そうなのだよ。……残念ながらここまでのようだ」

 なにやら深刻そうな二人。

「どうしたの

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蛹は羽化して、 弐

蛹は羽化して、 弐

 全国大会を明後日に控えた最後の練習日。

「凪紗先輩! これ、タオルです」

「ん、ありがと~!」

 後輩の遠藤理子がタオルを持ってきてくれた。

「あ、あとこれ――」

「え? 私に? いいの?」

「はい」

 理子から小さな小包を受け取る。

(なんだろう? 軽い……あっ、これ――)

「えっと、ボロボロになったって仰ってたので……」

「……ふふっ」

「凪紗先輩?」

「実はね、私か

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蛹は羽化して、 壱

蛹は羽化して、 壱

 私は、その試合を生涯忘れることがないだろう。
 

 中学三年生の夏休み。
 たまたま姉の応援で訪れたバドミントン関東大会。
 そこで目にしたとある試合。

 団体戦決勝。
 二勝二敗で向かえた最後のシングル。
 当時、一年生ながらレギュラーの座を勝ち取った一人の選手。
 相手は大会の優勝候補だった。

 序盤から激しい攻防が繰り広げられた。さすがは優勝候補だ。
 圧倒的な実力でじりじりと追い詰

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同期の大園 AFTER_STORY 3. 新居にて

同期の大園 AFTER_STORY 3. 新居にて

「お邪魔しま~す」

井上「おお~、ここが二人の愛の巣か~」

武元「いや、言い方っ」

俺「はは……まぁ、間違ってはないな」

玲「にゃはは」

 
……

 
武元「それにしても、四人で集まるのも久々やんな」

俺「確かに」

玲「そうだね~。また皆で集まろうよ」

井上「ほんなら、ここが新しい拠点やね」

武元「いやいや、それはどうなん? さすがに悪いんちゃうんか。なぁ?」

玲「私はいいよ

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同期の大園 AFTER_STORY 2. 一畳バトル

同期の大園 AFTER_STORY 2. 一畳バトル

 
 六畳一間。
 我が家の和室の大きさである。

 その中央にて、背筋を伸ばし正座をする玲。
 正面から見つめるとよく分かる。 くるりとした大きな目に綺麗な鼻筋。 自慢じゃないがかなりの美人さんだ。

 そんな玲を見据えながら、

俺「本当にすまないと思っている。この通りだ!」

 頭を下げた。 そう、できるだけ申し訳なさそうに……

 
 ……

 
 数分前。

俺「こんな所にいたのか」

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同期の大園 AFTER_STORY 1. 二人

同期の大園 AFTER_STORY 1. 二人

「先輩」

「ん?」
「ん?」

 二人して同時に振り返った。

後輩「あ、奥さんの方じゃなくて」

私「ねぇ! 奥さんだって! えへへ……奥さんだって!!」

 嬉しくなって思わず彼の肩を叩いた。

彼「痛いッ痛い」

後輩「あの~」

彼「ああ、悪い。どうした?」

後輩「頼まれていた分の仕事が終わりました。お納め下さい」

彼「どれどれ……うん、完璧だ。……ちょうど時間だし上がっていいぞ」

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同期の大園 11. 欲望

同期の大園 11. 欲望

 
 彼が出張に行って一週間が経った。
 戻ってくるまであと二週間。

 短いようで、私にとってはすごく長い二週間。

井上「……でな~。あ、梨名おかわりとってくる」

大園「私も行く~」

武元「あんたらよう食べるね」

井上「甘いものは別腹だから!」

大園「そうそう」

(うんうん、別腹別腹~)

 井上と二人、これでもかと盛り付ける。
 

武元「うわ!? めっちゃもってくるじゃん。……し

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同期の大園 10. 御神籤

同期の大園 10. 御神籤

 元旦。

 いつメンで初詣。
 お参りして、甘酒飲んで、屋台を散策する。正月からお腹膨らませて、御神籤引いて。

 振袖からちらり、と覗くうなじ。

俺「……」

 思わず見とれてしまう。
 消し去った筈の煩悩が、正月早々姿を現す。

(やれやれ……)

 そんな自分に自己嫌悪。

(消えろ……色欲)

 空を見上げ、再び浄化させるのであった。

 

武元「いぇ~い! 大吉っ」

大園「私も

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同期の大園 9. お願い事

同期の大園 9. お願い事

大園「ねぇねぇ……」

俺「……」

大園「ねぇってば……」

(こ、こいつ……会議中だぞ……)

 あらぬ所をつんつんしてきた。

大園「聞こえてるよね?」

俺「お前まじでふざけんなよ……」

大園「だって、無視するんだもん」

『――ん゛ん゛』

 と課長に一瞥されて背筋を伸ばす俺と大園。

 
……

 
大園「ねね」

 今度は耳元に口を寄せて小声で話しかけてきた。

俺「……何だよ」

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同期の大園 8. UNO

同期の大園 8. UNO

 
 今日も今日とて、いつものメンツ。

井上「はいリバース」

武元「ほいドロー2」

俺「ってんめ」

 悪態を吐きながらも山から二枚引いた。

井上「はいリバース」

大園「いひひ。井上リバースばっか出すね……ごめんね~スキップ!」

俺「OH」

武元「それにしてもさ~」

 と真面目な顔をする武元。

武元「なんかあったん?」

大園「なんかって?」

井上「はいリバース」

武元「どん

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同期の大園 7. ハリー・ポ〇ター

同期の大園 7. ハリー・ポ〇ター

 いつもの金曜日。
 週末に同期会と称してだべる夜の集まりがある。
 だけど今日は二人だけ。 武元と井上は用事があるらしい。

 二人なら今日はナシにしようかと思っていたんだけど。

『餃子が食べたい』 なんて言うから、 『んじゃ、どこかで食ってく?』 と俺が尋ねると、 『ハリー・ポ〇ターも見たい』

 お姫様が我儘を重ね、俺の部屋にてサシで飲むこととなった。

 

俺「おい、暑いだろ! そ

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同期の大園 6. 後輩の谷口ちゃん

同期の大園 6. 後輩の谷口ちゃん

 
「せんぱ~い」

 とコーヒーカップを片手に駆け寄ってきた。

俺「おはよう谷口ちゃん」

谷口「おはよーございます!」

 後輩の谷口。
 教育係を任されていたこともあってか、妙に懐かれている。

谷口「うんしょっ」

 随分重たそうなカバンだ。

俺「重そうだね。何が入ってるの?」

 と言って彼女の手からするりと奪う。

俺「部署同じだし机まで運ぶよ」

谷口「ありがとうございますっ!

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同期の大園 5. 唯衣の憂鬱

同期の大園 5. 唯衣の憂鬱

大園「唯衣ちゃん何か悩み事?」

 頬杖をついていたからか、もしくは盛大に溜息を吐いたからか。

 どちらにしろ――

武元「……そうなんよ」

大園「私でよかったら聞くよ~」

 ようやくといった形で訊ねてきてくれた。

武元「あんな、どっかのな、誰かさんたちのことなんやけどな」

大園「うんうん」

 真面目な顔して大きく頷いている。
 同性から見ても可愛らしい。

武元「……一目憚らずにい

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同期の大園 4. 甘いものは別腹だから

同期の大園 4. 甘いものは別腹だから

 
井上「あっつ」

武元「ん~うんま! やっぱたこ焼きやな」

井上「ふーふー。あっつ」

(お前のたこ焼きはそんなに熱いのか? いつまで冷ましてんだよ……)

大園「えへへ」

武元「それめっちゃ気に入ってるんやね。玲ちゃん」

大園「うんっ」

 コアラのぬいぐるみを抱きしめる大園。

井上「あ、っ。それにしても、はふはふ、射的の才能があるとはねー。熱い!! もう! ふーふー」

 食べるの

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同期の大園 3. バンザイ

同期の大園 3. バンザイ

『君に会えてよかった~このままずっと~ずっと~ラララふたりで~』

  

 ……

  

『イェ~イ』

 パラパラと湧き上がる拍手。

部長「それにしても大園さん、ウルフルズなんて良く知ってるねー」

大園「へへ、こういう時の為に色々勉強してるんです」

 会社の飲み会。 その宴会の席にて、カラオケをするのがうちの定例となっている。

(えへへ……楽しいなぁ)

 一緒に歌ってたのは部長だけ

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