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職人になる前に知っておくべきと思うこと・前編

2年半前、当時27歳で漆塗り職人の父の後継ぎとなった。

職人さんに発注する側のメーカー勤務2回(プラス、放浪2回)を経てからの弟子入りだった。
そんなこともあってか、「これをすべき!」ということは自分の中で明確にもっていた。

「分業制で陥りがちな、負のスパイラルから抜け出すこと」

「そのために、モノ作りを覚えながら、自分で仕事も作ること」

ざっくり、以上の2点。

伝統産業に限らず、モノ作り全般に言える事なので、いまさら説明する必要も無いと思いますが、一応説明します。

分業制とは、いわずもがな、一つの製品を作る際に、細かく分かれた工程をそれぞれのエキスパートが行うことである。
それぞれの職人が培ってきた技術が結集するため、質の高いモノを生み出せるシステム。

伝統産業は、その体制が特に根強く残っていることで有名ですね。

職人側にも、伝統的な分業制のメリットがある。
(以下はあくまで個人的に感じていること。)

1、長い付き合いの発注者から、「待ち」のスタイルでも仕事がもらえる。

2、基本的に製品在庫を抱えないので低リスクな仕事である。
(自分の工程が終わって納品すれば、売れる・売れないに関わらずお金がもらえる。)

3、ひとつの工程の技術を高めれば仕事ができる。
(その習得に時間がかかるのだが、、、)

分業制はリスクが少なくてありがたいと思う。

しかし、これらに潜むリスクを承知して仕事をしなければ、恐ろしい「負のスパイラル」に突入してしまう可能性が大いにある。

そして、一度でもそんな状況に陥ってしまうと、抜け出すことは容易ではない。

では、「分業制によくある負のスパイラル」とはどんなものなのか。


次回、ひねくれた見方で、一つ一つ紐解いていきます。

みなさまのご支援で伝統の技が未来に、いや、僕の生活に希望が生まれます。