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思春期エッセイ集

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思春期時代の短編エッセイ。 ・思春期草創期の幼稚園時代 ・思春期早期の小学校低学年時代 ・思春期前期の小学校高学年時代 ・思春期中期の中学校時代 ・思春期後期の高校時代までを描… もっと読む
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#一歩踏みだした先に

消えた「もみあげ」を描く

消えた「もみあげ」を描く

初対面の人間に、特技を聞かれたときに困ってしまうのは「自慢しすぎていないか」、あるいは「格好つけすぎていないか」という要素を考えすぎてしまうからだ。

その点、僕は特技を聞かれれば、「フラフープを回すことが得意です」とか、「自分でセルフ散髪することが得意です」と即答することができる。フラフープを回すことより、「ギターが弾ける」とか「カラオケ」、「リフティング」とかの方が断然格好いいのだけれども、僕

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ビターでもスイートでもない、ボイルド

ビターでもスイートでもない、ボイルド

こんな僕だって、ホワイトデーのお返しくらいはしたことがある。まあ直接的に言い換えるならバレンタインのチョコレートを貰ったことがあるということだ。

しかし、そんな経験は今まで然程なかった高校1年生の2月14日。弓道部の女子たちがバレンタインデーにここぞとお菓子を皆に配り、僕もそのついでのような形でチョコやらケーキやらを彼女たちから頂いた。

運がいいことに僕が所属していた弓道部は人数がすこぶる多か

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コンビニ小学生

コンビニ小学生

舌に衝撃が走った。恐ろしいほどまでにパンチが効いたバター。BTSも驚くほどの口いっぱいに旨味の重低音を響かせ広がる「Butter」。口に入れて正直困った——。この世界にこんなにも美味なものがあったとは知らなかったのだ。

小学校低学年の朝食時のことである。母は健康志向であったから、リンゴやミカン、バナナ、キウイといったフルーツを細かく刻んでミキサーにかけ、特性のスムージーを作る。僕は毎朝毎朝、それ

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