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思春期エッセイ集

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思春期時代の短編エッセイ。 ・思春期草創期の幼稚園時代 ・思春期早期の小学校低学年時代 ・思春期前期の小学校高学年時代 ・思春期中期の中学校時代 ・思春期後期の高校時代までを描…
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消えた「もみあげ」を描く

消えた「もみあげ」を描く

初対面の人間に、特技を聞かれたときに困ってしまうのは「自慢しすぎていないか」、あるいは「格好つけすぎていないか」という要素を考えすぎてしまうからだ。

その点、僕は特技を聞かれれば、「フラフープを回すことが得意です」とか、「自分でセルフ散髪することが得意です」と即答することができる。フラフープを回すことより、「ギターが弾ける」とか「カラオケ」、「リフティング」とかの方が断然格好いいのだけれども、僕

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先輩にあいさつしたら舌打ちされた話

先輩にあいさつしたら舌打ちされた話

今の中学生たちを見ていると、上下関係は存在するもののそれは極めて緩やかなものに見えてならない。もちろんその組織や人によるのかもしれないが、僕が中学生だったときの今から約10年前と比べると、今の下級生たちは随分過ごしやすそうである。

僕が中1の頃、ぶかぶかの制服を着て歩く通学路には油断も隙もなかった。先輩と思われる人間には誰彼構わずあいさつをしなくてはならないという謎の風潮があったのだ。

僕は真

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くせ毛

くせ毛

毎年毎年、梅雨という四季とはまた違った特殊な季節が来るたびに、毎朝憂鬱な思いになる。

雨は人の心を落ち着かせる効果があるだの、リラックスさせるだの、僕には関係ない。せっかくヘアアイロンで直毛にした髪の毛たちが、思春期真っ盛りの男の子みたいに言うことを聞いてくれない。

たまに直毛の人間から、「髪のクセ羨ましい」と言われることがある。しかしクセがあるおかげで清潔感をどんなに服装でカバーしても台無し

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