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“使える”業務マニュアルを作るための「テンプレート」機能|#BYARD開発記 11

普段の業務で使っていて便利だからこそ、あらゆる仕事がBYARD上で行われるようになる——BYARDはそんなバックオフィスのプラットフォームであるために「BYARDで作業した方が便利」になるような機能を用意しています。今回はその中の一つである“テンプレート”の機能をご紹介します。

「BYARD開発記」について ※本文はこの下からスタートです
株式会社BYARD・代表の武内俊介が、サラリーマンから税理士資格の取得を経て起業し、BYARDというプロダクトを作り上げるまでの開発ストーリー。

開発に至るまでの背景や、プロダクトの設計に込められた想い、起業・開発を通じて得た経験などをご紹介します。

※この記事は本人への約半年に渡る取材をもとに執筆/構成を行っています。
(ヒアリング/執筆/撮影:藤森ユウワ)
※プロダクトの画像は開発中のものであり、製品版とは異なる場合があります。

1. そのマニュアル、本当に“使える”ものですか?

がんばってマニュアルを作っているのに、実際はあまり使われていない——。

半年に渡る徹底的なユーザーヒアリング(第7話参照)によって見えてきた具体的なファクトとして、マネジメントサイドにも現場サイドにも共通する「マニュアルが使われていない」という課題がありました。

なぜこのようなことが起こってしまうのでしょうか。


「マニュアルがない」のではなく「アップデートされない」ことが問題

実はほとんどの企業でマニュアルは作られています。しかし作られてはいるが、使われてはいないのです。その原因は一度作られたマニュアルが、そのままほったらかしでアップデートされていないからです。

ちょっと突飛な例ですが、皆さんが新たに「カレーを作る」という業務の担当になったとしましょう。

今までカレー担当だった先輩が退職するので業務を引き継ぐことになり、先輩がまとめてくれたマニュアルを受け取りました。

マニュアルに書いてあるのはこれだけですが、いざ作ってみるとどうでしょうか。

「そもそも、時間がかかるご飯を先に炊いておいた方がいいな」
「野菜より先に肉を切ると、まな板を変えなきゃいけないので、野菜を先に切った方がいいな」

…というように、マニュアルにはない、やってみて初めて分かるような“気付き”が何かあるはずです。

さらに何回かカレーを作っているうちに、

「肉を炒めると鍋にくっつくけど、無理矢理はがすとこびりつくから、しばらく待った方がいいな」
「ひと晩寝かせると、味がさらにおいしくなるな」

…というように、新たな改善ポイントも見えてくることでしょう。このように同じ業務を繰り返し行うことで、習熟度や生産性は上がっていきます。

しかしここである問題に気が付きました。カレーを作れるようになったのは部署の中であなた一人だけ。もしあなたが休んだり、異動や退職になったりしたら、カレーを作れる人が誰もいなくなってしまいます。

「私がいなくても、みんながお腹を空かせないためにはどうすれば…」

そう、こんなときこそマニュアルです。

マニュアルを他のメンバーと共有しておき、不在時は代わりにカレーを作ってもらえばいいのです。マニュアルは先輩からもらっているので、それをみんなに共有すれば大丈夫…と思ったら。

先輩からもらったマニュアルには、あなたが実際にカレーを作って得られた“気付き”や“改善ポイント”は反映されていません。

せっかくあなたが「おいしいカレーを効率良く作れるようになった」のに、これでは引き継いだ相手が、また1から非効率なやり方で試行錯誤することになってしまいます。

ならばマニュアルを最新の状態に更新すれば——と思うものの、これがなかなか骨が折れます。

自分の頭で分かってることを、他人も理解できるよう書面に落とし込むのは、口で言うほど簡単ではありません。

文章を書くのが苦手な人もいますし、文字だけで伝わりにくければ写真や図表を添えねばならないかもしれません。忙しい毎日の中でマニュアルを更新するのは、とても大きな手間です。

その結果マニュアルは作った当初のまま、なかなかアップデートする時間も取れず、引き継ぐときに「口頭で補足する」「実演してみせる」といったことになってしまうのです。

今回は「カレー作り」を例にしましたが、皆さんが普段行っている業務はもっと多種多様で複雑なはずです。

それらの業務をマニュアル化するだけでなく、日々の忙しい業務のなかでアップデートし続けるのは、とても大変ではないでしょうか。(シェフの方すいません。もちろんプロの料理は複雑で味わい深い世界です。)




2. BYARDならマニュアルを簡単に作れて、いつでもアップデートできる

マニュアルを簡単に作れる、と書きましたが、BYARDはマニュアル作成ソフトではありません。

第9話でご紹介したように、BYARDがバックオフィス業務を行うためのプラットフォームであることが、ここでも大きな意味を持っています。


2-1. 業務プロセスをテンプレート化すれば、そのままマニュアルになる

BYARDでは、ツール上で整理した業務プロセスをそのままテンプレート化することができ、このテンプレートが業務マニュアルとしても機能します。

先ほどと同じく「カレー作り」を例にご紹介しましょう。

まずは先輩からもらったマニュアルを、そのまま業務プロセスとしてBYARD上で整理していきます。今回の例のように、先輩が作ったマニュアルがすでにあるならそれを落とし込んでも良いですし、マニュアルがなければBYARDを先輩と一緒に見ながら、その場で整理しても良いでしょう。

前回・第10話でご紹介したとおり、BYARDは整理した業務プロセスの上でそのままタスク管理を行うことができます。実際にカレーを作りながら、気が付いた点をメモしたり修正したりして、業務プロセスに記録を残していきます。

カレーを作り終わると、先輩からもらったオリジナルにあなたの気付きや改善ポイントが加わり、ブラッシュアップされた業務プロセスができあがっています。これをテンプレートとして登録しておけば、次にまたカレーを作るときにブラッシュアップされた状態から作業を始めることができるのです。

2-2. アップデートし続けられる

そして重要なのはここからです。BYARDの“アップデート機能”を使えば、一度登録したテンプレートの更新が、業務を行いながら自然に行うことができるのです。

「今、使っているタスク管理ツールにも、テンプレート機能がすでにある」

という方も多いでしょう。ただ、テンプレートからタスクを作成し、実際に業務を行って気付いた改善ポイントがあったときに、皆さんは大もとのテンプレートの更新を毎回行っているでしょうか?

「次回も私が担当するんだから、私が分かっていれば大丈夫」
「今は忙しいから、落ち着いてからまとめて更新しよう」

どちらかと言えば、このように思うのが普通ではないでしょうか。(私もそう思います。)

そう、忙しい日々の中で通常業務に加えてテンプレートの更新まで行うのはとても面倒なのです。

だからテンプレートは更新されず、次にテンプレートからタスクを作るときも最初のまま。「あぁ、そう言えば前回ここでつまずいたんだった」などと思い出しながら、業務を進めていくことになりがちです。

ではBYARDの場合はどうでしょう。

先ほど説明したように、BYARDは業務プロセスの上でそのままタスク管理を行い、記録を残していくことができます。業務が一通り終わったとき、あなたの“気付き”や“改善ポイント”が反映され、ブラッシュアップされた業務プロセスが目の前に残っています。

ここでBYARDのアップデート機能が本領を発揮します。ブラッシュアップされた業務フローを、ボタン一つで元のテンプレートに上書きすることができるので、テンプレートの修正時間はゼロ。そして次にカレーを作るときには前回の“気付き”が生かされた「カレー作りテンプレート Ver.2」を元にして、作業を始めることができるのです。

(これはエンジニア・チームで言うところのGitを使った“分散型バージョン管理”の考え方に近いのですが、そちらの説明は今回割愛します。詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。)

これを繰り返せば、業務を繰り返すたびに自然とテンプレートがブラッシュアップされ、常に最新状態で業務を始めることができるのです。

…という機能ですが、まだいくつか開発中の部分があり、実際の画面はお見せすることができません。ごめんなさい。




3. 小さく始めて、少しずつ改善する

私は税理士資格を取得し独立して以後、“業務改善士®”を名乗りコンサルティング活動を行ってきました。その経験から、業務の改善に必要なのはとにかく小さく始めて、少しずつでいいので改善し続けることだと考えるようになりました。

マニュアルは現場サイドが作る以外にも、内部統制の観点からマネジメントサイドで作られることもあります。

「忙しい現場の代わりにマニュアルを管理・更新するのがマネジメントサイドの仕事だ」という考え方もありますが、今回の「カレー作り」の例を見ても分かるように、実際にやっみないと気が付かないことが現場には山ほど存在します。

マネジメントサイドや外部のコンサルタントが完璧なマニュアルなど作れるはずがありませんし、アップデートをするにしても、必要な情報を報告する負担は現場サイドが背負うことになります。

だとすれば最初から「日々の業務の中で修正する」という前提に立って業務を管理した方が、長期的に見れば改善効果が大きいのではないでしょうか。小さなスパイラルが回りながらどんどん大きくなり、上へと登っていくような、そんなイメージです。

小さな改善を無理なく実行し、継続していくためには、普段の業務を行う中で自然にアップデートが反映されていく仕組みが必要でした。

そのために第9話でご紹介した「BYARDがバックオフィス業務を行うためのプラットフォームであること」がとても重要だったのです。

今回の記事でもご紹介したように、BYARDは日々の業務を行いながら、アップデートを可能にすることが重要だと考えて開発を行っています。次回、第12話では、日々の業務のデータをBYARDへ記録することの意味についてご紹介します。



「BYARD開発記」シリーズのご紹介

「BYARD開発記」は全13話のシリーズになっています。

BYARDそれ自体は、数ある業務用アプリケーションの中の一つですが、その背景にはバックオフィスの実務家として、事業の運営者として感じてきた想いや経験があり、それをプロダクトの設計に込めています。

BYARDでは、私たちと一緒にバックオフィスの世界を変えるようなプロダクトを作る仲間を募集しています。もし開発記をお読みいただいて、ご興味をお持ちいただけたようであれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。

シリーズINDEX

第1章:BYARDへとつながった背景ストーリー

第2章:起業・開発で活用した手法

第3章:BYARDのプロダクト紹介

最終章


BYARDの採用情報は、以下のページよりご確認いただけます。

また、BYARDのこと、業務設計のこと、バックオフィスのことなど、CEO・CTOと気軽に話せるカジュアル面談も実施しております。「気になるけど、いきなり採用に応募するのはな…」という方は、ぜひこちらへお気軽にお申し込みください。


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