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改善サイクルを回すための「データの蓄積」|#BYARD開発記 12

改善のPDCAサイクルは「一度やったら終わり」というものではありません。“サイクル”と付いているように、繰り返し業務を回しながら改善し続けていくことが大切です。

今回は改善のPDCAサイクルを回し続けていくためのBYARDの機能について解説します。

「BYARD開発記」について ※本文はこの下からスタートです
株式会社BYARD・代表の武内俊介が、サラリーマンから税理士資格の取得を経て起業し、BYARDというプロダクトを作り上げるまでの開発ストーリー。

開発に至るまでの背景や、プロダクトの設計に込められた想い、起業・開発を通じて得た経験などをご紹介します。

※この記事は本人への約半年に渡る取材をもとに執筆/構成を行っています。
(ヒアリング/執筆/撮影:藤森ユウワ)
※プロダクトの画像は開発中のものであり、製品版とは異なる場合があります。

1. 改善のために必要なのは「データ」

1-1. まず必要なのは「記録すること」

PDCAサイクルは最初が“Plan(計画)”になっていますが、計画を立てるためには、まず「現状はどうなっているか」を“Check(分析)”しなければなりません。そして分析を行うためには「これまでどのように業務を処理していたのか」という記録が必要です。

皆さんも「お金を貯めるにはまず家計簿を付けろ」という話を聞いたことがないでしょうか。家計簿に支出の記録を付けて現状を明らかにし、無駄遣いしている部分を見つけて改善すれば、お金が貯まるようになるというわけです。

これは業務の改善でも同じです。

第6話でご紹介した書籍「The Goal」でも、業務プロセスの中でボトルネックとなっている部分を特定するために、マネジャーである主人公が各業務の担当者に「作業の記録を付けて欲しい」と依頼するシーンが登場します。

業務がうまく回っていないときほどすぐに何か打ち手を実行したくなってしまいがちですが、改善のファースト・ステップとして大切なのは「現状を把握すること」であり、そのために「記録すること」なのです。


1-2. 記録が「無理なく取れること」が望ましい

継続的な改善を行うためには、記録が無理なく取れることが重要です。

改善のPDCAサイクルは「一度やったら終わり」というものではありません。一度きりの分析で現状のすべてが把握できるはずがないですし、どんなに精緻な計画を立てても実際にやってみないと見えないものが山ほどあるからです。

継続的にPDCAを回すということは、継続的に記録も取り続けねばならない、ということでもあります。

時間が無限にあれば「毎回マネジャーが担当者に一人ずつヒアリングする」こともできますが、現実にはマネジャーにも現場の担当者にもそんな余裕はありません。定点観測して記録が残るような仕組みが必要です。

だからこそ多くの企業で「日報を書く」「Excelや業務アプリに作業時間を記録する」などが行われるわけですが、これは現場にとってかなりの負担です。

特にバックオフィスの場合は複数の業務が同時並行で進み、「Aの確認待ちの間にBの書類を催促し、どちらかが戻ってくるまではCを処理する」というようにマルチタスクを細かく切り替えながら業務を行うことが普通です。

そのような状況で逐一作業の記録を付けるのは難しく、後でまとめて付けようにも「いつ・どの業務を・どれだけ処理したか、よく分からない」ということになりがちです。

「そこを管理し記録を付けさせるのがマネジャーの仕事だ」という考え方もありますが、現場に負担を押しつけるだけでは徐々に記録を付けることが形骸化し、昨日のものをコピペしただけのような「分析する価値が低い記録」が残るだけになってしまいます。

もちろん“日報”や“作業時間の記録”をしっかり運用している組織もあります。しかし継続的に改善を行っていくためには、意味ある記録をなるべく無理なく取り続ける仕組みを作ることが望ましいでしょう。


1-3. デジタルのツール上で業務を行うことでデータを「自動的に」記録する

では継続的に、かつ無理なく記録を取り続けるためにどうすればいいか——そう、こんなときこそテクノロジーを活用すべきです。デジタルのツール上で業務を行えば、自然にログが残りデータとして自動的に記録することができます。

もちろんデータを蓄積するには「そのツール上ですべての業務が行われる」ことが大前提です。

だからこそ、BYARDは第10話第11話でご紹介したように、「現場の担当者が普段の業務で使って便利だから、すべての仕事がBYARD上で行われるようになる」というプラットフォームとなることを目指しているのです。


2. データを活用したBYARDの機能

2-1. 分析可能な形式でデータを記録

第10話でご紹介したように、BYARDはホワイトボードに付せんを貼り付けるように業務を書き出し、自由に並び替えて、誰でも・手軽に業務プロセスを整理できるようになっています。

これは一見すると“Miro”のようなイラストレーションツール、あるいは“Lucidchart”や“EdrawMax”のようなフローチャート作成ツールと似たようなものにも見えます。

しかしBYARDは単なる「業務プロセス図が描けるツール」ではありません。バックオフィスの業務を支えるプラットフォームとして、業務プロセス図の裏側でどのようにデータを持つべきかを考えた設計になっています。

その一端をご確認いただけるのが“マイタスク”の機能です。

マイタスクを開くと、自分がアサインされている案件やタスクを一覧で確認することができます。完了/未完了や期限日などを指定して、データを絞り込むことも可能です。

Miroでも業務プロセスを整理することはできますが、BYARDのように「タスクを一覧で並べること」や「フィルタで絞り込むこと」はできません。見た目は同じでも、裏側でデータをどのように持つのかの設計思想が違うからです。

BYARDは改善のPDCAサイクルを回すことを念頭に置いて、分析できるデータを記録するよう設計されているのです。


2-2. レポート/ダッシュボード機能 ※開発予定

BYARDに記録されたデータを活用する機能として現在開発を進めているのが、“レポート”“ダッシュボード”の機能です。

レポート機能では、例えばマネジャーの立場から「状況を常に把握しておきたい案件」だけを一覧にしたり、特定の条件(開始日から一定期間が経過しても完了していない、など)でアラートを出したり、担当者ごとに今持っているタスクを集計したりといった分析が行えます。

そしてダッシュボード機能では、例えば案件の進捗状況をゲージで表したり、残タスクの状況を棒グラフで表したりといったように、レポートを元にしてデータをさまざまなグラフで可視化することができます。

現時点ではまだ開発中のため、全貌をご紹介することはできませんが、イメージとしてはバックオフィス版のSalesforceを目指して、これらの機能の開発を進めています。

画像引用元:「営業の見える化」 に役立つダッシュボード6選 - Salesforceブログ|https://www.salesforce.com/jp/blog/2019/07/sales-management-dashboards.html

3. これからはバックオフィスもデータを活用する時代

私はこれからの時代、バックオフィス業務においてもデータの活用が当たり前になっていくと考えています。

紙と対面のコミュニケーションで仕事が回っていた時代は、業務記録を正確に残すこと自体が困難でした。しかし現代はバックオフィス業務のほとんどがPCで行われていますし、業務アプリケーションを使うことも当たり前です。デジタル上でものごとが行われることを前提にすれば、記録の取り方や活用の仕方もおのずと変わるはずです。

この変化がいち早く訪れたのが、マーケティングや営業の世界でした。

マーケティングでは、PV数やコンバージョン数といった“人々の行動のログ”を記録し、数値で分析するのが今では当たり前です。

「勘と経験にもとづき足で稼ぐ」ことが当然だった営業においても、Salesforceの登場によってシステム上に顧客の情報や営業活動のログを管理し、商談の進捗状況を科学的に分析できるようになりました。

あらゆる部門で“データドリブン”(データを集め分析することによってビジネスの意思決定をおこなうこと)の考え方が広がる中で、バックオフィス業務においても、今後はデータの活用が進んでいくのではないでしょうか。

もちろんこれは「PCの操作ログをすべて記録して従業員を監視する」ようなものとは全く違います。

データが見えることで今まで気付かなかった視点や、新しい解決方法が見つかり、バックオフィスで働く人たちがより働きやすい環境を作れるようなプロダクトを目指して、BYARDの開発を進めています。


「BYARD開発記」シリーズのご紹介

「BYARD開発記」は全13話のシリーズになっています。

BYARDそれ自体は、数ある業務用アプリケーションの中の一つですが、その背景にはバックオフィスの実務家として、事業の運営者として感じてきた想いや経験があり、それをプロダクトの設計に込めています。

BYARDでは、私たちと一緒にバックオフィスの世界を変えるようなプロダクトを作る仲間を募集しています。もし開発記をお読みいただいて、ご興味をお持ちいただけたようであれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。

シリーズINDEX

第1章:BYARDへとつながった背景ストーリー

第2章:起業・開発で活用した手法

第3章:BYARDのプロダクト紹介

最終章


BYARDの採用情報は、以下のページよりご確認いただけます。

また、BYARDのこと、業務設計のこと、バックオフィスのことなど、CEO・CTOと気軽に話せるカジュアル面談も実施しております。「気になるけど、いきなり採用に応募するのはな…」という方は、ぜひこちらへお気軽にお申し込みください。


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