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夜に手紙を書いてはいけないのに。

「心寄せる人に夜手紙を書いてはいけない」

という第一行目から始まる『夜の水』っていう

詩が好きだ。

それは、

「そんな言葉を思い出している手でアボカドの

種を洗う」とつながってゆくのだけれど。

木坂涼さんの詩。

木坂さんの詩を好きになったのは20代の頃だった。

それからずいぶんと時間が経ったのに、いまも彼女の

詩に囚われている時は、ひそやかな思いが襲って

くる。

ただただ、ここにいるのはじぶんひとりのような

気がして。

寝室からとつぜん火星へと放り込まれてしまった

ような、不安とかすかなのぞみがしのびよって

くるような。

今年はスーパームーンが3年ぶりに見られるって

ニュースで聞いていた。

そうかって思いながら、あの3年前のスーパー

ムーンを見損なった日の夜のことを思い出す。

大好きだった人のお命日だったから、その1日は

いつもより丁寧に暮らそうと思っていたのに、

あまりそれができなかった。

そのことを悔やんでいたので次のスーパームーンは

ちゃんとするって心に誓った。

なのに、今日だって急いで夜家に帰りついた時には

もう空のことはわすれてしまっていた。

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昨日、観ていたドラマのセリフを

慌てて書き留めていた。

主人公の彼女は、幼馴染の大好きだった面白い女の子を

失ってまだ1年ほどたったころの話だった。

彼女と出会った数学が好きなふしぎな男の人が公園の

ベンチに座りながらこんなことを言う。

「時間って過ぎてゆくものでなくて、場所っていうか
別の所にある。人間は現在生きてる10代20代30代40代を
懸命に生きてる。5歳のあなたと5歳の彼女は今も手をつな
いでる。今から気持ちを伝えることが出来るよ」

彼女はひとすじの涙を流していることにも

気づかずに。

わたしはそれはドラマのセリフだということも

どこかで忘れたかのように、スーパームーンの

日が初七日だったあの人のことを久しぶりに

思い出していることに気づいた。

最近のわたしのことをみてその人はどう思う

だろう。嫌われているのかな、好かれているの

かなって時々思う。

相変わらず丁寧には生きられていないけど

ただあの頃より数倍元気になったわたしを

みていてほしいなって思う。

やっぱりこういいたい。

おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。

アボカドの 種を転がす てのひらのなか
ゆめをみる みてもいいよと ララバイの声




   

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