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琴線の線がふるえてた、藤井風さんの言葉。

奇しくもバレンタインのその日。

Live会場に急いでいた。

新横浜で降りて、どんなふうに

オフィス街の海風を感じながら

寒空を走り抜けて、横浜アリーナに

たどり着いたのか記憶がない。

少し遅れそうで、走っていた。

開演をどんなふうに待って、はじまる

まえどんな気持ちだったのか思い

出せない。

気がついたら目の前にはチャリで

駆けつけてきましたのいでたちで

藤井風が目の前にいた。

パフォーマンスはもう始まっていた。

わたしは無防備でそこにいた。

素のままの心で、そこにいたかったのだ。

どこのだれで仕事は何でわたしの性別が

どうかなんてどうでもよくて。

今も脳内で映像を起こしつつ書いている

けれど。

うまく取り出せてないかもしれない。

書きたくてもLiveのあの日からずっと

書けなかった。

はじめにこの言葉にやられた。

「でもみんな孤独やし、みんなひとりやし。
みんなひとつやし。そんな孤独にぴったりの曲をやります」

ってMCがあって。

もうあの曲だよなって思っていたら

『ロンリーラプソディ』が流れていた。

彼の言葉に触れると、わたしの琴線が

どこにあるのかわかるような気がする。

わたしの心のよくわからない場所が

痛むように震えるからだ。

琴線のあの線がここらへんにあるみたいって

この年になって初めて知ったかもしれない。

マスクの中で泣いていた。

泣く時わたしは腹筋を使うのだけど

お腹の筋肉がぎゅっとなる感じで

泣いていた。

探しても寄り添う肩はなく
ただ単に飲まれてく
空っぽな人並みにのまれてく
(中略)
孤独なんて幻想、
気にしなきゃいいの
みんな同じ星
同じ呼吸
すーはー
なにをしたの?
なにもしてないよ。
きみはだれなの?
ぼくはここだよ

ロンリー・ラプソディ
作詞・藤井風

この曲の間にも、呼吸に意識するようにと

彼は言う。

「吸って吐いて。
嫌なものは吐き出して、
吐く時にネガティブなものは
ぜんぶ吐き出して
いいものだけを吸って~」


うん、それがいい。

ネガティブなことを感じてる自分のことが

嫌いだから、わたしはそうやって

ロンリーラプソディが流れている間

彼のパフォーマンスを忘れないように

目に焼き付けながらも、息をすーはーして

嫌なことをイメージして吐き出していた。

でも不思議だけどその時、わたしには

何が嫌なことだったのか思い出せない

ぐらい音に包まれていた。

『もうええわ』

は、みんなで歌った。

もうええわのところをみんなで。

みんな先が見えない夜道を
共に迷い歩く夜更け時
うつむかないで おびえないで
閉ざした扉叩いて
もうええわ

もうええわ
作詞・藤井風

みんなで歌ったら彼が

もうええわのところは

もっとだるそうにってアドバイスする。

だるそうにみんなで歌うと

いやもっと死んだみたいにって

オーダーが来て、みんながひとりひとり

それぞれの脳内で死んだようにをイメージ

して歌ってるのが面白かった

もうええわ
言われる前に先に言わして
もうええわ
やるだけやったらあとは任せて
もうええわ
自由になるわ。泣くぐらいじゃったら
笑ったるわ

マスクの中で「もうええわ」を

歌っていたら、

わたしのなかで、縮こまったものが

解き放たれてゆくのがわかった。

そして。

ちょっといろいろなことに傷ついたり

無理していたんだなって気づいた。

涙腺崩壊事件がその後やってきたのは

『旅路』が来る前だったと

思う。

人生と藤井風が言う。

うん、人生あるね、みんなにあるよねって

次の言葉はたぶん色々あるけれどって

予想していたら思った通りの言葉が

やってきて、

そう人生いろいろあるよねって、

心の中でそやなって思っていたら。

油断していたわけじゃないのに。

その後に彼は

どうせ、みんな最後はうまくいくんで

って言った。

どうせの使い方をこんなに肯定的に

使う人の言葉をわたしは知らない。

どうせと来たらふつうはあかんが来る。

どうせ○○やしと。

うまくいくときにどうせは使わないのに。

日本語がどうとかじゃなくて。

彼の「どうせ」の使い方に、晴れてゆく

空を感じる。

嫌なものが風にふきぬけてゆくものを

感じていた。

そしてわたしは最後死ぬときはぜんぶうまく

いくという彼の言葉に泣かされていた。

滂沱のなみだってこんなんだろうか。

Everything is gonna be alright anyway. Trust it.

こんな感じの英語を彼がささやく。

不思議だけど私の小さな悩みの

ことなんて、どうでもよくなっていた。

泣くと、わたしはどんどん素の私に   

もどっていっていた。

ライティングも素晴らしくて、紫色の

光に会場が照らされていた。

包まれているという感覚に似ていた。

光に包まれているような至福な時間。

わたしは最後の『何なんw』までを

ひとりで聴いてるんじゃなくて

わたしに藤井風を教えてくれた

noteに来て間もない頃わたしのことを

みつけてくれたYさんと、Twitterを

始めてから藤井風を通して、親しくさせて

頂いているVさんも一緒に聞いているような

気持でそこにいた。

わたしはひとりなんやけど。

みんなひとりなんやけど。

ひとりとひとりとして出会ってくれて。

ここにいるわたしはたくさんの出会いが

会ってわたしがこしらえられたのだと。

そんなありがとうの思いに包まれていた。

最後の曲はスマホが解禁されていたけど。

わたしはスマホを通して彼を見るのが

惜しくて撮りつつ見つつという

どっちつかずのことをやっていたら

動画はひとりでしか楽しめないものに

なっていた。

かろうじて撮れたものだけはっておきます。


Liveって、生きてるからこそのLiveだと

感じた、2時間だった。

最後に彼は言った。

ぼくと約束してください。

幸せでいてください、死ぬまでずっと。

琴線がふるえっぱなしの時間を

奇しくもバレンタインデーにもらった

気がした。

幸せが人生のテーマだったことはない

わたしだけれど。

わたしは母のことを思っていた。

彼の言葉をそっと母に心の中で贈っていた。

最高の最愛の時間をありがとう藤井風さん。

はじめて藤井風さんを好きになった曲を

ここに置いておきます。

やさしさは いつもあたらしく そこにいる
やさしさは ときどき己の 心にささるのだ







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