なぜ学校は偏った情報を発信させるのか?
人に何かを勧めることには、大きな責任が伴うと思います。相手のためを思って勧めたいなら、デメリットやリスクについてもしっかりと調べるべきです。マルチ商法や詐欺なども、よく調べないで人に勧めたことで被害を広げてしまうこともあります。最近は、生徒たちがHPVワクチン接種を勧める活動している学校が増えていますが、どこまでワクチンのことをわかって活動しているのでしょうか。教育現場では、メカニズムが解明されていないものを勧めることの危険性についても教えるべきではないのでしょうか。
高校生の提言で知事が動いた群馬県
群馬県は、高校生が知事に提言する「高校生リバースメンター」制度での発案により、子宮頸がんを予防するための動画などを作って公表したと発表しました。YouTubeの動画にはワクチン接種を勧める医師も登場し、明らかに接種を勧める内容になっています。医薬品には副作用があることは知られているのに、このような活動を生徒たちが行うことに、知事や学校はなぜもっと慎重にならないのでしょうか。
以下、日テレNEWSからの引用です。
「ワクチン接種と検診について情報をチェックしてみてほしいと呼びかけています」と書かれていますが、実際は接種を促す内容になっています。
報道提供資料に生理用品の画像もありますが、「知ってる?子宮頸がん ワクチンと検診で予防!」と書かれています。
TikTokとYouTubeの両方を見ましたが、特にYouTubeの動画はとても偏っていると感じました。あえて動画は貼りませんが、以下、特に気になった部分です。
高校生2人と産婦人科の医師、進行役の4人でHPVワクチンについて話しています。
インフルエンサーから接種を勧める情報を受け取ってから、なぜ日本では接種率が低いのか、中止になった理由や被害にあった人は今どうしているのかも、深く調べたのでしょうか。
調べていくうちに自分事として考えるようになったのはとてもよいことだと思いますが、なぜ調べた中に被害者の声は入っていないのでしょうか。
学校がどのようなフォローをしたのか、とても気になります。
医師は「世界中ではほとんどの方が接種しているのに」と言っていますが、これは言い過ぎだと思います。以下、厚労省のサイトから引用です。
フランスは33%ですし、他にも接種率が低い国はあるでしょう。
上記のページには「世界保健機関(WHO)も接種を推奨しており、2020年11月時点で110カ国で公的な接種が行われている」とも書かれています。けれども、WHOに加盟している国だけでも194カ国あるのですから、加盟していても84カ国では公的な接種は行われていないということになります。
それでも、「世界中ではほとんどの方が接種しているのに」と言えるのでしょうか。
さらに、副反応については下記のようにまとめられていました。
動画では、下記の説明が入りました。
「安全性について特段の懸念が認められず」というのは、厚労省がよく使う言い方ですね。
「副反応の怖さとかっていうのも昔の情報」と言っていますが、健康被害に関する情報もアップデートするべきではないのでしょうか。
アメリカでの訴訟
2024年2月16日付けで、下記の記事が公開されていました。
記事には、メルク社のガーダシルによって娘が死亡したと主張するノースカロライナ州の母親に代わって、Wisner Baum法律事務所の弁護士が新たに2件の不法死亡訴訟を起こしたことが書かれています。ワクチン接種後に亡くなったのは、10歳と12歳の少女です。
母親たちは、HPVワクチンが重篤な自己免疫障害と神経機能障害を引き起こし、最終的に娘を死に至らしめたと主張しています。
記事には2人にどのような症状が出たかなども、詳しく書かれています。
これらの訴訟はガーダシル広域係属訴訟(ガーダシル製品責任訴訟、MDL 3036)の一部となり、同訴訟では150件以上の同様の訴訟が係争中と書かれています。広域係属訴訟については、下記の記事でも取り上げました。
申し立ては、以下のような内容となっていると書かれています。
12歳で亡くなったSydneyさんの母親は、「もし私が今知っていることをあの時知っていたら、決してSydneyにワクチンを接種させなかったでしょう」と語っています。
10歳で亡くなったIsabellaさんの母親は、「ワクチン接種によって、Isabellaが亡くなる前に耐えた痛みや苦しみが起こる可能性があることを誰も教えてくれませんでした。でも、起こりえることなのです。製薬会社は危険性を隠し続け、娘を亡くした母親がワクチンの危険性について警告しなければならないなんて恥ずべき状況です」と語っています。
日本でも訴訟は続いていますし、積極的勧奨が再開されてから健康被害にあっている人もいるのです(下記参照)。
前述の記事でもう1点注目すべきは、メルク社がかつて「Vioxx」という薬でも同じような隠蔽を行っていたことです。この件は、日本でも報じられていました。
メルク社は、Vioxxが致死的な心血管系有害事象に関連していることを早い段階から知っていたのに、そのリスクを意図的に隠していたのです。
そのような製薬会社が出す情報を、すべてそのまま信用できるでしょうか。
接種と接種後に起きた症状との関係は、まだ「ある」とも「ない」とも証明されていません。メカニズムがわかるまでには、かなり時間がかかるでしょう。サリドマイド薬害は、解明されるまでに50年もかかったのです。
そのような状況なのに、なぜ高校生に接種を勧める活動をさせるのでしょうか。彼女たちが勧めて接種した人が、もし健康被害にあってしまったら、彼女たちはどのような気持ちになるか考えたことはあるのでしょうか。接種した人の人生にも、勧めた人たちの人生にも大きな影響を与えてしまうのではないでしょうか。
私には、このような活動を後押しする大人たちが本当に若者の未来について考えているとは思えません。
Vioxxの問題は、HPVワクチンや他の医薬品の臨床試験について知ることにもつながるので、別の記事で取り上げたいと思っています。