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約50年後に副作用のメカニズムが解明した「サリドマイド薬害事件」

1950年代に鎮静剤として開発され、日本を含む40数ヵ国で販売されたサリドマイド。妊娠初期の女性が服用すると胎児に奇形が生じたことから、世界的な薬害事件に発展しました。けれども、副作用のメカニズムがわかったのは2019年です。過去の薬害事件を知ることから、今起きていることが見えてきます。

《繋ぐ会》記者会見【仙台市】

前回の記事(下記参照)に続き、2023年2月3日に仙台で行われた、《繋ぐ会》(コロナワクチン被害者遺族の会)の記者会見で語られたことを取り上げます。

下記は約2時間の動画ですが、非常に重要なことが語られています。前半は、コロナワクチン被害者駆け込み寺代表 鵜川和久氏、弁護団 青山雅幸弁護士(6:07~)、臨床薬学博士 堀内有加里薬学博士(39:56~)、後半は、被害者ご遺族の話(60:00~)と質疑応答です。

今回は、臨床薬学博士・堀内有加里氏のお話から気になった部分をまとめ、補足資料などを入れました。

サリドマイド薬害事件

サリドマイドは、1953年にドイツで開発され、世界40ヶ国で販売された鎮静・催眠薬。日本では1958年に、大日本製薬が催眠薬として販売。やがて、サリドマイドを服用した妊婦から、手足がない、耳が聞こえない、血管が細いなどの奇形児が生まれたり、死産になるという被害が起きます。けれども、厚生省(当時)が迅速な対応をしなかったため、被害が拡大しました。

下記は、NHKアーカイブスで公開されている約2分半の動画です。


サリドマイド薬害事件の経緯と問題点

・サリドマイドは、動物実験(ネズミ)で催奇形性(胎児に奇形が起こる危険性)が確認されなかった。
→被害が明らかになった後で、ウサギやサルで実験してわかった。

・厚生省は、承認申請したときに海外で使われているものに関しては簡易的な承認でOKを出していた。
→サリドマイドは、審査の段階では海外でもまだ販売されていなかったのに「海外で使われている」と申請し、厚生省はその虚偽を見抜けずに承認してしまった。

・新聞などを使って妊婦にも安全、子どもにも安全と宣伝。
→つわりにも効くといわれていたので、多くの妊婦が服用してしまった。新聞広告などでは「効果」のみを報道していたので、被害が拡大。

・1960年にはサリドマイドを配合した胃腸薬も販売。翌年、ドイツで疫学調査が行われ、レンツ博士によってサリドマイドを服用した妊婦に奇形児が多い、因果関係がありそうだという報告があった。ドイツでは、それをマスコミが報道して、直ちに販売中止となり回収された。
→日本は海外でこのような報道があっても、厚生省は「科学的根拠はない」として、新たに別の製薬会社にサリドマイドの製造販売許可を出した。このとき、厚生省がすぐに対策をしなかったことも、被害拡大につながった。

・1962年5月、製薬企業5社から厚生省に出荷停止を申し出たが、厚生省は販売を継続し、回収しなかった。

・1962年7月、医学雑誌「Lancet」に日本でサリドマイドを服用した妊婦から奇形児が生まれていることが報告された。
→国内学会でも発表され、8月にマスコミによって報道された。

・1962年9月、ようやく大日本製薬が販売中止・回収するが、回収が不十分だった。

・1963年、被害者が製薬会社と国を相手に訴訟を起こす。
→国との和解が成立したのは1974年。

・2019年、奇形を起こすメカニズムが解明された。
→被害が起きてから50年以上経って、やっとメカニズムが解明。

プレスリリース 
サリドマイドが手足や耳に奇形を引き起こすメカニズムを解明 東京医科大学 東京工業大学 2019 年10月8日


サリドマイド薬害事件から学ぶこと


堀内氏は、「副作用のメカニズムは、販売されてもすぐわかるものではない。メカニズムがわからない状態で使われている薬もたくさんある」と説明していました。サリドマイドも、メカニズムがわかったのは50年以上も経ってからです。

今、コロナワクチンに関して「ワクチンによって不妊になるというのはデマだ」など、様々なことを否定している専門家や政治家がいますが、今の段階で断定できることなどないのだと思います。今、デマだと否定されていることも、50年後には事実となるかもしれないのです。

そして、過去の薬害事件からわかったことは、厚労省(当時は厚生省)は国民のために動いているのではないということです。

ドイツで販売中止になったのに、まだ販売を続けました。さらに、製薬会社が出荷停止を申し出たのに、まだ販売を続けたということには呆れます。厚労省は、誰のためにある機関なのでしょうか。

ですから、厚労省が接種を継続していても、安全だからとは限らないのです。それは、薬害エイズ事件などからもわかります(下記参照)。

「繋ぐ会」の会見では、まだまだ重要なことが語られているので、次の記事でも取り上げる予定です。